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貿易コラム

貿易管理プラットフォームの時代!?これからの物流DXを考える。 | 物流ニュース・物流ラジオ

貿易管理プラットフォームの時代!?これからの物流DXを考える。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、5月19日付の海事新聞の記事から、Zenportがアプリ「ZenBox」をリリース、についてお話していきたいと思います。 2022年5月19日イーノさんの物流ラジオ Zenportのアプリ「ZenBox」リリース 貿易管理プラットフォームを開発・運営するZenportが、PDFなどの貿易書類をPF上で効率的に管理するための専用アプリ「ZenBox」をリリースしました。 ZenBoxは富士フイルムビジネスイノベーションが提供する、文書管理ソフト「DocuWorksDesk」と連携したものです。 スキャン画像やPDFを、エクセルなどのデータファイルを関連付け、案件別に効率的に管理できるサービスです。 ZenBoxについて 輸出者・輸入者やフォワーダーなどの貿易関係者が、オンラインで貿易情報を管理できるPFを提供しています。 輸入者からの発注情報、フォワーダーからの船積み情報など、貿易関係者が個別に抱えるデータをゼンポートのPFが自動的に取り込み、統合します。 関係者が貿易に関する情報をPF上で共有することで、貿易業務の円滑化を目指しています。 ZenPortのサイトを見てみました。 貿易の案件ごとで輸送状況が一目で分かるようになっており、とても便利だと思います。他にも案件ごとでチャット(コミュニケーション)が出来ます。 プラットフォームの利点 従来はメールでのコミュニケーションで、貿易関係者のメールはとにかく多く、1日100件ほどは並だったりします。 自分が担当している案件のメールを探すにもひと手間かかり、過去の案件を振り返る場合も、その時のやりとりを探すのにも時間がかかります。 なので、メールを共通のプラットフォーム上で管理できるのはとても重要なポイントだと思います。 一つのフォーマットに整理・格納 産業界全体でデジタル化が進む一方で、貿易業務では依然として、ファクスや紙でのやりとりが残っています。 これら書類をPDFや画像データとして取り込み管理する企業もありますが、画像として取り込まれた書類は、文書内の情報が構造化されていないため、船積み情報など構造化されたデータとの関連付けが難しく、管理が煩雑になっています。 フォーマットもバラバラで、PDFの場合、必要な情報でソートしたりすることが出来ません。 そこでゼンポートはアプリZenBoxを開発しました。 ZenBoxでは、輸出者やフォワーダーなどから紙文章を含むさまざまな形式でアップロードされた電子書類を、輸入者はZenBoxと連携した富士フィルムBI(ビジネスイノベーション)のDocuWorksDeskを通じて船積み案件ごとに、簡便に整理・格納することができます。 画像データの読み取り ZenBoxのアプリを探しましたが見つからなかったので、僕の推測ですが、電子書類の画像データを読み取って、自動でB/L、Invoice、Packing List、C/Oを振り分けるようです。 ここで、PDFの船積み書類情報がちゃんと統一されているかというのが重要です。 画像情報を一元管理できれば、AIで間違い探しをし、アラートや自動修正ができれば素晴らしいと思います。 Zenportさん、もしこの放送を聞いていたら教えてください。 Zenportの太田社長は「貿易業務ではさまざまな電子化プロジェクトが進んでいるが、関係者が多いこともあり、電子化は急速には進展しないとみている。」と発言しています。 更に、「完全な電子化と、現段階の部分的な電子化の間をつなぐソリューションとして、ZenBoxは有効だ」とメリットを強調しました。 鴻池運輸のサービス「KBX」 合わせて、同じく本日の海事新聞の鴻池運輸の記事をご紹介します。 鴻池運輸は5月17日、輸出入業務の手配依頼から進捗確認、手配完了までの一連の機能をオンラインで行えるサービス「KBX」を開始したと発表しました。 見積もり、進捗確認、手配完了までのやりとりをウェブ上で完結するサービスです。 Bookingは出来るかは不明で、Bookingできたとしても船会社のAPIと連携ができるかはわかりません。 プラットフォームとフォワーダー これからはフォワーダーのサービスの使用には、それぞれのプラットフォームを使う時代になるのかもしれません。 もちろんスペースが取れる、運賃が手頃であるというのは重要ですが、今後は情報の使い勝手も差別化の要因の一つになる可能性があります。 プラットフォームを持っていないフォワーダーの場合は、情報管理が引き続きメールと紙となり、情報管理にアプリやシステムを使うことに慣れた世代からは選ばれないのではないでしょうか。 船会社のBookingシステムも今後、どのように発展していくのかもポイントです。 今の船だけのBookingが、トータルロジスティクスにも対応出来るようになるかもしれません。 まだどうなるかはわかりません。 僕が発信している内容は、僕の主観が結構入っているので、参考の一つ程度にして頂いて、ご自身でも調べる・考えるというのをやって頂いた方が良いと思います。

