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貿易コラム

海上輸送におけるアメリカ24時間ルールについて | 輸送・ロジスティクス

海上輸送におけるアメリカ24時間ルールについて

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。今回は海上輸送における「北米の24時間ルール」について解説をしていきたいと思います。 今回の内容に関連する「海上輸送のマニフェスト」を解説する動画を概要欄にリンクを貼っておきます。 あせて見て頂けると理解がより深まると思います。 海上輸送におけるマニフェストとは? 「24時間ルール」とは まず、「24時間ルール」とは、一体なんのことでしょう。 これは、税関へのマニフェストを提出する期限のことです。マニフェストは、陸、海、空ともに税関へ提出するよう義務付けられています。 マニフェストについて 簡単に、海上輸送におけるマニフェストについて触れておきましょう。 マニフェストは船に積まれた貨物の情報が記載された明細書のことです。揚地側の税関にどんな貨物が運ばれてくるのか事前に知らせるという役割があります。 税関は、国民生活の安全・安心を守る為、水際での取締りを行うことで、その名の通り「関所」としての役割を担っています。 その税関がテロ行為に使用される疑いのある貨物を事前に特定し、それらの貨物が輸入されないよう、マニフェストの情報を確認しています。 尚、マニフェストの内容はBLの内容が基となります。 「24時間ルール」導入背景 それではまず、24時間ルールが導入された背景について説明しましょう。世界で最初に24時間ルールを導入・実施したのはアメリカです。 導入・実施となった背景には2001年9月に起きたアメリカ同時多発テロが切っ掛けでした。 テロ以降、アメリカではテロを未然に防ぐために海上貨物に関するセキュリティ規則を強化。 アメリカ税関国境警備局CBP(U.S. Customs and Boarder Protection)より、テロ対策の一環としてセキュリティ規則の一つに「24時間ルール」が導入されました。 「24時間ルール」について 次に、海上輸送におけるアメリカ24時間ルールについてご説明していきましょう。 既にお伝えした通り、「24時間ルール」とはマニフェストの提出期限のことで、外国の港で貨物が本船に積まれる24時間前までに船会社からマニフェストをCBPへ送信しなければならないというルールです。 House BLがある場合、House BLを作成したNVOCCまたはForwarderがマニフェストを作成・送信することがあります。 マニフェストの送信元 CBPへのマニフェストの送信元についてですが、貨物を載せた本船が揚港へ直行する船か、または輸送途中で別の本船に積み替えられた場合では、マニフェストの送信元が変わります。 アメリカ24時間ルールの場合、積地から貨物を載せた船がアメリカへ直行する船であれば、積地側の船社、NVOCCまたはForwarderが直接CBPへマニフェストを送信します。 一方、貨物がアメリカに到着する前に、他国の港で別の本船に積み替えられた場合、本船がアメリカの港に入港する前に最後に寄港した国の船会社代理店がマニフェストをCBPへ送信します。 尚、CBPへの申告対象には、アメリカで荷卸しされる貨物のほかに、アメリカの港を経由して他国に輸入される貨物も含まれます。 AMS送信 CBPへマニフェストを送信する際、船会社はAMS (Automated Manifest System)というシステムを使用します。 そのため、マニフェストを送ることを「AMS送信」と言うこともあります。 「10+2ルール」 尚、CBPでは、テロ行為に使用せれる疑いのある貨物の選別の制度を高めるために、輸入者に10項目、船会社に2項目の貨物の情報を提出するよう義務付けています。 これをISF (Importer Security Filing)「10+2ルール」といいます。 B/L No.報告 また、輸入者はISFの情報に加えて、CBPから提出必須情報としてBL Noの報告も求められます。 CBPはマニフェストによる貨物の情報と、輸入者からのISFによる貨物の情報をBL Noで結びつけ照合し、識別します。 「24時間ルール」の注意点 次に24時間前ルールにおける注意点をご説明します。 まずCUT日は必ず確認しましょう。CUT日とは、コンテナ貨物をコンテナ・ヤードに搬入する、またBLの基となるD/RまたはACLを船社に提出する、両者の期限のことです。 上記で述べた通り、輸出の場合、貨物を積んだ本船がアメリカへ直行する場合、積地の船社から直接CBPへマニフェストを送らなければなりません。 そのため、船社は通常のCUT日より2日から3日程早く設定しています。これは、CBPへマニフェストを確実にコンテナ貨物が本船に積まれる24時間前までに送信するためです。 船社は膨大なD/RやACLの情報を扱わなければなりません。そのため、もし不正確な情報をCBPへ提出した場合、CBPから罰金が科せられる場合があります。 早めにCUT日を設定することで、D/RやACLに不備あった場合に、荷主と確認を取る時間を設けることができます。 貨物が滞りなく積載されるためにもCUT日までにD/RやACLを船社へ提出できるよう、本船が決まったら随時CUT日を確認しておきましょう。 B/L No.を輸入者へ連絡 他にはMaster BL No & House BL Noが発番されたら、速やかに輸入者へ連絡をしましょう。 前述でもお伝えした通り、輸入者はISF情報をCBPへ報告する際に、BL Noを適切なタイミングでCBPへ報告しなければなりません。 House BLがある場合は、Master BL Noと共にHouse BL Noも提出する必要があります。 もし、ISFの情報に不備があったり、不適切なタイミングでCBPへ送信された場合、1件につきUSD5,000のペナルティーが課せられます。 輸入者側で不要な追加費用が発生しないためにも、荷主は両者のBL Noを入手次第、速やかに輸入者へ連絡をするようにしましょう。 まとめ それでは、本日の内容をまとめます。 海上輸送におけるアメリカ24時間ルールは、テロ対策の一環として導入されました。 また、テロ行為に使用せれる疑いのある貨物の選別の制度を高めるために、輸出者側からの貨物の情報と輸入者側からの情報を照合し識別するISFも導入されました。 アメリカではテロ以降、輸入または経由される貨物のセキュリティが非常に厳しくなり、貨物を輸出・輸入する際の手配に細心の注意を払う必要があります。 また、近年、アメリカ24時間ルールを皮切りに、カナダ、欧州、中国、イスラエル、エジプト、日本などでもテロ対策として、その国独自の24時間ルールを導入しています。 ですので、ご自身の担当する国の24時間ルールの有無を事前に確認しておくことをお勧めします。 今回の内容はいかがだったでしょうか?もし、よく分かったなという方は、チャンネル登録やいいね!あとSNSでのシェアをよろしくお願いします。 どうも、ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

