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貿易コラム

AWB(Air Waybill)について解説!航空輸送の貿易で使われる書類の意味や見方を詳しく説明します。 | 輸送・ロジスティクス

AWB(Air Waybill)について解説!航空輸送の貿易で使われる書類の意味や見方を詳しく説明します。

今回はAir Waybill(エアウェイビル)について見ていきましょう。 Air Waybillとは航空貨物の輸送の際に発行するものですが、しっかりと見てみると色々な役割があり情報が記載されています。 これから航空貨物の輸送を手がける方にぜひ知っておいて欲しいAir Waybillの知識を紹介してきたいと思います。 Air Waybillについて動画で解説 Air Waybill(AWB)とは Air Waybillとは航空貨物を輸送するときに必要な書類です。航空貨物の運送契約書のことです。 航空貨物を運送する際、荷送人と運送人との間で貨物の運送契約が締結されたことを示している書類です。 有価証券ではない Air WaybillはB/Lとは違い有価証券ではありません。なので貨物を引き取る際に必要ありません。また貨物を譲渡する際に使用したり、担保にすることも出来ません。 有価証券でないので輸入で税関に申告する際はオリジナルではなくコピーを使用します。 フォームは決まっており、IATA(国際航空運送協会)の規定フォームを使いますので、どこの業者でも同じものになります。 AWB 番号について 貨物の問い合わせなどは全てAWBナンバーで管理されています。AWBナンバーはAWBの左上の端と右下の端に記載されています。 フォワーダーに貨物状況など問い合わせる際には、AWBナンバーがわかれば話が早いので覚えておきましょう。 AWBの役割 Air Waybillは航空貨物にとって必要な書類と紹介しましたが、運送契約だけでなく色々な書類を兼ねています。 以下にどのような用途で使われているのか列挙していきます。 AWBの役割 ・運送契約の証拠 ・貨物の受領書 ・運賃の請求書 ・航空会社への貨物取扱の指示書 ・貨物引き渡しの指示書 このように、実は沢山の役割があります。 航空貨物では、タイムリーに貨物を動かすことが優先され、1つの書類で色々な用途に使えるように記載するのです。 AWBの種類 次にAir Waybillの種類について説明します。Air Waybillには2種類あります。 MAWB(Master Air Waybill)とHAWB(House Air Waybill)です。マスターとハウスについては海上輸送のB/Lにもあり、より深く理解する為にリンクを貼っておきます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] MAWBとは MAWBは航空会社が発行するものです。一般的にはお客様がこのMAWBを目にする機会はありません。 輸出側と輸入側のフォワーダーがShipper/Consigneeとして航空会社から発行されます。 HAWBとは 一方でHAWBはフォワーダーや混載業者が発行するものです。普段お客様が目にしているAWBは主にこのHAWBです。 フォワーダーが貨物のお客様ごとにHAWBを発行しそれをまとめてフォワーダーの貨物として航空会社に予約し、MAWBとして発行されるのです。 ストレートAWB MAWBだけを発行することも可能です。それをストレートAWBと呼んでいます。またシングルAWBともよばれ、直接航空会社に予約してHAWBを発行しない場合に使用されます。 航空運賃を安くするためには、いろいろな貨物をうまく組みあわせて、運賃効率を上げることがフォワーダーの役目だからです。 AWBの注意事項 航空貨物の貨物引き渡しにおけるリスク管理についてもみてみましょう。 海上輸送でのリスク管理の例 まず海上輸送での例でご説明します。 B/Lではオリジナルが3部発行され、輸出地でサレンダーされたり、輸入地で回収されると貨物が引き取れるようになります。 それではないSea WaybillはAir Waybillのようにオリジナルが必要なく、コピーで貨物の引き取りなどが可能になっています。 信用状取引や取引の入金後に貨物を引き渡す場合は、輸出者と輸入者が親子会社の関係であったり、取引実績が長い場合を除いて一般的にSea Waybillは使用しません。 オリジナルを使用し、取引状況にあわせてB/Lを引き渡しします。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] 航空貨物のリスク管理 航空貨物では、信用状取引の場合などはどうするのでしょうか? Air Waybillのオリジナルを持っていても、B/Lのように拘束力がないため貨物は引き取りが出来てしまいます。 実際に銀行に配達されるわけではありませんので、航空輸送の場合の信用状取引ではこのような方法となります。 航空貨物の流れ フォワーダーからみた貨物の流れを見てみましょう。 HAWBとMAWBが発行され、到着地まで行く流れとなっています。 航空貨物の流れ ①シッパーが貨物をフォワーダーに渡す ②フォワーダーが検量、梱包などをする ③フォワーダーが航空会社にブッキング ④輸出通関 ⑤HAWBが発行される ⑥MAWBが発行される ⑦他の混載貨物とULD(航空機に載せる箱のような機材です)に組まれる ⑧航空会社に貨物とともにMAWBを渡し、HAWBを預ける ⑨フライト ⑩到着 ⑪航空会社から貨物とともにMAWB、HAWBを貰う ⑫他の混載貨物とブレークされる ⑬輸入通関 ⑭配達 多少都合により前後する場合がありますが、一般的にはこのような流れになります。 AWBの記載事項、見方について 最後にAirWaybillには具体的にどのようなことが書かれているのか、実際に取引に使われたAWBをもとに記載内容をご紹介します。 AWBの記載内容 ・HAWB番号 ・MAWB番号 ・シッパーの氏名、住所 ・コンサイニーの氏名、住所、電話番号 ・運送状発行会社名と住所 ・発地空港 ・経由地空港、航空会社名、便名 ・宛先都市名、空港名、便名 ・貨物取扱上の注意事項、危険品の場合は所定の文言 ・通貨、運賃支払い元 ・個数、重量、運賃適用重量、適用運賃KG当たり ・貨物の明細、原産国 ・元払い運賃合計、着払い運賃合計 ・その他の料金 ・AWB発行年月日、発行場所 まとめ いかがでしたでしょうか。 海上輸送のB/Lと合わせて学ぶ方が理解もしやすいと思いますので合わせて記事を読んでみて下さい。 航空貨物の流れとAir Waybillの記載内容を理解すると、お客様に対して的確にアドバイスをすることが出来るのでしっかりと内容を抑えましょう。

Seals Thai 工藤さんにインタビュー。優れたスキームで物流・商社案件を獲得する秘密に迫りました! | 物流コラム

Seals Thai 工藤さんにインタビュー。優れたスキームで物流・商社案件を獲得する秘密に迫りました!

弊社は日系の物流業者のお客様が数社あります。同業者の下請けという形でサービスをご提供させて頂いているのですが物流会社というのはそれぞれカラーが異なります。 今回のお客様は元々は物流業者でありながら商社業も営んでいらっしゃるSEALS THAI INTER CO., LTD.様。 優れたビジネススキームで弊社とは全く違う形で顧客獲得をされているMDの工藤さんにインタビューをしてきました。 Sealsってどんな会社? 紹介が高確率で仕事につながるスキーム タイに来て大変だった事は? HPSの物流サービスを使った感想 工藤さんの今後の展望 SEALS THAI INTER CO., LTD 会社案内 社名:SEALS THAI INTER CO., LTD. 住所:1 EMPIRE TOWER (TOWER 2), 16th FL., UNIT 1606, SOUTH SATHORN RD., YANNAWA, SATHORN, BANGKOK, 10120 THAILAND. 代表者: Ken Kudo (工藤 健) Website: http://seals.co.th/ まとめ 弊社では同業者のお客様が何社かいらっしゃいますが、同業者として案件の獲得方法や同業者からのオペレーションに対してのコメントを頂けたので非常にありがたいインタビューとなりました。 物流には様々な役割があり中小企業では協力しあってお客様に対しての物流をサポートしています。Sealsはその中で中古機械の取り扱いの強みを生かしながら優れたビジネススキームでタイで経営をされていました。 もし中古機械でお困りなことがありましたらSEALS THAI INTER CO., LTD.様にお問い合わせください。

