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日本の近代海運の歴史と今後の課題 | 物流コラム

日本の近代海運の歴史と今後の課題

日本の近代海運の歴史と今後の課題について動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は日本の近代海運の歴史と今後の課題というテーマでお話をしていきたいと思います。 菅哲賢社長の著書「最適物流の科学」 今回の動画を作るにあたり、参考にした本があります。 それは、ジャパントラスト株式会社 菅 哲賢(てつまさ)社長の著書「最適物流の科学」です。 ジャパントラストさんは弊社の日本の代理店で菅社長は私ととても考えが似ている感じで、この本の内容も共感できるところが多かったです。 この本には日本の国際物流の歴史やフォワーダーとしての在り方、フォワーダーの選び方なども書いてあって 私にとっても非常に勉強になる本だったのでお勧めです。 それでは、本題にいってみましょう! 海運なくして日本の経済なし ご存知の通り日本は島国です。 そして日本は全てを自給自足しているわけではなく、外国との貿易によって生活に必要なものや工業製品などを輸出入しています。 特に天然資源に関しては99%を輸入していて「海運なくして日本の経済なし」と言えるほど 海運とは切っては切れない地理的な特徴があります。 日本の海運を切り拓いた2社 日本の近代海運で有名人、というと誰を思い浮かべますか? 私は「岩崎彌太郎さん」を最初にイメージしてしまいます。 この方が1885年に日本郵船という船会社を設立し、今でもこの会社は世界中に支店があり、日本の海運を支えています。 郵船ロジスティックスというフォワーダーや倉庫など、総合的な物流でも有名ですね。 そしてもう一社 当時の日本の海運を切り拓いた会社がありまして、それが大阪商船会社。今でいう商船三井の最初会社です。 この2社が日本当初の、遠洋定期船を運行して、インド、欧州、北米、南米、豪州、台湾などとの貿易の架け橋となっていました。 近代海運の成長 これらの会社が近代日本史において成長したのは、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦です。 ロジスティックスという言葉は「兵站」と呼ばれる軍事用語です。 戦争による物資の輸送で日本は海運大国になりましたが、第二次世界大戦では軍用船だけでなく商船も戦争に使われ、約2千数百隻という船が失いました。 またゼロからのスタートになったわけです。 スエズブーム 戦後に少しずつ日本の船会社は経営を立て直していき、大きなきっかけとなった要因がスエズ運河です。 1956年にエジプトの当時の大統領がスエズ運河の領有を宣言しました。 この時に利権を巡って、エジプト、イスラエル、イギリス、フランスと対立が激化して、第二次中東戦争が勃発。スエズ運河が閉鎖されました。 これにより、大量の船が南アフリカの喜望峰回りを余儀なくされたんです。 すごい遠回りをしないといけないんですね。 世界中で船舶の絶対数が足りなくなり、海運市況は暴騰しました。 いわゆる、スエズブームです。このブームにより不定期船の運賃は約2倍となり 日本にとっても海運業界は第二次世界大戦後で初めての好況になりました。 しかし、スエズ運河が元通りに開通しますよ、ということで、このブームはたった1年で終わります。 そして更に悪いことにブームの反動もありました。 この時に船舶を作りすぎて供給過多になり海運業界は大不況となります。 海運業界の不況 日本の海運会社も経営悪化し、当時12社あった日本の船会社は、買収や合併を繰り返して、最終的に ・日本郵船 ・川崎汽船 ・大阪商船三井船舶 ・ジャパンライン ・山下新日本汽船 ・昭和海運 の6社に集約されました。 スエズブームの後 海運業界は不況でしたが、日本は歴史でも勉強した通り、戦後の複数の好景気を経て、高度経済成長をしていきます。 当時の為替は1ドル360円もして、輸出に非常に有利な状況でした。 しかし、ここから日本の海運業界にとっては、またも厳しい状況に経済は変わっていきます。 為替による更なる不況 当時の為替は固定相場制でした。1ドルが360円くらいで固定されていたら、日本の輸出にとっては有利な状態が続きます。 しかし1973年に固定為替相場制から変動為替相場制に移行します。 そして第一次オイルショック。燃料費の高騰と世界的な不況となります。 更に1985年の「プラザ合意」でドル高が是正されて、当時240円/ドル から約120円/ドルになり一気に円高になりました。 