MSCジャパン社長へのインタビュー記事について。海運市況と日本のマーケット考察。 | 物流ニュース・物流ラジオ

MSCジャパン社長へのインタビュー記事について。海運市況と日本のマーケット考察。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「世界最大のコンテナ船社、MSCジャパン社長・甲斐督英(かい・まさひで)さんのインタビュー記事」をご紹介したいと思います。 2022年2月22日イーノさんの物流ラジオ MSC、海運業への投資 2022年1月、スイス船社MSCはコンテナ船の船腹量で世界トップの座に就きました。MSCは積極的な船への投資により、供給力を維持しています。 競合他社が航空など事業多角化に乗り出す中、主力の海運業での供給責任を果たすことに重きを置いています。 この1年強で約150隻の船腹を購入しました。 MSCジャパン社長インタビュー MSCジャパンの社長は「われわれは船会社である。顧客の要望があれば、通関・内陸輸送などもパートナーを通じて提供できるが、あくまで海上輸送が中核だ」と述べています。 質問:コロナ禍からの市場をどう振り返るか? 国際物流混乱の主な要因は港湾混雑です。 北米西岸が特に注目されていますが、実際には欧州、アジア、全ての主要港で混雑が悪化しており、北米も東岸、ガルフ(フロリダ - 東南)の地域にも混雑が波及しています。 MSCジャパンの社長は「ここが変わらない限りは、状況は改善しない」と指摘しています。 日本港湾の状況 そんな中、日本港湾はこの状況でも混雑が少ないです。 荷量の問題もありますが、生産性の高さ、労働者の勤勉性といった、日本市場の強さが出ていると言えるとおっしゃっています。 サービス品質の改善 ここからが面白い話なのですが、コンテナ輸送は、サービスを買う側がサービス品質を改善できる、とMSCジャパンの社長は述べています。 例えば、港湾混雑を解消するために、早期の貨物引き取り、コンテナ返却などをすることで、ネットワーク全体の質を向上できます。 逆に、不必要に前倒しでコンテナを確保するといった行動は、コンテナの稼働率を下げ、結局は自社に提供されるサービスの質を低下させることに繋がると指摘しています。 サービスを購入する側の協力 在庫を用意していない店が良くない、と言う話ではなく、全体のことを考えて購入すれば、全体に安定して供給できるイメージだと思います。 「サービスを提供する側の責任が大きいのは当然だが、購入する側ができる部分も大きいということを理解いただき、サービスを改善していきたい」とおっしゃっています。 質問:日本市場での輸送量はコロナ禍前の19年と比較してどうだったか? 残念ながら「現在はコロナ前の水準に戻した」という程度であり、大きくは伸びていない、としています。 グローバルな市場ではMSCのシェアは約17%あり、日本では、グローバルのシェアには至っておらず、その分、供給能力に余裕はあります。 荷主にとって何が重要か 「今、荷主企業にとって何が重要なのか。「運賃」か、それとも「運ぶ」ことなのか」と述べています。 運びたいという顧客に対しては、まだスペースを提供できる余地があるとのことです。 ただ、その場合はアジアなど他のマーケットと競合できる健全な運賃水準である必要はあるだろうと続けています。 健全なマーケット これまで日本の市場は安すぎ、他のマーケットと比べて安いと船社もそこにコンテナスペースを供給する意味がなくなります。 特に外資の船会社なら尚更です。 質問:今期の入札動向は? 今期交渉も「どれだけのスペースが出せるか」というのが核心部分であるとし、そこの合意ができれば、海上運賃は別途交渉することが可能であると続けています。 スペースに関する合意が遅れると、その荷主は最終的に、さらに高い運賃水準でスペースを探すことになる可能性もあります。 日本の運賃への意識 これは、MSCが高飛車になっていると言う話ではなく、単純にマーケットの需要と供給の話です。 先日、同業者さんとの話で、日本の大手荷主が、未だに海上運賃を叩いてくるという話になりました。コロナ前と同じで、運賃は叩けば何とかなると思っているかもしれません。 MSCは特に船に大きな投資をしており、そこに対し極端に叩きすぎるというのは、極端な話、船会社をつぶすことにもなりかねます。 これに関しては、色々と物申したいことがありますので、また別の機会にお話ししようと思います。