原産地証明書の原産地基準とは?WO・PE・PSの3つの基準について解説しました。 | 通関・関税

原産地証明書の原産地基準とは?WO・PE・PSの3つの基準について解説しました。

貿易取引において、経済連携協定(EPA)を結んでいる国同士との取引で輸入時に製品の関税優遇を受けるために、原産地証明書を使用することがあります。 低い関税の適用を受けるためには製品が対象となる国で生産されたこと、すなわち原産品であるかどうかを証明する必要があります。 では、その原産国を決定するための基準はどのような取り決めがされているのでしょうか? 以下に原産地規則・基準とはどのようなものかを見ていきましょう。 原産地証明について動画で解説 原産地に関する規則 原産地規則とは 原産地に関する規則について、まず原産地規則が存在します。 貿易業務において原産地規則とは、原産地証明書を申請するときに輸出をする対象となる貨物の原産地を決定するための規則を示します。 輸入国の税関へ申告を行い、特恵関税の適用を受けるときに原産地証明書とともに、原産国を特定し原産性を示さなければなりません。原産品であるかどうか一定の基準を設け、特定するための決まりが必要です。 経済連携協定(EPA)を締結している国々と、発展途上国との貿易に関しては「特恵原産地規則」という決まりが定められています。 原産地規則は「原産地基準」+「原産地手続き」という原則で成り立っています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa/?lang=ja" target="_blank"] 原産地基準とは 原産地規則の中の原産地基準とは、貿易取引対象の貨物が原産性が高いかどうかを見分けます。 原産地基準が定められていれば、どのような基準を満たしていれば原産品として認定されるのかを客観的に示すことができるのです。 EPAでは原産地基準で原産国の製品として認められるための基準として、3つの基準ががあります。 相手国との協定の中で基準が明文化されていますが、各協定で適用する基準が異なる部分はあります。 日本は現在18か国とEPAを結んでいますが、それぞれの国と日インド経済連携協定、日タイ経済連携協定など個別の協定を結んでいます。 さらに細かい基準の内容や、3つのうち適用できる基準は各協定で異なっているものの、原産地基準において存在するのは下記の3つの基準と考えて問題ありません。 ①WO:完全生産品 ②PE:原産材料のみから生産 ③PS:実質的変更基準を満たす産品 原産地証明書の申請をするときにこの原産地基準も併せて申告することになりますが、原産地基準は原産地証明書の原産地基準欄に記号で記載をされます。 「Origin Criterion」「Preference Criterion」という項目に記載されます。 原産地基準の記載方法 引用元:公益財団法人日本関税協会 記載方法は、各国の協定によって分かれています。 日本がEPAを結んでいる国の中での表記方法の例は、以下の通りです。 ①例:タイ WO:完全生産品 PE:原産材料からなる産品 PS:実質的変更基準を満たす産品 ②例:マレーシア、インドネシア、チリ、フィリピンなど A:完全生産品 B:原産材料からなる産品 C:実質的変更基準を満たす産品 原産地基準、3つの分け方 WO(A):完全生産品 まず1つが、完全生産品=「Wholly Obtained」を表すWOという基準です。 輸出入取引の対象となる製品(完成品)の原料まで遡っても、原産国として協定の締約国かつその1か国のみが該当することとなります。 原料の生産から完成品の加工・生産まで、全て1か国で完結しているので最も明確に製品が「原産品」だと示すことができます。 PE(B): 原材料からなる産品 原産材料のみから生産される産品=「Producted Entirely」を表すのがPEという原産地基準です。 A国と協定を結んでいる国へ輸出し、A国産の製品として輸入国で特恵関税を適用させたい場合があります。 引用元:公益財団法人日本関税協会 図の場合、麺などの一次材料はA国産(=原産材料)で、A国で加工・製造を行い完成品のカップラーメンはA国産製品として輸出されます。 しかし、実はさらに麺の原料の小麦まで遡って調べると、小麦は協定を結んでいる二国以外の、第三国であるB国産(=非原産材料)となります。 完成品の一次材料は原産材料ですが(ここが重要)、二次材料以降と遡っていくと非原産材料が使用されていることになります。 PEの基準の場合、一次材料に対応する原材料であれば原産性が完全に確保されているということですが、この場合でもA国が原産国として認定され特恵関税適用の対象となります。 ※一次材料:完成品に直接使用される材料。一次材料を加工・製造をすると完成品となる。 ※二次材料:一次材料の原料となっている材料のこと。 PS(C): 実質的変更基準を満たす産品 PSは「Product Specific」の略で、実質的変更基準を満たす産品とされています。直接非原産材料を用いて、協定の締約国の中で生産をしたものと定義されることもあります。 PSの基準では、一次材料から非原産材料のものとなっています。 非原産材料から、加工などの変化を加えることで別の完成品を作り、締約国内の原産品として輸出をします。 一次材料が複数ある場合でも、非原産材料が1つでも含まれていればPSに該当します。 下の図であれば、他の国で生産された材料である牛乳や小麦粉に加工を加え、別の製品であるお菓子を製造しています。 お菓子が製造された国を原産国としています。 引用元:公益財団法人日本関税協会 PEでは完成品のみが完全に原産性が確保されていることになりますが、PSでは非原産材料に一定の変化が加えられ、原産品が最終的に作られたというように認められれば、対象製品そのものが原産品として扱われることとなります。 その変化とは更に3つの基準が設けられています。 この基準も、EPAの各国との協定によって明文化され、細かい数値などの基準は異なりますが、存在するのは下記の3つの変化の基準です。 ①関税分類変更基準 材料が該当する関税分類番号(HSコード)と、完成品の番号が一定以上変化が発生したとします。 下の図では日インドネシア協定を例にとっていますが、原産材料のHSコード上2桁の「類」が完成品では他の類へ変化が起こっています。 このようなあらかじめ規則で決められているHSコードを原材料の段階と完成品の段階で比較をすれば、客観的に変化だと認定ができるのです。 引用元:公益財団法人日本関税協会 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hs-code/?lang=ja" target="_blank"] ②付加価値基準 原料から完成品へ加工するときに、付加された価値が一定以上であれば変化と認定します。 変化と認定する付加価値の割合は、EPAにより異なります。※例:日タイ→40% 原料の価格から、完成品を作るためのコスト(製造費、人件費、販売費など)を追加した完成品の価値から、コストの割合を計算します。 ③加工工程基準 原料から完成品への加工工程によって変化が起きたと見なす基準です。 加工工程とは化学反応・蒸留・精製などの工程が定義されています。 原産地手続き 原産地規則は、「原産地基準」+「原産地手続き」の要素で成り立っています。 原産地規則では原産性を確保するための原産地基準が設けられ、さらに製品を原産品として申請するための原産地手続きが設けられています。 ①第三者証明制度 原産地証明書を輸入国の税関に提示し、申告する製品が原産品であることを証明します。輸出者が原産地証明書を輸出国で申請し発行する。※日本では日本商工会議所が発行を行う。 取得した原産地証明書を輸入者へ送付し、輸入者が輸入国で税関へ申告する流れとなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] ②自己申告制度 輸出者や輸入者、そして生産者などの関係者が、対象製品が原産品であることを示す書面を用意し輸入者が輸入国で税関へ申告する方法です。 ③認定輸出者自己証明制度 輸出国で認定をされた輸出者が申告文と認定番号を輸出のインボイスに記載をし、その書類を輸入者が輸入国税関へ提出→原産品であることを証明します。 まとめ 貿易実務においては原産地証明書を輸出入で扱う際に、この原産地基準という取り決めに関わっていることが多いと思います。 実は原産地証明書ではきちんと決められた基準の中で輸出入申告貨物の原産性を証明しているのです。原産性を示すための基準は、公正な貿易取引を行う上で重要な役割を果たしていると言えます。 【参照元】 公益財団法人日本関税協会 https://www.kanzei.or.jp/