豊田通商、アフリカのスタートアップ企業に約2.6億円出資、物流のデジタル化を促進。プラットフォーム戦国時代。 | 物流ニュース・物流ラジオ

豊田通商、アフリカのスタートアップ企業に約2.6億円出資、物流のデジタル化を促進。プラットフォーム戦国時代。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、5月18日付の海事新聞の記事から、「豊田通商、アフリカ物流PFに出資し、アフリカの物流のデジタル化加速させる」についてお話していきたいと思います。 2022年5月18日イーノさんの物流ラジオ 豊田通商、ナイジェリア企業に出資 豊田通商は5月11日、国際物流手配が可能なデジタルプラットフォーム(PF)を展開するナイジェリア企業のOnePortに200万ドル(約2.6億円)出資すると発表しました。 OnePortは2020年設立のスタートアップ企業です。 OnePortのサービス 荷主が、アフリカ発着の輸出入を行う際、OnePortのPF上で、海上運賃の見積もりや予約・追跡、通関申請、海上保険の見積もり・手配などを一括して行うことができます。 まさに、デジタルフォワーダーのプラットフォームです。 日本でもデジタル化の動きは出てきており、同じような機能がアフリカでも使えるようになります。 アフリカの港の現状 一般的にアフリカの港は、港ごとに独自の運営体制や商習慣があり、物流工程をデジタル化できる部分と、アナログな対応が必要な部分が混在しています。 このアナログ対応のところが厄介で、主に紙を使うため、紛失などの不安があります。 ナイジェリアでは50社以上がOnePortのPFを利用しており、4月にはガーナでのサービスも開始しています。 豊田通商のアフリカ物流をデジタル化 今回、豊田通商はグループ会社のモビリティ54インベストメントという会社を通じて出資をしています。 モビリティ54ではこれまで、東アフリカで物流のデジタルPFを展開するケニア・センディ、西アフリカで同PFを展開するコートジボワール・カムタールへの出資を通じて、アフリカ域内の物流効率化・デジタル化を推進してきました。 今回、豊田通商がOnePortに出資することで、 アフリカの物流セクターの課題解決に努める方針だと記事は締めくくっています。 アフリカのリープ・フロッグ アフリカのマーケットは先進国の技術が入ってきて、リープ・フロッグが起きています。 リープ・フロッグというのは、他の国でコツコツと積み上げてきたものを、先進国のテクノロジーを使って一気に発展することです。 日本は既に発展しており、ある程度上手く展開しているため、テクノロジーの導入が進まないというケースがよくあります。 しかしアフリカの場合は、テクノロジーを入れないと、物流の場合、貨物がどこでどうなっているかが全くわからないのが現状です。 追跡システムが全くなく、盗難などもあるかもしれません。そこで、一気にテクノロジーを取り入れていこう、という発想です。 プラットフォーム戦国時代 僕の英語のYouTubeからもプラットフォーマーから問い合わせをよくいただきます。 どこもプラットフォームを開発しているようで、プラットフォーム戦国時代のような感じです。 日本のトレードワルツのように大きなプロジェクトで、誰かが統一するのか、もしくは、地域や分野ごとでプラットフォームの勝者が出てくるのか。 この先、数年で動きがもっと出てくると思いますので、業界関係者は注目だと思います。