北米東岸の港湾混雑、悪化中!チャールストン港で沖まち30隻に。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米東岸の港湾混雑、悪化中!チャールストン港で沖まち30隻に。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はウォール・ストリート・ジャーナルのニュースから、「チャールストン港沖のコンテナ船の沖待ちが30隻に増加」についてお話していきたいと思います。 2022年2月21日イーノさんの物流ラジオ チャールストン港、沖待ち30隻 チャールストン港はサウスカロライナ州のチャールストン港は北米東海岸の南よりの港で、東海岸で4番目にコンテナ輸入の多い港です。 チャールストン港でのコンテナ船の沖まちが先月の19隻から、30隻に増えています。 これは、米国の輸入業者を悩ませているサプライチェーンの混雑が、北米西岸だけでなく、様々なところに及んでいることを示しています。 混雑の解消は サウスカロライナ港湾局は、以前はこの混雑は3月中旬までに解消されると予想していましたがが、現在は4月中旬までに解消されると予想していると述べています。 これもどうなのかは分かりません。 2年近く、いつまでに解消するだろう、と言われていますが、なかなか状況は変わりません。 生産性低下 船が出るときと来るときを除けば、バースが空いている時間はなく、このようにターミナルが満杯になると、生産性が落ちます。コンテナの積み下ろしのために滞在時間が長くなる船も出てきます。 チャールストン港の沖まちは、過去の基準からすると依然として大規模なままで、現在も増大しています。 輸入コンテナ取扱量も増えており、前年比で25.4%増となっています。 いつ混雑がはじまったのか? チャールストン港の沖まちが始まったのは昨年の感謝祭の頃で、11月第四木曜の翌日のブラックフライデーのセールから続いています。 年末の大量在庫用の注文分が米国に届き、混雑している西海岸の港から別の港に貨物を振り向けようとしたことによります。 そのため、東海岸のいくつかの港では混雑が発生しています。 現在の北米西海岸の状況 カリフォルニアの港に待機しているコンテナ船の数は、1月9日のピーク時の109隻から、先週の木曜日には72隻に減少しました。 北米の輸入貨物の急増 このラジオで何度もお伝えしていますが、北米の輸入の急増の原因は、下記と考えられます。 1. コロナ初期に枯渇した在庫の急な補充 2. 小売業者の消費者の強い需要への供給 労働者不足 これにより、シャーシ不足、トラックドライバー不足、倉庫スペース不足が起こり、混雑を引き起こしています。 あとはコロナ感染者です。感染力の強いオミクロン株に、港湾労働者、倉庫労働者、ドライバーなどが感染し、労働者不足になっています。 混雑のボトルネック 西海岸がパンパンの状態が続けば、東海岸に貨物が集まってしまいます。 やはり最大のボトルネックは西海岸の混雑であり、これが解消されるまでは、東海岸でも混雑緩和は難しいです。 引き続き、西海岸、東海岸の情報をアップデートしていきたいと思います。