輸出・輸入の税関検査とは?検査の種類や費用について解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

輸出・輸入の税関検査とは?検査の種類や費用について解説しました。

国際物流では貨物の通関の際に税関検査という貨物チェックが入る時があります。税関検査は税関職員によって行われ、海外旅行から帰ってきた際に税関を通る時に行われているものに共通しています。 荷物を開けて違法な薬物などが入っていないか、関税のかかるものは正しく申告されているか、日本でそのまま持ち込むことが禁止されている植物や肉などが入っていないかなどがチェックされます。 今回は商業貨物の輸出入においての税関検査がどのように行われているかを見ていきましょう。 動画で解説 税関検査の目的 税関検査は輸出・輸入の両方で行われます。その税関検査の目的は次の通りです。 税関検査の目的 ・輸出申告書、輸入申告書の内容とあっているかの確認 ・法律で定められた基準に適しているか ・申告外の品物が紛れていないかの確認 この法律で定められた基準とは何でしょうか?それぞれ輸出と輸入では違いますので、確認していきましょう。 輸出の税関検査 輸出では武器や兵器などの戦争やテロなどに転用される恐れがある品物を無断で輸出させないようにするための確認です。 そんなものを輸出することなんてないとお思いかもしれませんが、該当する可能性のある品物は多岐にわたっています。 例えば一般的にはパソコンであっても、高度な機能が入っていれば転用できる可能性があるのです。繊維製品から測定器までいろいろな物が輸出貿易管理令で規制されています。 輸入の税関検査 輸出の税関検査より、輸入の検査の方が色々な確認事項があります。 輸入の税関検査の確認事項 ・覚醒剤や麻薬などの輸入してはいけないものがはいっていないかどうか ・原産地が正しいか、原産地が誤認される表記はないか ・納税申告が正しいか ・他法令の手続きがきちんとされているか 税関検査の種類 それでは次に、税関検査には具体的にどのようなものがあるか見ていきましょう。 見本確認 これは貨物の一部を抜き取り税関に持ち込み確認をうけるものです。数量の確認がいらないもので内容を確認したいだけの時は見本確認になります。 税番が合っているかの確認が多く、税関職員が見て問題なければそのまま許可になります。 一部指定検査 一部指定検査の場合は、指定された貨物1カートンなどを税関に持ち込み、そのカートン内の個数と内容を確認します。 全部検査 全部検査はその名の通り、申告した貨物すべてを確認します。 税関検査を受ける場所 これまで税関検査の種類を見てきましたが、見本確認や一部指定検査では多くの場合、税関の検査場での持ち込み検査になることが大多数です。 税関の検査場というのは各税関内に検査をする場所が設けられていて、そこに貨物を持ち込み税関職員と顔をつきあわせて貨物の内容を確認をする検査です。 現場検査 この検査場に持ち込みができない大型の貨物は現場検査という検査方法がとられます。 現場検査というのは貨物の置いてある保税地域や保税倉庫に税関職員が出張してきてくれて、その場で確認をする検査です。 大型X線検査 近頃増えてきているのが大型X線検査です。これは税関近くに税関管轄の大型X線検査装置が設置されており、全部検査の時にその装置で検査が行われることがあります。 FCLの貨物でコンテナ単位で申告した場合、コンテナをドレーで引っ張った状態で大型X線検査場まで入りそのままコンテナをシャーシにのせたままドレイごとX線装置にかけられます。 貨物をコンテナから出す手間がなく、検査が10分程度で終わります。 この場合だと、もし貨物に変な影や申告外物品など不明なものが発見されるとコンテナの扉をあけ、すべての貨物を出す全量デバン検査に変更されることもあります。 税関旗 ところで税関旗って知っていますか? これを知っている方は税関通です。通関業者かドレーのドライバーでしょう。税関旗は大型X線検査の際に税関から手渡される大きい旗です。 大きさは竿の長さ1メートルぐらいの旗で紺地に黄色の字ででかでかと税関検査と書かれています。 この旗をドレーのドライバーが持って行くと引き取りのコンテナヤードで待たずにコンテナを引き取れるのです。 通常のコンテナ引き取りは並んだ順に1~2時間待機して引き取るのですが、(繁忙期には3~4時間かかることもあります)、それを全く待たずにして引き取れるのです。 税関検査の料金 そして税関検査では税関に支払う費用というのはありません。 しかし、検査の際には通関士や通関従業者が立ち会いをします。その立ち会い費用はかかることが多いです。 また、コンテナヤードから税関検査の場合はコンテナのシフト料、LCLの場合でも貨物のシフト料、税関への持ち込みのトラック費用もしくは大型X検査場までの場合は数万円のドレー費用が余計にかかります。 それに加えて、貨物を開披するために人件費や作業料がかかったり、もし全量デバン検査になった場合は多くの作業料、保管料までかかったりします。 検査費用は1カートンだけであれば数千円ですみますが、1パレットで1万円程度、コンテナ一本になると数万円以上の費用がかかります。 拒否できない税関検査 費用のことを考えるとなるだけ税関検査は避けたいものですが、税関から税関検査しますといえばそれに従うしかありません。 税関にできないと言えば言うほど怪しまれるので、検査費用はある程度かかるものと思って準備しておいた方がいいかもしれません。 まとめ 税関検査は税関から検査の指定をされると拒否できるものではありません。 通関業者から税関検査になりましたとの連絡が来たら、急いでいる貨物であっても検査を受けるしか方法はありません。 出来るだけ普段から納期に余裕をもって事前準備をしておくことが大切です。