6月の上海のロックダウン解除で運賃が高騰?世界一の港稼働でスペース不足再来か。 | 物流ニュース・物流ラジオ

6月の上海のロックダウン解除で運賃が高騰?世界一の港稼働でスペース不足再来か。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は5月17日付の海事新聞の記事から、「上海発のコンテナ運賃がロックダウン解除で反発か」についてお話していきたいと思います。 2022年5月17日イーノさんの物流ラジオ 上海ロックダウン解除 中国・上海市は16日に6月中に企業・住民の活動を正常化すると発表しました。 上海のロックダウンは、3月末からスタートし、2ヶ月ほど経っています。 現在の運賃レベルはどうかというと、上海航運交易所によると、13日付の上海発北米西岸向けコンテナ運賃(スポット)は、40フィートコンテナ当たり7,900ドルと前週比12ドルの上昇です。 微増とはいえ4月末以来の値上がりとなりました。 北米東岸向けは1万560ドルとこちらは4週連続の微減です。 海上運賃への影響 ただ、西岸東岸向けとも4月上旬に比べて小幅な減少にとどまっているとのことです。 スポット運賃の下げ止まりにブレーキがかかる一方、もう一つの運賃総合指数(CCFI)は3,088ポイントと、前週に比べて21ポイント上昇しています。 CCFIは短期運賃だけでなく契約運賃も含まれているため、2022年度運賃交渉による値上げ効果が反映された可能性があります。 6月中のロックダウン解除が発表されたことで、ここから再びコンテナ運賃が全般的に上昇に転じる可能性がありそうです。 上海のフル稼働 すでに上海の企業の生産活動は5割が再開したとの情報もあります。しかし完全な輸送需要の回復には、ロックダウン解除から最低1カ月は必要と言われています。 例えば、田舎の労働者を上海へ戻さないといけない、などの問題があり、すぐにフル稼働で生産できるわけではありません。 また、ターミナルも貨物が滞留しているため、目詰まりを解消しなければいけません。 昨日コメントを頂きましたが、日本から上海に送られた貨物が日本にシップバックされたとのことです。 再び需要逼迫か 記事の最後に、仮に6月上旬に解除となれば、7月から荷動きが盛り上がり、再び需給逼迫による混乱が起こるのではとの指摘もあります。 北米向けのピークシーズンは一般的には7月−9月なので、そのタイミングで正常化し、上海はフル稼働となるかもしれません。 上海港は世界一のコンテナ取扱港のため、急にフル稼働となったら物流は大きく乱れるでしょう。 更に連日お伝えしていますが、北米西岸の労使交渉があり、ストライキがあります。 スポット運賃が高騰する可能性、北米に向かった船が沖待ちとなり、スペースがまたなくなる可能性が高くなります。 実務者としてもやばいなという感覚があります。 引き続き情報をお届けします。

北米西岸労使交渉、東海岸側のILAが港自動化に徹底交戦。自動化は生産性向上ならず? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸労使交渉、東海岸側のILAが港自動化に徹底交戦。自動化は生産性向上ならず?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Joc.comの記事より、「国際港湾労働組合(ILA)のハロルド・ダゲット会長が西岸港湾の労使交渉での自動化を痛烈に批判」についてお話していきたいと思います。 2022年5月16日イーノさんの物流ラジオ 労使交渉スタート 北米には、北米西岸港湾の労働組合(ILWU)、北米東海岸の労働組合(ILA)の二つの労働組合があります。今日は東海岸側のILAの意見をメインにお伝えします。 5月10日に北米西岸港湾の労使交渉がスタートしました。 東海岸の労働組合(ILA)のダゲット会長は、米国におけるさらなる海上ターミナルの自動化に「徹底抗戦」すると発言しました。   今週、西海岸の労働組合が、港湾使用者団体(PMA)と交渉を開始したことに対して、ダゲット氏の自動化への大反対として、ビデオで以下の声明を発表しています。 ILAの主張 「西側の組合は、組合員のために素晴らしい契約を結んでくれると確信している」と、ダゲット氏は語り、「ILAが西海岸の港湾労働者をしっかりと支えていることを世間に知らしめたい」と明言しました。 また、「私たちは同じ仕事をし、同じ会社のために働いており、私たちは一体であることを世界に示す必要があり、世界中の港湾労働者は、かつてないほど団結している」とダゲットは付け加えています。 港湾はとにかく自動化を嫌がっており、これはILWUとILAは同じ意見です。 東岸の自動化 2018年に決まったILA(東海岸)の現行の労働協約では、「完全自動化された端末の開発や、完全自動化された機器の使用は、双方がその実施について合意しない限り、行わないものとする」と、契約には書かれています。 同時に、ILAは、港湾の近くで、5Gの技術が利用可能になりつつあることを通して、さらなる自動化の可能性に警戒を続けています。   ILAのダゲット氏は「自動化は2つのことをする。それは、企業を金持ちにし、港湾労働者を失業させることだ」としています。 「オートメーションは生産性を向上させない。自動化は生産性を向上させるものではなく、生命と生活を破壊するものであり、私たちはILWUとともに徹底的に戦う」と述べています。   港自動化の効果 ダゲット氏は、生産性を向上させないといっていますが、PMA(港の使用者団体)は、西海岸の2つの自動化ターミナルは、非自動化ターミナルに比べて、既存の設置面積でより多くのコンテナを処理できると報告書を発表しています。  では、自動化に必要な5Gの通信技術はどれくらい効率化につながるのでしょうか。 フィンランドのノキアの研究者が発表した2021年9月の論文で、「5G技術は港の自動化を可能にする大きな可能性をもたらし、港の柔軟性、予測性、安全性の向上につながる」と述べています。  進む技術開発 今年の3月、香港の港湾事業者ハチソン・ポーツ(Hutchison Ports)は、イギリスの最大の港のFelixstowe港で5G技術のテストを行っていると発表しました。 テスト内容はガントリークレーンの遠隔操作です。 クレーンには人がのぼり、クレーンの操縦室から船にコンテナを積み込み、積み下ろししています。これは騒音がすごく、クレーンから離れたモニタールームで遠隔操作できる方が操縦士の負担が減ります。 また、完全自動運行のストラドルキャリアも既にあります。 このように技術も着々と進んでいます。 今回のように、労使協約への抗戦は、今年中は続くと思います。 また引き続きアップデートしていきます。