脱炭素!!バイオマス原料の輸送増。異例の10年の長期契約!FIT制度とFIP制度。 | 物流ニュース・物流ラジオ

脱炭素!!バイオマス原料の輸送増。異例の10年の長期契約!FIT制度とFIP制度。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「日本向け木質ペレット、今年6割増で480万トンに。近海船、復航船のタイトが持続」についてお話していきたいと思います。 2022年2月18日イーノさんの物流ラジオ バイオマス発電燃料、輸送拡大 日本向けバイオマス発電燃料荷動きが拡大しています。 一部の邦船社の予測によると、今年の日本向け木質ペレットは前年比6割増の480万トン、PKS(パームヤシ殻)は5%増の420万トンに伸長する見通しとのことです。 FIT制度によりプロジェクト活性化 日本ではFIT制度があり、それを背景に全国各地でバイオマス発電プロジェクトが活発化しています。 FIT制度は2012年からスタートし、再生エネルギー発電業社に対して固定価格で電力会社が電力を買い取る制度です。 電力安定供給の重要性 日本は2050年にカーボンニュートラルを目指しており、色んな業界で脱炭素の取り組みが進んでいます。 特に自動車業界が注目で、最初はトヨタ以外がEVへシフトし、最近、トヨタも最終的にEVにシフトし始めました。 電気自動車にシフトしていくので、電力の安定供給が重要で、その電力も再生可能エネルギーにしたいということです。 FIT制度、FIP制度 2022年4月からFITに加えて、FIPという制度がスタートします。 FIT:Feed in Tariff FIP:Feed in Premium FITは固定価格買取の制度で、需要が高い時でも低い時でも同じ価格で買取する制度です。再生エネルギー発電業社を増やすための取り組みです。 FIPは電力市場の需給バランスに合わせて買取価格が変動し、それにプレミアム価格が上乗せされて買い取る制度です。電力市場のバランスを考えてFIP制度が導入されます。 こういう制度が作られるというのは、カーボンニュートラルを目指して動いているということです。 大型発電所の運転開始相次ぐ 特に今年から来年にかけて木質ペレットを主燃料とする大型発電所の運転開始が相次ぐ予定です。 北米や東南アジアからの燃料の輸入拡大が期待されています。 この国内の大型バイオマス発電所の相次ぐ稼働が追い風となり、近海貨物船と日本-北米ルートでのバルク船のタイト感が続きそうと報じられています。 さらに来年以降もバイオマス発電所の拡大基調の持続が見込まれています。 これからのバイオマス燃料 2023年の日本向け木質ペレットは650万トン、PKSは470万トンへの増大が期待されています。 PKSはパームヤシからパームオイルを取ったあとの殻を乾燥させて作るもので、インドネシアが世界一の産地です。 邦船オペレーター各社の最近の近海貨物船では、バイオマス燃料が増えており、「数年後には復航トレードが配船の中心になってくる」との声が高まっています。 復航トレードとは 日本から東南アジアへ鉄鋼などを運び、東南アジアからパームなどを積んで、日本などに戻ってくる便のことで、帰り便と考えていただければ大丈夫です。 10年の長期契約 FIT制度における発電燃料は長期の安定供給が最重要課題です。そのため近海貨物船では異例の契約期間10年以上の長期契約の成約が増えています。 邦船関係者は「バイオマス燃料がベースカーゴとして計算できるため、これからの近海貨物船やハンディサイズの新造整備計画が立てやすくなる」と発言しています。 投資へのプラス効果を期待していると指摘しています。日本の脱炭素の動きがバイオマス発電原料の荷動きに影響しています。 長期契約の利点 10年の長期契約というのが大きいと思います。 長期契約になると、船会社も価格競争になりにくく、投資の回収の見通しがつき、経営も安定するようになります。 脱炭素 他には脱炭素の取り組みでCCUSというものがあり、排出したCO2の輸送船の投資も始まり、商船三井などが始めています。 国際物流では現在はコンテナ船が大きく影響していますが、環境対策で運ぶものや船も変わってきており、とても面白いと思います。 利益を上げた船会社が、こういった投資が進んでいき、環境に優しい、未来に向けての輸送形態ができていくのではないでしょうか。

ロシア・ウクライナ情勢で船舶燃料価格、最高値へ接近。邦船への影響! | 物流ニュース・物流ラジオ

ロシア・ウクライナ情勢で船舶燃料価格、最高値へ接近。邦船への影響!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「船舶燃料油の価格が752ドルへ急騰、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫で、過去最高値に接近」についてお話していきたいと思います。 2022年2月17日イーノさんの物流ラジオ 船舶燃料油、急騰 船舶燃料油の価格が急騰しています。 2月14日付シンガポール市場の低硫黄重油(VLSFO = Very Low Sulfur Fuel Oil)の価格は、前日に比べて20ドル高のトン当たり752ドルを付けました。 これは2年前に記録した過去最高値に接近しています。 ウクライナ情勢逼迫 ウクライナ情勢の緊迫化に伴うエネルギー需給の不透明感が油価を押し上げています。 シンガポールの低硫黄重油の価格は今年の年初に比べて、既に130ドル強上昇しています。2020年1月のSOx規制開始直後に記録した、過去最高値750ドル台後半に近づいています。 SOx規制について SOx規制とは、船舶燃料による排ガスへの規制のことです。 この規制が出来るまで船は安価なC重油を使っていました。 C重油について C重油は硫黄分濃度が高く、3.5%ほどで、ハイサルファーC重油とも呼ばれています。硫黄分濃度が高いC重油を使っているとPM2.5が発生してしまいます。 A重油について よって、A重油(低硫黄重油 = ローサルファーA重油)を使いましょう、と規制したものがSOx規制です。 低硫黄重油の硫黄分濃度は0.5%でPM2.5が発生しにくくなります。 冒頭にお話しした低硫黄重油というのはハイオクみたいなもので、その価格が上がっています。 邦船の経営への影響 邦船3社(郵船・商船三井・川崎汽船)は、3月末までの燃料油のコストをほぼ確定させており、今期業績への影響は限定的であるとしています。 しかし、燃料油の価格高騰が長期化すれば、来期以降の収益を圧迫する可能性があると記事は報じています。 円安の影響 しかも、今は円安で、日銀が「指値オペ」で10年物国債を0.25%の利回りで無制限買取することにしたため、円安、ドル高になりやすい状況です。 重油燃料はドルで購入するため、円が安いと実質的に重油は更に高くなります。よって邦船の経営に影響してくるのではないかと思います。 A重油とC重油 また、C重油も値上がりしており、前日に比べて21ドル高のトン当たり536ドルです。 C重油は安いですが、規制されているためそのままでは使えません。C重油を使うには船にスクラバー(排ガス洗浄装置)が必要となり、それには1億円ほどかかります。 A重油とC重油の値差はトン当たり210ドル強あり、昨年の値差の平均は約120ドル/トンでした。 C重油を使用できるスクラバー搭載船の競争力が高まっていると記事にありました。 重油の種類 このラジオでは分かりやすく端折って説明していますが、実際に重油は3種類あります。 ・高硫黄C重油(ハイサルファーC重油) ・高硫黄A重油(ハイサルファーA重油) ・低硫黄A重油(ローサルファーA重油) ざっくり説明しますと、AもCも重油の値上がりがあり、安いC重油を使うにはスクラバーが必要となります。 つまり、スクラバーを持っている船を使っている船社が有利になる、ということです。 国際情勢、円安の動き 現在、サプライチェーンの乱れで運賃が高いですが、国際情勢の乱れで燃料費が上がるという可能性も出てきています。 貿易や国際物流に携わっている方は、ロシア・ウクライナ情勢や、円安が影響してくるという視点で、ニュースを見てみるのも良いと思います。