国際物流における最適な梱包とは?強化段ボールやスキッド・クレート・パレット梱包など様々な梱包について解説をしました。 | 輸送・ロジスティクス

国際物流における最適な梱包とは?強化段ボールやスキッド・クレート・パレット梱包など様々な梱包について解説をしました。

通販で何かを買った時に、商品が何も梱包されずにそのまま届く場合はほとんどないと思います。一般的にはどんな物を運ぶ時でも梱包されています。 そして貿易の仕事では梱包はなべくお金をかけずに最低限でいいと思われがちです。せっかく貨物を送ったり受け取ったりしたのに、壊れて使えなかったら送った意味がありません。 普段、日本で活動されている人は貨物は安全に運ばれて当たり前かと思われているかもしれませんが、国内貨物と国際貨物では全く輸送事情が違います。 これから海外へ輸出貨物を出そうとしている方に、梱包において気をつけなければならないことをお伝えします。 梱包について動画で解説 海外の荷扱いの現状 国際輸送では日本国内の輸送では考えられないくらい荷物の扱いが雑な場合があります。 例えば、海外旅行に行って飛行機にスーツケースを預けると壊れてしまう時があると聞いたことはありませんか?実際にスーツケースのキャスターがとれて無くなったという話を私の周りでも聞いたことがあります。 海外では商品であれ、お客様のものであれ荷物が投げられていると日本ではあまり考えられない事が起きているからです。 航空貨物と海上貨物 航空貨物は軽く、海上貨物は丈夫にするのが基本です。また木材を使う場合は必ず輸出国の木材規制を確認しましょう。 国際貿易における木材こん包材の規則にのっとり、木材を熱処理またはメチルブロマイド燻蒸などをした承認マークがついた木材を使わないと輸入ができない国が増えています。 航空貨物の梱包 航空貨物は航空運賃を重量(または容積重量)にかけて計算します。とにかく梱包材の重さを軽くすることが運賃を下げることにつながるため、軽い梱包材を選ぶことが多いです。 容積重量に関してはこちらの記事に詳しく書いています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/chargeable-weight/?lang=ja" target="_blank"] 航空輸送では梱包は段ボールのカートン、木箱であればすかし梱包が主流です。 貨物の大きさにもよりますが50キロまでであればカートンがいいでしょう。カートンにカートンのスキッドやパレットをつければ100キロぐらいまで大丈夫です。 輸送用の特殊な段ボール カートンは国内輸送で使うような普通のカートンでは危険です。フォワーダーではダブルカートンと呼ばれるものを使う事が多いです。 ダブルカートンは厚紙の間にある波なみの緩衝材になる部分が二層になったものです。普通のカートンの2倍の厚みがあるものを使っています。 普通の国内輸送のカートンを使う場合には普通に梱包した後に、もう一つ大きいカートンに入れ直しカートンを2重にしたりもします。 海外では残念ながら投げられて仕分されてしまう時がありますので、投げられても壊れないように梱包する必要があります。 航空貨物の場合、通常はダブルカートン、大型貨物でもトライウォール(3層カートン)が多いです。木材梱包は壊れやすい物、精密機械、重量貨物などに使用されます。 海上貨物の梱包 海上貨物は梱包材が海上運賃に与える影響は少ないため、海上輸送中に起こりやすい水濡れ対策を施した梱包、大型貨物を安全に運ぶための梱包などが求められます。 LCLの水濡れ事情について 海上混載貨物(LCL)ではいろいろな貨物が一緒のコンテナに積まれるため、個々の貨物を保護するために梱包した状態で渡し、段積みできるように対策していないとCFSで受けてもらえない時があります。 またタイのCFSは倉庫でなく屋外で作業される事があります。乾季は問題ありませんが雨季だと急なスコールで貨物が濡れてしまう時があります。 FCLの水濡れ事情について またコンテナ輸送でよくあるのが結露です。冬場は特に多く届け先に着いたらコンテナの壁に近くに置いてあるカートンがビショビショだったというのはよくあります。 また稀にですが船に積み込む時のガントリークレーンの操作ミスでコンテナ上部に穴を開けられ、そこから雨水が入る時もあります。 コンテナを納品した時には天井に穴がないのを確認しているのですが、貨物が着いたら天井に穴が開いて貨物もビショビショになっている時がたまにあります。 海上輸送の機械の梱包 機械を輸送する時はバリア梱包を使う時が多いです。バリア梱包とは真空梱包の事でバリアメタルという湿気を通しにくい素材でくるみ、掃除機のようなもので空気を吸い出し乾燥剤を入れて品物を包む梱包方法です。 その上から、木箱やトライウオールなどで梱包をします。 東南アジアを渡る船の場合は特に温度や湿度の変化が大きく、錆やカビが発生する場合があるからです。 バリア梱包に加えて、気化性防錆フィルムといわれるポリエチレンシートなどに気化性防錆材料を塗布したフィルムで製品を包んだりすることもあります。 木製の梱包資材と梱包方法について 木製でも木は生木、合板、ISPM NO.15の処理をされた木材と種類があります。 合板(ベニヤ)は輸出梱包材としては木材としては扱われず、接着剤で貼り合わせた木製の加工品という扱いになり燻蒸等の処理が必要ありません。 合板は安いですし木材として扱われないために梱包材としてはとても優秀なのですが、耐荷重がありません。1トン以上の貨物には使えません。 密閉箱 密閉箱は一般的によく使われます。立方体のすべての面を木材で覆い、中身がみえません。税関検査の際に梱包を開けるのが大変というデメリットがあります。 高価な品物には盗難対策として密閉箱を選ぶこともあります。 すかし箱 - クレート梱包 すかし箱はクレートと呼ばれていますが木材の木の間が開いており、中身が少し見える梱包のことです。メリットは重量が軽くなることとです。 壊れにくい貨物には適しています。 パレット梱包 パレットは木やプラスチックのパレットの上に貨物を載せる形状です。カートンに入れてパレットに乗せ、シュリンクで巻いたり、バンドルで巻いたりします。 パレットからはみ出るように貨物を乗せると貨物同士がぶつかって壊れやすいので、荷物よりも大きいパレットサイズを選びましょう。 スキッド梱包 スキッドは貨物にあわせて架台をつけるような形です。それぞれの貨物専用に大きさに合わせて梱包容器を作ることは運賃を下げるためには重要ですが、梱包日数がかかったり梱包料金が上がってしまいがちです。 小さいパーツをおくるのには事前に用意しておいた箱にいれ、大きい物はパレットやスキッドにするといいかもしれません。 またプラント設備の梱包の場合、貨物が大きすぎるのでスキッドだけを貨物に履かせてフラットラックコンテナに積んで輸送する場合があります。スキッドにベルトをつけて吊り上げたりもしますので強度が必要です。 梱包を最小限にする または梱包は最小にとどめ、貨物をFCLで送る方がかえって安上がりのこともあります。貨物の安全性、輸送費用をトータル的に考えて最適な梱包を提案してくれるフォワーダーさんは頼りになります。 「イケてるフォワーダーの仕事」についてはこちらに記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/good-forawrder-sales/?lang=ja" target="_blank"] まとめ 国際物流の中で梱包というと簡単に考えられますが奥が深いです。梱包には荷物を安全に運ぶという重要な役目があります。 最近ではエコの観点からリターナブル容器を使うという選択肢もあります。今までの梱包を見直してみるいい機会にしてみましょう。

EPAとは?EPAの基礎を理解し関税や投資などメリットある貿易取引きについて解説しました。 | 通関・関税

EPAとは?EPAの基礎を理解し関税や投資などメリットある貿易取引きについて解説しました。

EPAという言葉を聞いたことがありますか? ものすごく簡単に言えば「TPP」のようなものです。TPPはメディアにも取り上げられているので馴染みのある言葉かもしれませんが、これは貿易に関する言葉です。 そしてEPAも同じくして貿易の時に使用する言葉なんです。そしてこのEPAを理解していると有利に商品を仕入れることが出来たり、他国へ投資をしたりするときにもメリットがあるんです。 今回はEPAの基礎的な内容についてご説明をしていきます。 EPA(経済連携協定)とは EPAの正式名称は「経済連携協定」- Economic Partnership Agreementと呼ばれ、2国間で経済的にメリットのあるように協力をしましょうねという取り決めです。 では経済的なメリットととは、どのようなことを意味するのでしょうか? FTAとEPAの違いは何か? 経済的なメリットを得る為に各国の外務省の偉い方達が様々な協議をしています。上述したTPPもその一つですし、EPAの基盤となるFTAと呼ばれるものもその協議で決められました。 FTAは「自由貿易協定」 - Free Trade Agreementの事で、EPAと併せて覚える方が理解しやすいので簡単にご紹介します。 ・FTA:物だけの貿易のことで「物品の関税を削減・撤廃する協定」のこと ・EPA:物のほかに投資規制の撤廃や、知的財産制度や競争政策の調和なども入っている包括的なもので、人、物、金の移動の自由化、円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定であります。 EPAの活用法 具体的にビジネスでは実際どのような場面でEPAが活用できるのか、EPAの具体的なメリットとポイントを見ていきましょう。 より安く輸出入したい ポイント:輸出入にかかる関税の削減・撤廃    EPAを使えばコストを減らせるかもしれません。条件がありますので次の項で詳しく説明していきます。 海外で自分たちのサービスを提供したい ポイント:サービス業を行う際の規制を緩和・撤廃する  貿易はモノ以外にもサービスが国境を越えてやり取りされるようになりました。海外のコールセンターや海外旅行も国境を越えたサービスで、EPAで参入が自由化され流ものがあります。 このサービスとは実務、通信、金融、運送、観光・旅行などの分野に分類されております。他国に進出するにあたり、これらのサービスの規制の自由化が進み経済的なメリットを産むようになっています。    安心して海外に投資したい ポイント:投資環境の整備を行う 海外に自社ビジネスを展開したいが、相手国とトラブルが起きるのではないかと不安になる場合がありますよね。 EPAを利用すると他国の政府から収益を得る機会を奪われるようなことがあったり、契約を履行しないなどのリスクもあったりします。EPA締結国同士ではそのようなリスクは低くなっています。 海外でのビジネス環境に改善要望をしたい ポイント:ビジネス環境の整備を協議する 海外でインフラ・治安・法務等様々なビジネス上の問題に直面した場合、ビジネス環境の整備に関する委員会を通じて外国政府と協議ができる場合があります。 貿易における関税について 通常、輸出入を行う際に各国が定めた関税を支払う必要があります。輸入時の関税は国内産業を守るためでもあります。 この関税には、WTO(World Trade Organization)で定められた原則に基づいて全ての国に対して共通の関税率が適用されます。 EPAによる関税削減・撤廃 しかし、輸出入に際してEPAを活用すると通常よりも有利な関税率の適用を受けることができる場合があります。 EPAを結んだ国の間ではMFN税率(WTOの税率)より低い税率を定めることができるため、EPAを結んでいない他国よりも低い税率で輸出入を行うことができます。 ただし、MFN税率よりも低い関税率の適用を受けるためには適用されるための要件を満たす必要があります。 それではEPA特恵税率が適用されるための要件について見ていきましょう。 EPAによる関税削減の適用条件 ① 製品にEPA特恵税率が設定されているか? ② 製品にEPAの原産資格があるか? ③ 原産地を証明する必要書類 ④ 船積みを証明する書類 この4つの条件を確認しなければいけません。では一つずつ解説をしていきましょう。 ①製品にEPAの特恵税率が設定されているか? EPAを使ったら全ての品目で関税の優遇が受けられると言うわけではありません。二国間の協議で品目ごとに特別な関税率(特恵という)が決められているのです。 例えばタイの冷凍鶏肉のWTOの関税率は11.9%で、EPAを使うと8.5%になります。製品によっては無税になるものもあったり、特恵がないものもあったりします。 このように、そもそもの特恵税率が適応されているかを確認する必要があります。 ②製品にEPAの原産資格があるのか? EPAの原産資格というのは、対象の製品が「本当に原産国で作られたものなのか?」ということです。 それには以下のような基準があります。 ⑴ 完全生産品(WO) ⑵ 当該締約国の原産材料のみから生産される産品(PE) ⑶ 非原産材料を用いて加工された産品(PS) この原産基準については別の記事で詳しく解説しようと思います。 今はこの3種類の原産基準があって、これらに当てはまっていると原産資格があり特恵関税が適用となると理解してください。 ③原産地を証明する必要書類 EPAの利用には「特定原産地証明書」が必要です。 例えば日本―タイの場合でのEPAでは(JTEPA)は二国間の取り決めであり、その特典であるEPA特恵関税は日本やタイの現産品に限り適用されるからです。 日本とタイの二国間のEPAを使うのに、製品が中国製だと適用されません。従って当該物品が原産品であることを確認しそれを証明する必要があります。 特定原産地証明についてはこちらの記事をご確認ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] ④船積みを証明する書類 船積み証明書(B/L)はEPAの特恵関税を適用させる為に必要な書類です。基本的には輸出国から輸入国まで対象産品の原産性を維持したまま輸送することが要求されます。 しかし第三国で蔵置、積み替えて輸送する場合などでは原産品の資格を失っていないことを証明する為に以下の書類が必要となります。 ・通し船荷証券の写し *Through B/L ・加工などが行われなかったことを示す書類 (税関またはほかの権限を有する官公署が発給した証明書) ・その他(タイ)税関長が適当と認める書類 例:タイの場合 まとめ EPA活用による輸出入の際に必須となる要件をよく理解すれば商品の付加価値を増し、顧客の信頼を高めることにつながります。 条件は色々ありますが協定や基準をしっかり理解できれば、ビジネスチャンスが広がるのではないでしょうか。 まずは自分の貿易取引商品が対象輸入産品で、EPA特恵税率が設定されているかについて調べるところから始めてみましょう。