風の商船三井!船上で水素生産、貯蔵・発電、風力エネルギーを最大限に活用 | 物流ニュース・物流ラジオ

風の商船三井!船上で水素生産、貯蔵・発電、風力エネルギーを最大限に活用

どうもこんにちは、飯野です。 本日は5月9日付の海事新聞の記事から、「風の商船三井、新段階に」についてお話していきたいと思います。 今週初めの記事ですが、ぜひお伝えしたかったコンテンツですので、本日お届けします。 2022年5月13日イーノさんの物流ラジオ 商船三井のウィンドハンタープロジェクト 風力と水素で航行する究極のゼロエミッション船の開発・建造を目指す、商船三井の「ウインドハンタープロジェクト」が、新たな段階に入ります。 商船三井は「ウィンドチャレンジャープロジェクト」に取り組んでおり、長さ54mの帆(マスト)を使って風を使って船を進めるというものです。 昨日、SEA JAPANでMOLのインタビュー動画をアップしていますので是非ご覧ください。 初ロケ!日本最大の海事展示会 SEA JAPANに行ってきた(前編) プロジェクトの内容 今回は「ウィンドハンタープロジェクト」というものです。 「ウインドハンタープロジェクト」はこの帆の技術に加えて、帆で進んでいる最中に、水中の発電タービンを用いて発電し、水電解により水素を作ります。 水を「水素と酸素に分離し」、水素が得られる装置を船に搭載するわけです。 その作った水素と、水素キャリア・燃料電池とを組み合わせ、風が弱い時の推進力を補って船の定時運航を目指しています。他には船で作った水素を水素キャリアに貯蔵して、その水素を陸上消費向けに供給する活用を検討しています。 水素キャリアというのは水素を運ぶための液体のことです。水素を液体にするとマイナス253度にしないといけないので、別の液体にして、貯蔵・運搬します。 ウィンドハンタープロジェクト、ステージ1 このウィンドハンタープロジェクトを既に実行していました。 「ステージ1」はすでに終えています。 2021年の11月から、全長約12メートルのヨットで、船上水素生産などの実証実験をしていました。 今年3月末までに12回の試験航行を実施し、海上での風による発電、水素生産・貯蔵、貯蔵した水素を使用した燃料電池による発電、電動プロペラによる推進という一連のサイクルを成功させています。 ウィンドハンタープロジェクト、ステージ2 そして、次にステージ2に移行します。 「ステージ2」では、全長60―70メートル級の水素生産船の建造に向けた、実行可能性調査を本格化します。 ステージ1が12メートルのヨットだったので、かなり大きくなります。 2024―2025年ごろまでに竣工する計画です。 独自のシステム搭載予定 これは、風が強い時は帆で進みながら、発電して水素を生産し、風が弱い時は船で作った水素を使って、発電し、プロペラで進む設計となっています。 「風力エネルギーを最大限回収するというコンセプト」で作られています。 更にすごいのは、海上の風の状況を観測・予測する独自のシステムを開発・搭載することも視野に入れているところです。 船を効率的に風況の良いエリアに導く自動航行装置の配備し、最適な風を自動でハントするということです。 新しい挑戦 エンジン開発とは違った別の角度からのゼロエミッションへのアプローチです。 実際に成功するかどうかは分からず、予定していた通りの温室効果ガス削減にはならないかもしれません。 やってみるまで分かりません。しかし、まさしくチャレンジです。 こういう挑戦的な会社さんに頑張って欲しいと思います。 SEA JAPANでMOLの人がインタビューの後で、帆を使うというアイデアが会議で出た時、結構ざわついたとおっしゃっていました。まさか本当に実現するとは、という感じだったようです。 原点回帰と現代テクノロジー エンジンがない時代に使っていた帆を現代に取り入れ、実際にそれを形にされたことが本当に素晴らしいと思います。更に現代のAIなどテクノロジーを使い、自動で最適な風をつかみにいきます。 先日、邦船3社の最終決算が発表され、ものすごい利益が出たというニュースがありました。 ゼロエミッションももちろんですが、色んなところで、チャレンジをする風習がもっと広がればいいと思います。