CMA-CGM、廃プラスチックの輸送を停止!環境保護に考慮。 | 物流ニュース・物流ラジオ

CMA-CGM、廃プラスチックの輸送を停止!環境保護に考慮。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「CMA-CGM、廃プラ輸送を全面停止」についてお話していきたいと思います。 2022年2月16日イーノさんの物流ラジオ CMA-CGM、廃プラ全面停止 仏船社CMA-CGMは環境保護の観点から、2022年6月1日から廃プラスチック類の輸送を停止すると発表しました。 海洋に流入したプラスチックごみが生態系に深刻なダメージを与えており、廃プラの輸送を停止することで、適切な処理が行われていない地域への輸出を防ぐのが目的としています。 一方、再生資源貨物は、日本を含む先進国からの輸出貨物として大きな比重を占めており、大手船社による輸送停止は貿易に大きな影響を与えそうだと記事は報じています。 日本の廃プラスチックについて 少し古いデータですがジェトロで確認したところ、2017年の日本の廃プラスチック輸出量は、143万トンでした。 日本は香港、米国に次ぐ世界第3位の廃プラスチック輸出大国です。 日本から廃プラの輸出相手国 2017年に日本から輸出した廃プラスチックのうち、52.3%(約75万トン)が中国向けでした。 しかし2017年末から、中国が主に生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止したため、2018年以降、東南アジアや台湾向けの輸出が増加しています。 2018年上半期の輸出相手国・地域別の輸出量は、タイが14万トン、マレーシアが11万トン、ベトナムが9万トン、台湾が8万トン。 これら4カ国・地域への輸出は、2018年上半期の日本の廃プラスチック輸出量の約80%を占めています。 廃プラの仕分け なぜ人件費の安い国に送られているかというと、仕分けが必要となるからです。 僕はタイで鉄や銅などのスクラップ物流手配をしています。 集められてきたスクラップにはごみなども入っており、それを手作業で仕分けしています。 リサイクル方法 廃プラの場合、仕分けてから、以下の二つのリサイクル方法があります。 マテリアル・リサイクル:ペットボトルがペットボトル、または別の素材にするもの サーマル・リサイクル:焼却してエネルギーとして回収するもの CMA-CGMの廃プラ輸送量 CMA-CGMグループは年間5万FEU分の廃プラ関連貨物を輸送しており、特に米国発では、船社として最大の年間8,000FEUを取り扱っているといます。 FEUは40フィート一本のことです。 廃プラの海洋への流入 CMA-CGMによると、年間1,000万トン以上の廃プラスチックが海洋に流入し、この量は今後20年間で3倍弱の年間約2,900万トンまで増加する見通しとのことです。 収集された廃プラが屋外で保管、適切なインフラで処理されていないことで、海洋への流入に拍車が掛かっているとCMA-CGMは考えています。 環境汚染への配慮 実際に、途上国に送られた廃プラスチックは選別・処理などが適切に行われていないことも多いため、「環境汚染物質を輸出している」という批判もありました。 よって、CMA-CGMは廃プラの海上輸送停止により、適切な分別・リサイクルが保証されない地域への廃棄物輸出を防止するとしています。 一方で、適切な処理が行われた廃プラスチックまで規制することに対しては、疑問の声もあがっています。ちゃんと適切に処理をしている会社からしたら、なぜだと声が上がるのも自然だと思います。 今後の廃プラ輸送 CMA-CGMグループは現時点で受託しない貨物のHSコードなどは明示していません。 輸送停止となる6月以降、しばらく混乱が生じる可能性があり、また、他社がCMA-CGMの方針に追随するかにも注目が集まっています。 SDGsや脱炭素なども含めて、企業は環境対策を重視しています。 分別とリサイクル 今回調べるまで、日本からタイに廃プラスチックが輸出されていることは知りませんでした。 タイで8年生活していましたが、家庭ゴミの分別は全くありませんが、調べてみると、分別を試みるプロジェクトがタイでもありました。 身の回りでは、2020年からレジ袋の無料提供が禁止されました。実際レジ袋のポイ捨てが多かったため、それを取り締まるためにタイは対策をとろうとしていました。 帰国してから、日本の分別はちゃんとしており、日常生活ではリサイクルという概念がタイはまだまだだと感じます。 リサイクルの現状 実際、タイや他の国でちゃんと仕分け、リサイクル処理が出来ているかは分かりません。 今回CMA-CGMではそれは出来ていないという判断をしたため、輸送しないことで自分たちが環境汚染に関与しないと明言しています。 これも世界のトレンドかなと思います。 廃プラスチックの現状など、調べたら結構興味深い内容でしたので、参考にした記事のリンクを貼っておきます。 コロナ禍で、もつれてきたタイの廃プラ対策 行き場を失う日本の廃プラスチック 日本のプラスチックごみの行方を知って、冷静な議論を