HSコードとは?輸出入の手続きに必須の「世界共通ルール」を解説!関税率にも影響するので理解をしましょう。 | 通関・関税

HSコードとは?輸出入の手続きに必須の「世界共通ルール」を解説!関税率にも影響するので理解をしましょう。

貿易の世界では「HSコード」という用語が使用されることが多々あります。HSコードは輸出入をする製品をコードで表し、世界中の国が貿易の取引をスムーズに行うための役割を果たしています。 今回はHSコードの概要と決め方、実務上どのような場面で使用するのかを順に解説していきます。 HSコードを動画で解説 HSコードを決める目的 貿易で輸出入の対象となる製品は、生鮮食品から工業製品まで多岐に渡ります。工業製品は製品ごとの型式もあり、全ての輸出入品の種類は数えきれないほどになるでしょう。 輸出入の手続きで、インボイスや梱包明細の品名を確認しただけでは、その製品がどのようなものなのか判断ができないことがあります。 そこで輸出入の申告をするときにHSコードを用いて、瞬時に対象製品が何かを特定することができます。HSコードの利用は輸出入手続きをスムーズにする趣旨がありますが、具体的には次のことに役立っています。 HSコードの活用目的 ・該当製品の正しい関税率を参照、適用できる。 ・輸出入した製品のデータを取りまとめ、統計を取る。 車のホイールのHSコード 例えば、乗用車ホイールは6桁で「8708.70」というように分類されます。 HSコードでどのように製品を分類するか明確に決められているので、「8708.70」というコードの情報があれば、税関はどのような製品を輸出入するのかすぐに認識することができるのです。 参照元:経済産業省ホームページ HSコードを規定する法令 HSコードはどのような枠組み、基準の中で取り決めされているのでしょうか。 世界共通のコード HSコードは、世界税関機構(WCO)が制定している「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」=「HS条約」で規定されています。 この条約は現在世界で150か国以上が加盟しているため、世界共通ルールであると言えるでしょう。 HSコードは約5年ごとに製品の分類方法の見直しがされ改定が加えられています。より詳細に製品を分類したり品目が新たに追加されることがあります。 HSコードは税関が公表している、輸出統計品目表で確認することができます。 ※税関 - 輸出統計品目表 (2020年版) 世界共通と各国独自のコード これに基づき、分類した製品の種類ごとの関税率が決定されています。世界共通認識で輸出入時に製品の種類は6桁のコードで表されます。 6桁までのHSコードは、日本も含め輸出入通関で共通しています。 6桁以降の数字は条約加盟国が各国の国内法に基づき、対象製品をより細かく分類、特定するために使われることがあります。 そして日本では国内ルールで10桁まで使用されています。 HSコードを用いた分類方法 次に、HSコードを用いた具体的な分類方法を紹介します。 HSコードの分類 ①類…コードの上2桁 ②項…コードの上4桁(類を含む) ③号…コードの上6桁(類・項を含む) ここまでの6分類(6桁)が世界共通です。では以下に製品がどのように分類されるのかイメージを掴んでみましょう。 HSコード「類」 ①の「類」は第1類から97類まであります。 まずは製品の大まかなジャンルで分類されます。 第1類:動物(生きているものに限る。) 第2類:肉及び食用のくず肉 第8類:食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮 第9類:コーヒー、茶、マテ及び香辛料 第10類:穀物 第11類:穀粉、加工穀物、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グルテン 第97類:美術品、収集品及びこつとう 上記のような形で97種類に分類されることとなります。 1類あれば上2桁は「01」、第2類であれば「02」、第97類であれば「97」というように番号が振られます。 例えば玄米は6桁のHSコードでは「10.06.20.」と分類されますが、まず第10類:穀物に属している製品ということになります。 HSコード「項」 ②の「項」で、類で分類されたものをさらに細かく分類します。 穀物はこのように分けられています。 10.01:小麦及びメスリン 10.02:ライ麦 10.03:大麦及び裸麦 10.06:米 この10.01のようなコードがHSコードの上4桁です。 HSコード「号」 ③の「号」では、項で4桁に分類されたものを製品の原料や材質などで分類をします。 【第10類(穀物)の分類】 項 10.04 オート 10.05 とうもろこし 10.06 米 10.07 グレーンソルガム 【項10.06(米)の分類】 項 10.06 米 号 1006.10 -もみ 1006.20 -玄米 1006.30 -精米 1006.40 -砕米 玄米のHSコードは10桁であれば「10.06.20.090.4」と表されますが、7桁目から10桁目は日本の国内法で項以降を細かく分類したものとなっています。 日本では「輸出入品目の統計データを詳細に取ること」、「税関手続きのシステムであるNACCSで使用すること」を目的に7桁目以降を使い、製品を分類しています。 HSコードが必要となるケース HSコードがどのようなものかはご理解できたかと思います。ではこれらは具体的にどういうシチュエーションで活用されるのでしょうか。 一つずつ見ていきましょう。 輸入通関 HSコードは輸出入申告時に輸出国、輸入国でそれぞれ適用されます。 HSコードの6桁の分類は世界共通ですが、製品分類の解釈の仕方で輸出国と輸入国で相違が発生してしまうケースがあります。 それが関税率が違うHSコードであれば、輸入時に輸入製品の正しい関税率が適用されません。 通関士によるHSコードの選定 フォワーダーのような輸出入代行業者で通関手続きを行うときは通常、資格を有する通関士が輸出入製品のHSコード選定を行います。 船積書類の品名から実績等も加味し選定をしますが、品名だけでは製品が何か分からない場合は詳細を調べたり、原材料などの化学品であればMSDS(成分安全データシート)で材質まで調べた上でコードの特定が必要となります。 輸出手配上、輸出者が書類に記載したHSコードと通関士が選定したHSコードの相違が発生してしまうことがあります。 そのときは輸出者へ確認を行い、製品の詳細説明を求め成分表等も確認した上で判断を行うことになります。税関へHSコードの問い合わせをすることができるので、選定に迷ったときは税関へ問い合わせをするのが確実です。 HSコードの情報が品名と併せて税関に申告され、許可が下りれば輸出入許可書に品目番号として記載されます。 輸出入申告の流れ 流れをまとめると以下のようになります。 ①(輸出者:製品のHSコード選定)、インボイス等作成 ② 通関士:通関依頼作成、製品のHSコードの選定 ③ 税関へ申告 ④ 輸出入許可 通関士の仕事についてはこちらの記事に詳しくご説明しましたのでご覧ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/customs-broker/?lang=ja" target="_blank"] HSコードに関する各国の取り決め 輸出者から発行されたインボイス等の書類を扱っていると、品名と併せてHSコードが記載されているのを見かけることがあると思います。 それは製品を輸入する国の輸入申告手続きで、事前にHSコードの情報送信が必須となっているために記載をしている場合が多いです。 向け地ごとの輸入ルールで、HSコードの情報について取り決めがされています。 24時間ルール EU地域やアメリカで輸入通関を行うときには、24時間ルールが定められており、船積みの24時間前までに、現地の税関へHSコードを含めた輸入品詳細の情報送信が必要となります。 輸入手続きをスムーズに行うため、インボイス等にHSコードを事前に記載をしていることが多くなります。 各国への事前連絡 現地のフォワーダーからも、事前に製品のHSコードの情報提示を求められるでしょう。 最近は、フィリピン、ベトナム、インド、インドネシアなどアジアの国々でHSコードに関する通達が公に出されることが増えました。 これらの国々では、現地の税関へHSコードの情報を事前に送信するとともに、BL上に品名と併せて記載が必須となっています。 BLに正しいコードを記載するために、BL作成をするフォワーダーは輸出者に、インボイス等の船積書類にもHSコードを記載してもらうのが良いでしょう。 そのとき、輸出者と輸入者側で摺り合わせを行った上で書類に明記することで、輸入国側のHSコードの解釈と相違ないようにします。 原産地証明書 EPA(経済連携協定)を結んでいる国へ製品を輸出する場合、原産地証明書で製品の原産国を提示することによって関税の優遇を受けることができます。 原産地証明書を取得して輸出する場合、正しいHSコードが適用されていなければ、誤った関税率で計算され関税の優遇が受けられなくなることが考えられます。 特定原産地証明書は輸出者が日本商工会議所に申告することとなりますが、申請する前に、輸入国で適用されるHSコード6桁の特定、関税率の確認が必要です。 日本商工会議所によると、特定原産地証明書にHSコードの記載は必須項目ではありませんが、相違が発生したときは最終的に輸入国の税関のHSコード選定判断に従うことになります。 予想外の関税適用となってしまえば輸出者と輸入者のトラブルの元となります。事前に輸出者側が輸入者に確認を取り、インボイスや原産地証明書に記載をしておくのが一般的です。 原産地証明に関する記事はこちらにまとめておりますので併せてご覧ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] まとめ HSコードに関するルールは、貿易の世界で必須の知識となっています。 全ての製品の細かい分類方法までは網羅する必要はありませんが、輸出入の手配を行う上で、概要を押さえどのように使われているのか、なぜ使われているのかを把握する必要があります。 今後も、輸入手続き時のHSコード情報送信に関する取り決めを新たに行う国が増えるかもしれません。 安全を守るために輸出入品対象品の規制を強化していくにあたり、HSコードの重要性は高まっていくと言えます。