北米西岸港湾の労働交渉、長期化で新たしい混乱を生み出すか? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸港湾の労働交渉、長期化で新たしい混乱を生み出すか?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「北米西岸の港湾労働交渉がサプライチェーンに新たな複雑さをもたらす」についてお話していきたいと思います。 2022年5月11日イーノさんの物流ラジオ 労働交渉の長期化懸念 北米の西海岸29港の港湾労働者22,400人の新契約をめぐる交渉は、解決に数ヶ月かかる可能性があり、米国の輸出入業者にとってさらなる懸念材料となると報じられています。 交渉開始は今週から始まります。過去にもこの交渉が長期化し、物流の大規模な混乱や遅延を招いたことがあります。 記事は、今年ほどリスクが高いことはめったにない、としています。 混雑は緩和へ コロナの大流行によって引き起こされたサプライチェーンの逼迫が工場生産に負荷をかけ、小売販売を妨げ、インフレを40年ぶりの高水準に押し上げる要因となってから2年が経過しています。 現在のタイミングは、ちょうどアメリカの港がコンテナ船の滞留を解消し、記録的な水準に達した海運運賃が安定しつつあるようにみえる時期です。 現在は上海のロックダウンもあり、LA、LBの沖まちも解消に向かっており、運賃も軟化しています。 今年のピークシーズンの輸入ラッシュ しかし、海運関係者によれば、貨物輸送網は依然として脆弱であり、特に今夏のピーク輸送シーズンの始まりに新たな輸入ラッシュが港を襲う予定であるだけに、協議が加熱し緊張が高まる可能性があるとのことです。 一般的には7−9月が北米のピークシーズンです。10月に中国の国慶節、11月にブラックフライデーでのセールがあり、その前に貨物が大きく動きます。 家具から玩具まで、あらゆるものの輸入業者と、農産物やその他の製品の米国輸出業者は、潜在的な影響に備えているとのことです。 労働者側に有利な交渉 直近の3回の契約交渉のうち、2002年と2014年の2回で労使間の意見の相違があり、貨物の遅延が発生し、個々のメーカーや小売業者が数百万ドルの収入減を被りました。 港湾労働者は、賃金の引き上げ、福利厚生の改善、荷役設備の自動化の制限を要求するとみられています。業界関係者やオブザーバーによると、今回は、組合は通常よりも強い立場で交渉に臨むとのことです。 同組合の労働者は、パンデミックの間も操業を続け、記録的な量の貨物を扱っていました。 港の荷役施設の多くを所有する外資系海運会社は、供給が需要を上回り続ける市場で何十億ドルもの利益を得たので、お金がないと訴えることはできません。 労働者側は港が儲かっているのは分かっているのです。 ホワイトハウスは、交渉が暗礁に乗り上げた場合に介入する権限を持ちますが、労働者側にも友好的とみられています。 交渉はいつまで続くか 7月1日の現行契約期限までに交渉がまとまるという業界関係者はほとんどいませんが、交渉の焦点が絞られていることもあり、年内に合意に達するという楽観論もあります。 前回の2014年での交渉はまとまるまでに9ヶ月かかり、最終的にはホワイトハウスが介入し、年をまたいでの解決になりました。 昨日の放送でもお話しましたが、船会社は、今期は2−3割の減益を見込んでいます。前期の2−3倍の高い運賃が確定しているものの2−3割の減益というのは、貨物量が相当落ちるというのを見込んでいると考えられます。 ストライキは関係ないのかもしれませんが、実際のところは蓋を開けてみないと分かりません。 貨物量が減るから減益なのか、サプライチェーンが乱れないのか、気になるところです。 引き続き情報を確認して発信していきたいと思います。