マースク、北米の物流業者のM&A続く。B2BのEC物流を強化!産業分野のECシフト! | 物流ニュース・物流ラジオ

マースク、北米の物流業者のM&A続く。B2BのEC物流を強化!産業分野のECシフト!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞からのニュースで、「マースク、大型貨物輸送会社を買収。北米で物流M&A続く」についてお話していきたいと思います。 2022年2月15日イーノさんの物流ラジオ マースクのM&A マースクは2月9日、大型貨物輸送を手掛ける、米パイロットフレイトサービスの買収意向を明らかにしました。 買収額は約16億8000万ドル(約1,940億円)。 マースクはパイロット買収に先立ち、米国で2020年に倉庫・配送業者のパフォーマンスチーム、2021年にEC物流事業者のビジブルSCMを買収しています。 このようにマースクは物流分野のM&Aを続けています。 パイロット社について パイロットは1970年設立の物流企業で、米ペンシルベニア州に本社、スペイン、オランダにも事務所を置いています。 北米で輸送ハブ87拠点を展開し、外部のトラック会社を管理し、集荷・最終配送サービスを提供しています。 産業分野でのECシフト コロナ禍が拡大する中、家庭用品など消費財だけでなく、”産業分野”でもECシフトが進んでいます。 マースクは大型貨物の最終配送などに強みを持つパイロットを買収することで、顧客のEC移行支援などの機能を強化しようとしています。 マースクの戦略 マースクはロジスティクス&サービス分野に投資強化を打ち出しています。 昨年はビジブルSCMのほか、欧州でEC物流を手掛けるB2Cヨーロッパ、独航空フォワーダーのセネター・インターナショナルを買収しています。 さらに昨年末には香港物流大手LFロジスティクス買収を発表し、同社とパイロットを合わせると、2カ月で50億ドル以上の投資を決めた、と記事は締めくくっています。 EC市場 ここで、産業分野でのECシフトがポイントだと思います。ECの市場が伸びているので、統計を調べてみました。 2020年のEC市場 B2C 1. 中国:約230兆円(前年比27%増) 2. 北米:約80兆円(前年比32%増) 3. イギリス:約18兆円(前年比34%増) 4. 日本:約14兆円(前年比14%増) ※出典: eMarketer(旅行・チケットを除いた金額) B2B 北米:EC - B2B 約 130兆円 日本におけるEC市場 日本ではECというよりも、営業やFAX、メールで受発注している印象が強いです。日本ではあまりECが伸びている実感はありませんが、欧米諸国は伸び率も、金額も違います。 今後100%がECに移るわけではないと思いますが、ECへのシフトは増えていくでしょう。 日本も現在は欧米諸国に比べると規模は小さいですが、どこかのタイミングで増えていくはずです。 トレンドがどのように流れているか、掴んでおいた方が良いと思います。 今後も、情報をアップデートしていきます。