通関士の仕事について解説!通関実務のリアルな仕事内容をご紹介します。 | 通関・関税

通関士の仕事について解説!通関実務のリアルな仕事内容をご紹介します。

通関士と聞いてどんな仕事をイメージするでしょうか? 私の周りからですが「何するの?」「英語を使う仕事?」「かっこいい!」等 という声を聞いたことがあります。国際物流業に携わっていないと、それほど身近ではない通関士の仕事は理解されにくいかもしれません。 今回はそんな通関士の仕事内容についてご紹介します。 動画で解説!通関士の仕事内容 通関士の仕事の概要 通関業務とは大きくわけて3つあります。 ① 他社から依頼を受けて、貨物の輸出・貨物の輸入をする際に税関に申告をして許可を受ける ② 関税法などの処分に対して、税関長や財務大臣への不服申し立て ③ 税関各署に対する主張または陳述 ほとんどの業務は輸出・輸入の際に税関に申告して許可を受けるまでの①の業務を毎日やり続けます。 ②③の業務は①の後に不服があった場合に申し立てや陳述するので、通関業務といえば申告業務を指すのです。 通関士の実務 申告業務が通関士の仕事ですが、申告業務がどういったものかもう少し詳しく説明します。 通関士は輸出入において他社の依頼を受けて税関に申告します。その輸入者、輸出者から輸出入に関わる商品の売買の請求書、船積み書類などをもらって代わりに税関に申告し、必要な検査などを受けて税関から許可をもらいます。 輸出入者本人が税関に申告するのはもちろん可能です。貨物が置いてある管轄する税関に行って、ご自身で申告書を書いて許可をもらうこともできます。 では実際の実務をやっている人に参考になるように、どのように申告書を書いているかを紹介します。 輸入申告の流れ 輸入申告は自国に輸入していい貨物、絶対に輸入してはいけない貨物があり(武器・麻薬など)、輸出申告より厳しいと日常業務で感じています。なので今回は輸入申告について見ていきましょう。 まずは輸入申告の為に必要な書類をご紹介します。 輸入申告に必要な書類 ・インボイス ・パッキングリスト ・B/L ・アライバルノーティス ・商品説明書 ・原産地証明書(あれば) ・他法令に該当すれば他法令許可書 関税額の確認 例えば、タイ産マンゴー 100個 / CIF 100,000円とすると通関士はインボイスを見てマンゴーを実行関税率表で確認します。 この実行関税率表にはHSコードと呼ばれる税番が載っており、すべての品物にこの数字9桁の税番を決めます。 実行関税率表から税番が決まったら次に関税率や消費税を確認します。 タイ産のマンゴーはJTEPAを使うと関税0%です。 消費税はCIF価格100,000円 × 10% = 10,000円となります。 EPA/原産地証明に関する記事はこちらをご覧ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] 税関への説明・検査 金額などを申告書に記載して税関に輸入申告書を提出します。流れとしてはこのような感じです。 1. 必要書類を税関に提出 2. 税番の根拠を説明 3. 貨物の現品検査 4. 納税して輸入許可を受ける 実際の業務は税関と通関業者はNACCSといわれるシステムでつながっているため、通関士はそのシステムにHSコードや金額を入力すると税額は計算され、輸入申告は送信のボタンを押すだけになっています。 必要な書類は税関にPDFで送ることもできるようになっており、時間の短縮につながっています。 輸入申告の注意点 意外と簡単そうと思割れるかもしれません。しかし申告書を作成するのに1件5分で仕上げられるものと丸一日以上かかる複雑なものもあります。 商品100アイテムあった場合 それに伴い税番をそれぞれ振り分け、税率ごとにまとめたりします。 また税番を振り分けるというのも一筋縄ではいかないところです。明らかに税番が決まるものありますが、該当しそうな税番がいくつもあるものは事前に税関に相談したりする場合もあります。 それによって関税率が変わり、輸入の費用に影響がでるため重要なところです。 書類のミスをチェック インボイスが正しいかどうか確認すること、サンプルなど金額が抜けているものがないかチェックしたりもしています。貿易の際に書類が間違っているというのは往々してあります。 毎回足し算が間違っている書類がくる場合もあります。 税関検査について 申告をすると以下の数字がNACCSに表示されます。 1. 即時許可 2. 書類審査を経て許可 3. 書類審査を経て現品検査その後許可 申告はNACCSで申告の送信ボタンを押すとランダムに1.2.3の数字が表示され、"1"だとそのまま許可です。"2","3"の場合は申告に必要な書類を添付して税関に送付し税関の担当者からの連絡を待つことになります。 書類上問題がなければ そのまま許可になることもあれば、貨物検査をすることになると検査の指定表が送られてきます。 貨物の立ち会い検査 貨物検査は通関士か通関従業者が立ち会うことになりますが貨物検査の瞬間は通関士に緊張感が走ります。指定された箱を持ち込んで税関職員と顔を見合わせながら箱を開けるのですが、それまで中身をみることはできません。 輸入したものの場合、「書類上の品物が出てこなかったらどうしよう。。」と通関士はいつも思いながら開けるのです。 申告したからには、通関士が許可まで責任を持たねばなりませんので、毎回ドキドキしながら貨物検査を受けることになります。 何はともあれ、許可が出れば貨物を引き取り国内貨物として流通できるようになります。その許可について不服がなければ、通関士の1件の申告は終わりになります。 通関士の特技 たまに身の回りのもの全ての税番を言える通関士さんもいます。 百科事典のような実行関税率表が頭にはいっているということなのでとても凄いことなのですが、通関士以外の人に言っても驚かれるさことはありません。 これがなぜ凄いかというと、身の回りの物の材質がわかっているということを意味しているのです。多くの品物は材質がわからないと税番はわけられません。 例えば靴だったら、これは本革なのか合皮なのか。プラスチックでもPP(ポリプロピレン)製かPE(ポリエチレン)製かによって違い申告内容が変わってきます。 なので依頼した通関業者から商品の説明を詳しく聞かれた場合には面倒くさがらずに対応してあげてください。 まとめ なんとなく通関士の仕事内容がイメージ出来たでしょうか。 貨物の輸出入には通関士が影で活躍しています。普段通関士のことを考えたことがない人も、どこかの通関士が通関した品物を毎日使っています。通関士は納期に間に合わせよう、予定の船や航空機に載せられるように、必死に計算し、書類を照らし合わせています。 きちんとした書類、必要な書類は渋らず出してくれると 通関士の仕事に大いに役立ちますので、何卒ご協力をお願いします。