日本郵船、経常利益邦船初の1兆円越え!商船三井・川崎汽船、邦船3社、過去最高益を達成 | 物流ニュース・物流ラジオ

日本郵船、経常利益邦船初の1兆円越え!商船三井・川崎汽船、邦船3社、過去最高益を達成

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、5月10日付の海事新聞の記事から、「日本郵船、邦船初の1兆円超。前期経常益が邦船3社そろって過去最高」についてお話していきたいと思います。 2022年5月10日イーノさんの物流ラジオ 邦船3社、前期過去最高益 海運大手3社の前期決算が出そろいました。 空前のコンテナ運賃高騰を背景に、各3社の連結経常利益は、郵船が1兆31億円(前期比4・7倍)と邦船初の1兆円台を記録しました。 商船三井は7,217億円で前期比5.4倍、川崎汽船は6,575億円で前期比7.3倍と3社そろって過去最高益を更新です。 今期の見通しは2、3割減益 一方、今期の経常利益の見通しは3社とも前期比2、3割の減益を予想し、コロナ禍の段階的な収束や、世界経済の減速に伴うコンテナ船需給の一定の緩和を見込んでいます。 財務も大きく改善し、3月末時点の日本郵船の自己資本比率は56%となり、前期の29%から大きく上昇しています。  他にも細かい数字が記事にありますので、興味のある方は、リンクをご確認ください。 船社の投資先 ここから何に投資をしていくのかが注目です。 2050年に向けての脱炭素(ゼロエミッション)は既定路線だと思います。また、物流業界はデジタル化が少し遅れているので、DX化ではないでしょうか。 あとは人材かな、と感じています。 海運の業界で人件費が上がってより優秀な人、若い人に働きたいと思ってほしいと個人的には考えています。 コロナ前までは経営が厳しかった船会社ですが、どの船会社も今回大きな利益をあげたから、ここでグッと業界が前に進むかもと期待しています。 今期の見込み利益 北米の需要について日本郵船の今期経常利益は前期比24%減の7,600億円を見込んでいます。 下期以降に世界経済の減速で北米の需要が落ち着くものの、引き続きコロナ禍前を上回る高水準の利益はあると記事は報じています。 今年は北米西岸港湾の労働協約の交渉があり、労働者のストライキで貨物が滞留することが予想されています。 需要が落ち着く見込みか 経常利益が2、3割減ということは、そもそもの需要が落ち着くのではないかという見込みです。 昨日の放送で大手荷主向けのSCで去年の2、3倍の運賃が確定したとお伝えしました。 船のスペースを中国から買い負けせず、船が日本に寄港するようになり、確定した高い運賃でスペースに貨物を積むことができるということです。 去年は日本からのスペースがなく、送りたくても送れない状況でしたが、過去最高益を叩き出しています。 今年は日本からの輸送でスペースがあり、高い運賃で売れるにも関わらず減益というのは、相当需要が落ち込むということを意味していると思います。 北米での買い控え 先日、FRBで0.5%の利上げが決められました。直近の住宅ローン金利(30年固定)は5.3%まで上昇しています。 また失業者1人当たり1.9人の求人があり、需要が極めて高水準にあります。 今後の会合で0.5%の利上げが2回くらい行われそうな見方もあります。北米の金利が高いと住宅・車のローンを控えようとする人が増えると、モノが動かず、北米にある企業も投資を控えるようになるでしょう。 極端に言えば貨物がないので、西岸港湾でストをやっていようが関係なく、減益するということになります。 貨物需要はどこまで落ち込むか しかし、2、3倍の高い運賃が確定し、運べるスペースもあっても、収益が2、3割減というのは、貨物量が半分くらいになるということを見込んでいるのか、と個人的には考えています。 船会社の関係者さんが聞いてらっしゃったら教えてください。 ツイッターなどでDMをお待ちしております。 明日の放送で、ウォール・ストリート・ジャーナルの西岸港湾の労働交渉の記事ついて話をして、もう少し考察していきたいと思います。