LA港、LB港で混雑解消の兆し!?沖まち船が109隻から78隻へ減少! | 物流ニュース・物流ラジオ

LA港、LB港で混雑解消の兆し!?沖まち船が109隻から78隻へ減少!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「LA、LB港の船の沖まちが改善してきている」についてお話していきたいと思います。 2022年2月14日イーノさんの物流ラジオ LA、LB港の沖待ち船 現在のLAとLBの港の入港まちのコンテナ船の数は、先週の火曜日の時点で78隻となり、1ヶ月前のピークである109隻から減少しています。 港湾関係者によると、12月の連休前後に急増したトレンドが減少し始めたのか、もしくは2月1日から始まった旧正月休暇のためにアジアの工場が減速したことによる一時的な休息なのかは、まだ不明であるとのことです。 荷揚げ待ちは未だ深刻 船舶の沖まちは11月11日以降で最も少ないですが、混雑は歴史的に見ても深刻な状況であると報じられています。 LA港では、コンテナ船が荷揚げするまで平均18日間も待つ状態です。コロナ前は船が停泊するのを待たされるのは珍しいことでした。 サプライチェーンのボトルネック デンマークのコンテナ船会社 MaerskのCEOは今週、サプライチェーンのボトルネックは少なくとも6月まで続くと予想していると述べています。 しかし海運業界関係者は、荷物の運搬にかかる制約が緩和されつつあり、明るい兆しを指摘しています。 コロナ・オミクロン株の影響 オミクロンによってLA、LB港で新年の欠勤が急増しましたが、現在ではより多くの労働者が職場に戻っています。 1月には1日150件もの欠勤者が、現在では1日に25〜35件となっています。 コンテナ船搬出処理量増加 コンテナの港からの搬出も早くなってきています。 ロサンゼルス港のYusen Terminalsの施設では、1週間の処理量が過去2週間で55%増加しました。 旧正月は、アジアの工場が生産を縮小し、出稼ぎ労働者が休暇で家族の元に戻るため、一般的に米国の港湾の入港量は減少傾向にあると記事に書いてあります。 船の滞留解消はいつまで 一方で、デンマークに拠点を置く船舶コンサルティング会社Sea-Intelligenceの専門家によると、過去の船舶の沖まちに基づき、オペレーションがより効率的に行われるようになれば、船の滞留を解消するのに8~9カ月かかる可能性があるとしています。 今から8~9か月というと、ほぼ年末になります。まだ明確な進展の兆しは見えていません。 ボトルネックの解消断言は時期尚早 シーインテリジェンス社の副社長は、「今のところ、米国のサプライチェーンにおける重要なボトルネックが解消されたと断言するのは時期尚早だと考えている」と述べています。 よくなってはきているけれど、まだ分からない、という状況です。 しかし、現段階では沖まちや港、倉庫の混雑が今後も更に増えていくという感じではなく、価格も高い水準ではあっても安定するかもしれないと思います。 まだ旧正月は開けませんが、引き続き情報をお伝えしていきたいと思います。

船会社の紹介について | 輸送・ロジスティクス

船会社の紹介について

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は私たちフォワーダーにとって、とても身近な存在である「船会社」について説明していきたいと思います。 「船会社」と聞いても、仕事で海上輸送に関わりがない限り、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、輸出入で経済成長を遂げてきた日本において船会社の存在はとても大きなものです。 船会社ランキング 輸出者に代わって毎日スペースブッキングを行う私たちフォワーダーは、さまざまな船会社を利用します。 2022年現在のTEUに基づいた海運業界の世界ランキングは次のとおりです。 ちなみにTEUとは「Twenty-foot Equivalent Unit」の略で、20FTコンテナ1本を表す単位です。 1位:MSC Group 2位:A.P Moller - Maersk 3位:CMA CGM 4位:Cosco Shipping Line 5位:EverGreen Marine 6位:Hapag Lloyd 7位:Ocean Network Express 今回は、このランキングから3社をピックアップしてご紹介したいと思います。 MSCについて 最初に紹介するのは、2022年1月時点で世界ランキング一位となったMSC (Mediterranean Shipping Company) グループ。 イタリアから本拠地を移し、現在はスイスに本社があります。 1970年に創始者であるジャンルイージ・アポンテ会長は貨物船1隻から事業を始めました。 2022年現在では、世界155カ国以上に営業拠点がある世界最大規模の船会社へと成長しており、1月にMearskを抜いて29年ぶりの首位交代となりました。 MSCは同族経営としても有名な会社です。グループ会社には、世界第3位を誇るクルージング会社「MSCクルーズ」があります。 インター・モーダルサービス提供 また、MSCはインター・モーダルサービスを提供しています。 インターモーダルサービスとは、船舶のみならず鉄道、トレーラートラック、航空機などの異なる輸送サービスを組み合わせて最終納品先へ貨物を運ぶ複合輸送サービスです。 MSCは世界最大級の人員と設備、そして50年もの長きにわたる実績を誇っているので、全世界のあらゆる場所へ安全かつ効率的に貨物を配達することが出来るのです。 ドアツードアでの配送の場合、輸送時間が長くなることで、さまざまなトラブルが懸念されます。 そうしたケースでもMSCは全世界にネットワークが構築された信頼ある船会社として、フォワーダーから選ばれやすいように思います。 CMA CGMについて 次に紹介する船会社は、世界ランキング第3位の「CMA CGM」。 本社はフランスにあり、1996年に大手海運会社のCMAとCGMが経営統合したことで設立されました。 大手海運会社「バルマス」や「APL」を次々と買収し、その規模はどんどん大きく成長しています。 MaerskやMSCと共に「海運ビッグ3」と呼ばれています。 港湾混雑緩和の対策プロジェクト CMA CGMは2021年11月に、コロナ禍による港湾混雑緩和の対策としてサプライチェーンの流れを改善するプロジェクトを立ち上げたことが大きなニュースとなりました。 プロジェクトの内容は、ロサンゼルスとロングビーチの港でコンテナの早期ピックアップに協力すると最大200ドルのインセンティブを支援するというもの。 米国への物流を途絶えさせないようにしたこの施策は、米国民の消費活動を守り抜いただけでなく、物流業界全体を支えた大きな取り組みだと高く評価されています。 ONEについて 最後に紹介するのは、シンガポールに本社のあるOcean Network Expressです。通称「ONE(オー・エヌ・イーやワン)」と呼ばれています。 2017年7月に日本の大手3社の日本郵船、商船三井、川崎汽船がコンテナ船事業を統合し「ONE」を設立したことは記憶に新しいですね。 その翌年の4月よりサービスが開始され、世界120ヵ国以上を超える広範囲な海上ネットワークを構築しています。 当時は、日本の海運業界を代表する3大船社が統括されると聞いてとても驚いたものです。 分かりやすく例えるなら、国内3大ECモールの「Yahoo!」「楽天」「Amazon」が統合するようなもの。普段からネットショッピングで利用している大手サイトが1つに統合されると、消費者にとってはかなりの衝撃です。 ONEの誕生は海運業界で働く私たちにとって、それくらい大きなニュースだったのです。 日本の船社 しかし日本の3大船会社が統合されたONEでさえも世界上位3位にはランクインすることが出来ません。 かつては世界3大海運国のひとつとされていた日本でしたが、今や貨物の取り扱いは年々減って、生き残りに賭けるということでしょうか。 経営統合が進む欧州や、グローバル化の勢いが凄まじいアジア圏の国々との差は今後も広がっていきそうです。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は、私の独断と偏見で選んだ主要な船会社3社を紹介しました。 コロナ禍で大企業の倒産やコンテナ不足による物流の停滞が続いていますが、貿易業界の要(かなめ)である船会社を身近に感じていただけたでしょうか。 今回の動画が船会社に興味を持つきっかけとなれば嬉しく思います。 もし今回の内容が面白かったという方は、チャンネル登録やいいね!SNSでシェアをして頂けると非常に嬉しいです。何卒よろしくお願いします。 それでは今回は以上になります。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