3国間貿易の流れとメリットを解説!スイッチB/Lやインボイス, 原産地証明の記載内容とは? | 輸送・ロジスティクス

3国間貿易の流れとメリットを解説!スイッチB/Lやインボイス, 原産地証明の記載内容とは?

3国間貿易と聞くと「何か難しそう。。」と思われる人もいるかもしれません。 慣れてしまえばそれ程 難しくありません。業界では通称「3国間」「仲介貿易」などと呼ばれていますが、主要な貿易形態のうちの1つです。 輸入者、輸出者にとっていくつかメリットがある方法なので、貿易に携わっていれば3国間貿易を取り扱うことがよくあります。 ただし、輸入者と輸出者が直接やり取りをするときよりも更にプロセスが必要で仲介する業者やフォワーダーは取扱いに注意しなければなりません。 今回は3国間貿易の全体像と特色を押さえて解説をしていきます。 3国間貿易について動画で解説しました 3国間貿易の流れ 3国間貿易は輸出者、輸入者の他に第3国の仲介業者が間に入って取引を行う貿易形態です。 以下の当事者が発生することになります。 ・輸出者(Shipper): A国 ・仲介業者(Buyer): B国 ・輸入者(Consignee): C国 ※A国、B国、C国は全て別の国となります。 国によって3国間に関する法律は異なりますが、日本では自由に取引できると定められています。その中でいくつか細かいルールや制限は定められています。 代表的なものとして、仕向国が外為法輸出管理令で一定の決まった国・地域の中では経済産業大臣の許可がいることが挙げられます。 契約と支払いについて 3国間貿易では「金額の取引」と「商品の輸送」は流れが少々異なります。 売買契約と支払いは「輸出者 - 仲介業者 - 輸入者」の間でそれぞれ行われています。 輸出者と輸入者の取引実績がなくても、共通して契約している仲介業者があれば貿易ができるということです。 代金の流れ 代金は輸入者から仲介業者に仲介業者のマージン込で支払われます。その後、仲介業者から輸出者へ代金が支払われるという仕組みです。 商品の流れ 商品の流れに関しては輸出者から依頼を受けた輸出国のフォワーダーから、輸入国のフォワーダーへと渡りアレンジを行っています。 基本的にインボイス・パッキングリストなどの船積書類及びB/Lは輸出者から入手しフォワーダー経由で輸入者へ送付されます。 3国間貿易の目的・メリットとは? 3国間貿易では、間に仲介者を挟むことによって輸入者・輸出者双方に生まれるメリットがあります。 まず3国間貿易の取引の特色から、以下のような経済面のメリットがあります。 輸出者・輸入者のメリット 輸出者のメリット ・輸入者との交渉の手間が省け製品販促のための費用が削減できる。 ・取引や販売実績のある仲介業者を間に挟むことで、取引実績の少ない輸入者からの代金回収リスクを防ぐ。 輸入者のメリット ・仲介業者に取りまとめをしてもらうことで、輸出者に販売価格を有利に交渉してもらえる。 ・製品の輸送は輸出国から輸入国へ直接となるので、輸送コスト削減となる。 ・製品が第3国を経由して輸送されないので、その分の消費税がかからない。 例えば、海外に現地法人があるけれども支払いのみ本社で行いたい場合があります。 外国の工場から仕入れたものを直接現地に送り、代金の支払いは本社が取り纏めて行うことが可能となります。 これは本社が法人税率の安い国にあれば、本社で売上を計上することによってトータル的に法人税を抑えられるメリットがあります。 または現地法人のキャッシュフローや代金回収リスクを軽減することが出来ます。 輸出者(仕入れ先)を隠すことができる 3国間貿易は他に、輸入者にとって輸出者=仕入先を分からないように隠すことができます。 代金に関しては、輸入者と仲介業者がやり取りをされ、輸出者から発行されたインボイス(=請求書)は通関用として扱われ現地送付厳禁となります。 スイッチインボイスの使用 そして3国間でConsigneeへのインボイス送付指示があるならば、スイッチインボイスを用いている場合が大半です。 輸出通関上は輸出国から輸入国へ直接製品が輸送されるため、製品の価格に加え輸出国→輸入国への輸送量、保険料などが込み(タームによる)の請求金額が記載されたインボイスを提示して申告することとなります。 通関用のインボイスが誤ってConsigneeの手に渡ってしまえば、仲介業者からの請求金額との差額で、仲介業者がどのくらいマージンを乗せているのか判明してしまうことになります。 これは仲介業者と輸入者との信頼問題に繋がるので、フォワーダーにとってもインボイスの取り扱いは特に注意が必要となるのです。 3国間貿易の例 ここから例を上げて説明をしていきます。日本の会社とアメリカ会社がタイ産のマンゴーの取引をすることになりました。アメリカの会社にはタイの輸出者は知らせないものとします。 この時に登場するインボイスとB/Lについてご説明します。 ①インボイス(輸出通関) ②スイッチインボイス(輸入通関) ③最初のB/L ④スイッチB/L スイッチインボイスの使用 【①輸出通関に使うインボイス】 ※輸入者に送ってはいけない ・Seller:輸出者 - タイ ・Buyer:輸入者 - アメリカ ・Notify:仲介業者(Bill To) - 日本 【②輸入通関用のインボイス(スイッチインボイス)】 ・Seller: 仲介業者 - 日本 ・Buyer: 輸入者 - アメリカ スイッチインボイスは輸出通関用とは別で作成され仲介業者と輸入者の商取引の請求書として使われ、輸入通関にも使われます。 スイッチB/Lの使用 またB/Lも仲介国でスイッチB/Lに切り替えることで、輸入者に輸出者(仕入れ先)を知られずに輸送することができます。 スイッチB/Lでは輸出者の社名に代わって、仲介業者の社名を記載するということが可能になるのです。 スイッチB/Lの流れ ではスイッチB/Lの仕組みをもう少し詳しく見ていきましょう。スイッチB/Lでは、仲介業者の第3国のフォワーダーがB/Lを発行し、Consignee送付用として切り替えを行います。 この場合仕向け地はそのまま輸出国→輸入国となり、製品の輸送もそのまま直で行われますが、B/L上の表記は異なります。 ③【最初のB/L】輸出者→仲介業者へ送付 Shipper:輸出者 - タイ Consignee:仲介業者 - 日本 ④【スイッチB/L】仲介業者→輸入者へ送付 Shipper:仲介業者 - 日本 Consignee:輸入者 - アメリカ 上記のように3国間貿易の中で2種類のB/Lが発行されることとなります。 ④輸入者へ渡るB/L(スイッチB/L)には、Shipperとして仲介業者が記載されることになるので、輸出者(仕入れ先)が判明することはありません。 3国間貿易での原産地証明書 EPA(経済連携協定)を結んでいる国同士の貿易であれば、輸出国で原産地証明書を取得し 輸入国で提示をすると関税が優遇されます。 3国間貿易の場合でも、輸出国と輸入国がEPAを結んでいれば間に業者が入っていても適用は可能となります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] その場合、輸出国の特定原産地証明書が必要となります。多くは、第3国発行のインボイス番号の記載が必要となっています。 第3国から仲介業者→輸入者へ送付されたインボイス(スイッチインボイス)の番号で、輸入される製品との一致を取るのです。 また、スイッチB/Lで輸出者(仕入れ先)を隠していても、原産国と輸出者(製造元)が原産地証明書で記載されることとなってしまうので、原産地証明書を申請する場合は輸出者への確認を事前に行うようにしましょう。 原産地証明書で輸出元が判明してしまうリスクを双方が認知していないと、トラブルを生むことになってしまいます。 まとめ 3国間貿易は主に経済的なメリットが強く活用されている機会が多いものですが、実務上書類の取り扱いに注意が必要です。 書類送付ミスで情報漏えいとなった場合、輸出者と仲介業者が 客先(輸入者)からの信用を失ってしまいかねません。 3国間貿易を進める場合は、各関係者と綿密なコミュニケーション、確認を取りながら進めていくようにしていきましょう。