日本発北米向けのサービスコントラクトの海上運賃確定!西岸向け、前年の2~3倍の1万ドル! | 物流ニュース・物流ラジオ

日本発北米向けのサービスコントラクトの海上運賃確定!西岸向け、前年の2~3倍の1万ドル!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、5月9日付の海事新聞から、「北米向けのSC運賃交渉が前年の倍以上で決着」についてお話していきたいと思います。 2022年5月9日イーノさんの物流ラジオ 荷主との北米向けSC 日本―北米航路の2022年度サービスコントラクトの運賃交渉がほぼ終了しました。 主要コンテナ船社とフォワーダーを含めた日系荷主(BCO = 実荷主)の交渉でまとまった契約運賃は、北米西岸向けで40フィートコンテナ当たり1万ドル前後になった模様です。 去年、2021年度の契約運賃の水準は、平均で3,000ドル台〜4,000ドルでした。 今年の2022年度の契約運賃は前年比で2―3倍の値上がりとなります。 2021年はスポット運賃利用増 というのは、2021年度は港湾混雑に伴うスケジュール混乱や相次ぐ欠便により、SCの契約運賃で船積みできない荷主が続出しました。 そのために、スポット運賃の利用が急増する結果となりました。 船が北米西岸冲で滞留するため、船が戻ってこられなくなり、更に日本の運賃は安かったため、中国に買い負けて、船が日本に寄港しない状況でした。 よって今年は、荷主はより確実に船積みできる契約を求め、記録的な水準での契約運賃の金額となったということです。 これくらいの金額で日本の運賃水準は一般的か、中国より少し高くなったという記事があり、今年は買い負けることは少ないんじゃないかと思います。 ピークシーズンの運賃適用 日本から北米東岸向けでは1万5,000ドル〜2万ドル、西岸経由のシカゴ向けでは2万ドル〜2万5,000ドルです。 ちなみにこの運賃は、西岸・東岸向けともにピークシーズンやBAF(燃料の割増金)を含めた金額です。 北米向けのピークシーズンはこれまで7―9月の夏場だけでしたが、サプライチェーンの混乱で慢性的にピークシーズンの運賃が適用される状況が続いています。 今回サービスコントラクトで決まった、北米西岸向け約1万ドルはスポット運賃と同じくらいの価格です。 荷主のスペース優先 一般的にスポット運賃の方がサービスコントラクトの運賃より高くなります。 記事は、「荷主側は2022年度、需給が逼迫しても確実にスペースを取れる契約内容を強く切望。欠便になった場合の対応などについても双方合意の上、細かく取り決めたようだ。」と報じています。 フォワーダーとの北米向けSC フォワーダー向けの交渉では、特定荷主の代理となるネームドアカウントの運賃を提供しない船社が明らかに増加しました。その上でフォワーダーに対して、毎月改定されるレート(FAKレート)に一本化する動きが見られました。 ただ、引き続き年間でネームド運賃をフォワーダーに提供する船社もあり、一概には何とも言えません。 これで今年の全体の運賃の底上げも確定しました。 スポット運賃は サービスコントラクトの運賃が北米西岸向けで約1万ドルなので、今年のスポットレートはどうなるのでしょうか? 今年の後半で運賃が軟化するような記事もありましたが、サービスコントラクト以下の運賃には基本なりません。 もし運賃が軟化するのであれば、高い水準で安定するということかと思います。 僕らみたいな中小フォワーダーだと、スポットレートがかなり重要になってきます。 運賃の底上げが確定したため、去年より更に高い運賃になってしまうのか、もしくはスペースが全く取れなくなるのか、実務面からのまた情報をアップデートしていきたいと思います。