ONE、日本-北米西岸航路に臨時船を投入!!日本発の貨物対象。 | 物流ニュース・物流ラジオ

ONE、日本-北米西岸航路に臨時船を投入!!日本発の貨物対象。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「ONE、日本―北米西岸で臨時船。『全力で日本の荷主を支援』」についてお話していきたいと思います。 2022年2月11日イーノさんの物流ラジオ ONE、臨時船投入 オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は2月下旬にも、日本―北米西岸航路に臨時船を投入します。 現在では、北米西岸の港湾混雑は長期化してサービス遅延が常態化しており、ONEの日本 - 西岸向けもスケジュールが大幅に乱れて欠便が続出しています。 ONEは臨時船を、今月に加えて3月上旬にも追加投入する予定としています。 ONEジャパンの担当者曰く、「西岸港湾の状況次第ではさらなる臨時船も模索し、日本の顧客のために支援していきたい」とのことです。 ONEの臨時船 ONEが投入する臨時船第1船は2,500TEU型で、下記を予定しています。 揚げ地:米西岸寄港地はロサンゼルスとオークランド 積み地:神戸、名古屋、東京 ここがポイントですが、日本発の貨物だけを積載する予定です。 日本―北米西岸間のサービス 日本―北米西岸間は通常、往復35日ですが、「港湾混雑でいまは通常の倍の70日」となり、昨年後半から欠便が目立っています。 続く欠便 今年1月からは北米向けは事実上の隔週サービスとなり、ここにきて欠便が2週続くなど悪化に歯止めがかかっていません。ONEでは他の航路からの臨時転用や定期検査終了後の船などで調整し、何とか北米向け臨時船2隻を決めたとのことです。 北米からの輸出にも対応 輸出だけでなく、日本の消費者に直結する北米からの輸入貨物も可能な限り輸送するとしています。 北米の鉄道輸送 昨年夏に大きく混乱した西岸経由の北米内陸向けの鉄道輸送は、現在では改善傾向にあります。 西岸港での鉄道貨車への積み込みも荷揚げから2―3日程度とほぼ正常化しました。 また、ONEが利用しているユニオン・パシフィック(UP)鉄道のシカゴ・インターモーダル施設グローバル4の貨物量も処理能力内に収まるなど、正常化しつつあると記事に報じられています。 目詰まりの一つが解消されたという印象です。 港の混雑、人手不足 とはいえ、港の混雑とシャーシ不足、ドライバー不足、労働力不足はまだ解消はされていません。 日本の市況 日本では、北米に送りたくても送れない状態が続いており、お伝えしたように、ONEでは最近では2週欠便していました。 この記事を読んで、日本の船会社があってよかったと思いました。他の国の船社では難しいことだと思います。 過去の海運市場の不況 2017年にHanjinという韓国大手の船会社が倒産、APLがCMA-CGMに買収され、この時期は船会社のM&Aも多くありました。 この時、日本郵船 2,700億円くらいの赤字出しています。 困難な日本での値下げ 先日、日本のメーカーさんとお話しする機会があり、お客さんも値上げを受けてくれる傾向にあるとおっしゃっていました。 そのお客さん同士で、値段に関して厳しすぎて、自分で首を絞めていたのかもしれないと話があったそうです。 日本の製造業は簡単に値上げをのんでくれず、意識が、20年ほど遅れている気がします。 日本ではデフレがずっと続いていますが、それでも激安スーパーで安いと嬉しそうなお客さんをテレビ番組で見て、複雑な気持ちになりました。 話が逸れましたが、ONEさんありがとうございますというお話しでした。