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。 | 輸送・ロジスティクス

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。

「危険品の輸送」と聞いてどのようなことをイメージされるでしょうか? 危険なものを運ぶの? そもそも運べるの? 実は危険品にはいろんな種類があって身近な製品に使われているのも危険品だったりします。 一般的に危険品といって思いつくものは人によって違うと思います。爆薬やライターなどを思いつくかもしれません。それらももちろん危険品なのですが、今回は国際輸送上で危険品と扱われる物はどんなものか見ていきましょう。 危険品の輸送を動画で解説 危険品について まず私が取り扱った危険品を思い返してみました。 車のエンジン、車のバッテリー、エンジンオイル、接着剤、ドライアイス、圧力タンク、ノートパソコン(リチウムイオン電池)、スプレー缶、バーベキュー用木炭、塗料など これらを見て意外な物は含まれていませんか? まず大事なことは初めて輸送する貨物が危険品に該当する物ではないかと疑ってみることがです。 もし危険品を通常貨物として輸送してしまうと、航空機や船の運航に影響をあたえたりトラブルがなくても罰金が科せられることもあります。例えば米国では最高27,000ドルの罰金とされています。 もしかしたら危険品かもしれないと思った場合は、フォワーダーに確認してみましょう。 UN番号と危険品クラス 危険品を国際輸送する場合は国際的に決められた規則があります。 国連で「危険品輸送にする勧告」(通称オレンジブック)で定められたルールにのっとって輸送します。 危険品にはすべて国連番号(United Nation Number)という番号が付けられており通称でUN番号・UNナンバーと呼ばれております。 それらを危険度別に1から9までのクラスに分類しています。 危険品のクラス 1. 火薬類: 花火、発煙筒など 2. 高圧ガス: 燃料ガスボンベ、消化器、スプレー缶など 3. 引火性液体類:ガソリン、灯油、塗料など 4. 可燃性物質類:活性炭、マッチ、硫黄など 5. 酸化性物質:漂白剤、過酸化ソーダなど 6. 毒物類:殺虫剤、農薬など 7. 放射性物質類:核燃料物資など 8. 腐食性物質:蓄電池、水銀、硫酸など 9. 有害性物質:リチウム電池、ドライアイス、磁石など こういったものが危険品とされるのです。 危険品は船会社や航空会社それぞれ載せられるものが決まっており、載せられるものでも量が決まっています。しかも それぞれの会社によって規定が違うのです。 そのため事前に船積みできるかどうか確認しなければなりません。 一般的に航空会社は船会社よりも厳しい規定を適用しています。UN番号で問い合わせすれば、積載できるかどうかを教えてもらえます。 このように覚えておきましょう。 危険品を取り扱う時の事前準備 危険品を実際扱うとなると、船会社、ヤード、港湾、通関業者すべてにSDSを送付し、コンテナ危険品明細書(通称赤紙)などを事前に提出します。そして貨物を安全に取り扱うための指示をだします。 その他にも貨物へ貼るラベル、ケースマーク、包装容器の種類など細かい規定がいろいろあります。また、その輸出入地それぞれの国の危険品の規制があります。運送上の経由地である積み替え港でも適用されることがあります。 そのため現地にもSDSを送り事前に連絡しておく方が後々のトラブルになるのを防げます。 SDSとは? そのUN番号、9つのクラスはどうやって知ることができるのでしょうか。SDSという書類にのっています。SDS(Safety Data Sheet)は安全データーシートというもので、化学物質が含まれる製品に発行されるものです。 以前はMSDSという名称でしたので、現在では両方使われています。SDSは化学物質のメーカーや製造者が発行し使用者に渡されるものです。国際物流では必要になる書類なので必ず取り寄せなければいけません。 どこで入手するのか SDSは製造者やメーカーのホームページでダウンロードできたり、電話やメールで問い合わせすればすぐに送ってもらえます。英文のものが必要です。一部、中国に輸出する場合は中国語が必要になる場合があります。 SDSの記載事項 SDSに記載されていることは、製品の取扱方法からもし漏れたときの対処方法や有害性の情報などがのっており16項目に分かれてます。 9項の危険品情報では引火点が書いてあります。航空貨物でも海上貨物でも必要な情報です。14項の輸送上の注意の欄では、日本の消防法などの分類と国際規制について書かれています。 そこには先ほど出てきた積載できるか確認するための番号UN番号と9つのクラス等が書かれています。 危険品の通関ついて 危険品の通関で気をつけることは危険品はフリータイム(貨物が無償で保管できる期間)がとても短いため、通関を急ぐ必要があるということです。 また危険品はもし通関にトラブルがあり許可が遅れてしまうとスケジュールが大幅に遅れてしまうだけでなく、デマレージの金額が跳ね上がってしまいます。 早めに準備をしてSDSの内容をきちんと確認して通関準備には時間をかけましょう。 危険品の国内輸送について 輸送時、保管時に気をつけることは、国際輸送するからといってオレンジブックに定められた国際規定だけを気にしてはいけないと言うことです。 日本の国内に貨物がある場合は、日本の毒劇物取扱法、消防法、高圧ガス保安法などの規定に準じた取扱をしなければなりません。 例えば通常のコンテナヤードには一時保管はできるものの、長い保管はできない為その危険物を取り扱うことができる倉庫に保管しなければなりません。 その保管倉庫では消防法が適用されます。トラックで輸送する場合は毒マークをつけたりもします。 まとめ 危険物を安全に輸送するためには、いろいろな規定があることがわかっていただけましたでしょうか。なかなか普段から危険品を扱っていないと、危険品を輸送するのは大変です。 危険品を輸出入するためには、危険品への知識をもったフォワーダーに依頼し、専門の業者と協力して取り扱うことをおすすめします。