DSVのCEOインタビュー!上海ロックダウン後、物流に混乱なしと予想。堅調な売上。買収続く。 | 物流ニュース・物流ラジオ

DSVのCEOインタビュー!上海ロックダウン後、物流に混乱なしと予想。堅調な売上。買収続く。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Joc.comの記事からDSVのCEOインタビューで、「上海ロックダウン後の物流と、今後のフォワーダー業界について」お話していきたいと思います。 2022年5月6日イーノさんの物流ラジオ 上海ロックダウンの影響 デンマーク大手のDSVのCEOは第一四半期を終えて、決算を“Super Strong "と表現しました。 それに加え、DSVのCEOは、中国のロックダウン後の急増による「大きな混乱」はないだろうと発言しています。 もし中国の主要な製造地域でCOVIDのロックダウンが解除され、工場が速やかに生産を再開されれば、予想される物量の急増は、米国と北欧に大きな混乱を引き起こさないだろうとしています。 DSVのCEOはインタビューで「中国の社員は、多くの需要が蓄積されているため、量の急増があるだろう」と述べ、「今から2、3ヶ月後にヨーロッパとアメリカに入る数量から大きな混乱はないと予想している」としています。 北米の輸送安定か DSVのCEOは中国ロックダウン後の北米向けの輸送に混乱はないとしているため、それ程北米での輸送は安定してきている感じではないでしょうか。 別の記事にも、北米での沖まちはあるも定時運航が3月は改善しつつあるからという情報もありましたが、これはまた別の放送で取り上げます。 上海ロックダウンの影響で中国の輸出量の状況は、「ここ数週間、上海からの輸出量は30〜40%減少、中国全体では15%ほど減少している。」としています。 「しかし、世界のGDP成長率はまだ3パーセントと予想されており、伝統的に貨物量は世界のGDPと一致して成長してきたため、下半期の貨物量についてはそれほどネガティブには考えていない」とDSVのCEOは付け加えました。 DSVの業績、買収 DSVの業績は好調で、第1四半期の売上高は、前年同期比77%増の86億ドル(約1.1兆円)、税引前利益は2倍の10億ドル弱(約1,300億円)で、これは2019年通期の税引前利益の実績に相当します。 コロナ前は運賃が安かったため、四半期で通期の業績に追いついたようです。 DSVの通期業績予想には、輸送量と運賃の軟化が織り込まれている、と記事にあります。他の船会社の情報でも通年では運賃は軟化するといった情報がありました。 DSVはここ数年で大きな買収を行ってきましたが、継続した収益性を純粋に大型買収に割り当てることはないだろうとCEOは述べています。 しかし、「買収を急いでいるわけではないが、断片化したこの業界の統合に参画することに、これまで以上に力を注いでいる」、つまり買収のドアを大きく開いたままにしている、と記事は報じています。 買収が続くフォワーダー業界 フォワーダー業界の方向性としては、段々と統合されていくように感じます。 フォワーダー業界ではアセットを持っているところが強いとは思います。 ノンアセットの企業は相当な購買力があったり、大手を抑えて業界上位くらいのポジションであったり、ではないと生き残りが厳しいと感じています。 しかし、そういったポジションの中小企業は大手から買収提案があると思いますので、だんだんと統合されていくような気もします。 引き続き、情報をアップデートしていきたいと思います。

上海ロックダウン延長で日本発北米向けの需給に変化。運賃とスペースに影響。 | 物流ニュース・物流ラジオ

上海ロックダウン延長で日本発北米向けの需給に変化。運賃とスペースに影響。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は5月2日の海事新聞から、「上海ロックダウンで日本発北米向けの需給が軟化」についてお話していきたいと思います。 2022年5月2日イーノさんの物流ラジオ 日本経由北米向け貨物激減 上海市のロックダウンの長期化で、日本発の長距離貨物輸送に影響が出ています。 上海がロックダウンして1ヶ月経ち、日々ニュースとなっています。 複数のフォワーダーによると、工場の操業停止やフライトキャンセルなどを背景として、中国発の航空物量が減少しています。 これまで日本経由で北米に輸送されていた中国貨物が激減したことで、日本発北米向けの航空貨物はスペース需給が緩んでいるようです。 中国から北米への直送もあると思いますが、日本で積み替えて北米へ送るルートもあります。 中国発の貨物が少ないので、日本から北米向けのスペースが出来るようになりました。 中国での相次ぐ貨物便キャンセル 上海の浦東国際空港発着では相次いで貨物便のフライトキャンセルが発生しています。 日本発北米向けでは海上の混乱による航空シフトが続いていますが、半導体の供給不足などで自動車関連の荷動きが鈍くなり、物量が減ってきていました。 例年であれば、ゴールデンウイーク前で物量が増える時期ですが、今年は「駆け込みはほとんどない」状態で荷動きは落ち着いているとフォワーダーの担当者は記事で述べています。 ここに、中国からの経由貨物の減少が重なり、需給が大幅に緩んだ格好で、運賃も軟化しています。 フォワーダーへの負荷 大手フォワーダーは「航空会社から提示される金額は下がっていないが、すでに手配済みのチャーターのスペースが埋まらず、フォワーダーは必然的に売値を安くせざるを得ない」と話しています。 航空機をチャーターしているので、何とかスペースを埋めるよう、スペースの投げ売りのような状態です。 去年の中国の国慶節でも同じような感じのことがありました。電力不足で生産が終わらない貨物のBookingにキャンセルが相次ぎ、スペースをフォワーダーが安価で売り出していました。 中小規模のフォワーダーも競争力のある値段を出さなければならず、荷主に提示する運賃が下がっていると記事では締めくくっています。 今後の流れ こういったイレギュラーなことがあるため価格はなかなか安定しません。フォワーダーとしてはこういう状況にすぐに対応しないといけません。 スペースが取りやすくなっているのは実務者からしたら嬉しいことではありますが、これがどのようになっていくのか、引き続き情報チェックして発信していきます。