海上運賃はドル建てがほとんどです。 円高になると円での収入が減ってしまいますし、輸出製品の競争力がなくなって輸出する貨物が減ってしまいます。 1980年代は日本経済はバブルでしたが、日本の海運会社にとっては実は不況だったんです。 このような状況で、生き残るべく日本の各船会社は、撤退や吸収合併をしながら、6社に集約されていたものが 1990年代に日本郵船、川崎汽船、商船三井の3社となりました。 経済的な世界の海運市場 次に経済・経営的な視点から世界の海運市場について説明をしてきます。 海運業界は不景気だったんですが、世界的にコンテナ貨物の輸送量は増加をしています。 グローバル化に伴う国際分業が発展していったからです。 例えばアメリカのAppleのiPhoneの部品は各国で作られいますし、最終的には台湾のホンハイという会社で組み立てられています。 どれくらいコンテナの輸送量が増えていたかというと 2004年〜2014年の10年間で、日本を除くアジアではコンテナ輸送量は約2.2倍増えています。 一方で日本はというと約1.3倍で増えてはいるが、他国に比べるとそれほど大きな伸び率ではありません。 世界的に荷動きの量が増加してるんだったら、何で船会社は不景気なの?と思われる方もいると思います。 それは、船の「巨大化」が原因となっています。 近年の船は巨大化しており、大きい船だと20,000TEUといった、20feetコンテナなら2万個を一度に運ぶことが出来ます。 船会社は船のサイズアップをすることで輸送の合理化を進めていき、コストダウンを図ろうとしたんです。 しかし貨物の実際の輸送量より、運べるスペースの方が多くなり、供給過多になってしまいました。 船会社は船の輸送スペースを在庫することは出来ません。 なので、一度の航海で出来る限り船のスペースをいっぱいにしないと、船会社は赤字の状態で船を運行することになります。 この船の巨大化が要因の一つで、世界の船会社は各国で競争が激化していきます。 現在はコロナによってコンテナ不足が発生して、海上運賃の高騰が激しいんですが、 それよりも以前では、海上運賃はずーっと底値をキープしていました。 日本からタイの輸送でも40feetコンテナで200ドルしない金額でした。 2016年に韓国の大手船会社が倒産したのも、この激しい価格競争による、ずっと長く続いていた低価格運賃が原因でしょう。 この強烈な価格競争に生き残るべく、海運業界では世界的な規模で、船会社の買収が繰り広げられました。 日本の船会社もそれに負けじと、日本郵船、川崎汽船、商船三井の3社でコンテナ事業が1つに統合され 2017年にONE(オーシャンネットワークエクスプレス ホールディングス)として設立されています。 安い日本の海運マーケット そして意外かもしれませんが、近年の日本の海運マーケットは世界一安いとも言われていました。 これは船会社と実荷主の直接契約の歴史が長いのも、原因の一つだと考えられています。 これまでは船会社が荷主に運賃を提示する際に、 ・大手荷主だから ・有名荷主だから ・付き合いが長いから といった非経済的な理由で安売りをしていたケースもあったんです。 コンテナ不足 このような安いマーケットプライスの日本の海運業界ですが、現在、起こっていることは何だと思いますか? 「日本にコンテナが集まらない」です。 他の動画でも解説をしていますが、現在のマーケットではコロナウィルスによる世界的なコンテナ不足が発生しています。 これまでに説明したように、ずっと不況で赤字経営を続けていた船会社は、このタイミングで運賃を上げて一気に黒字に持っていっています。 船会社にしてみると収益性が低い日本にコンテナを集めるより、収益性の高い中国から北米、欧州へのロングホールにコンテナを集める方が儲かります。 多分 多くの方が今回説明したような海運業界のことを知らなかったと思いますし、 これまで不況を経験してきた船会社の状況を考えると、分からなくもない経営判断だと思います。 とはいえ、これは問題です。 現在では日本のコンテナ不足は本当に深刻で、貨物を送りたくても送れないという状況が続いています。 こんな状況なので冒頭でご紹介させてもらった、ジャパントラストの菅社長は「変えたい」と強く思っていらっしゃいます。 ジャパントラストの挑戦 ちょっとここで、ジャパントラストさんの「挑戦」を紹介させてください。 同社は日本→北米向けの貨物取扱量が世界で第6位のフォワーダーです。 グローバルフォワダーでもない社員25人くらいの名古屋の小さなフォワーダーが、世界6位とは本当に凄いことです。 現在、行われている彼らの挑戦は、なんと名古屋からアメリカのLA港まで、在来船を自社でチャーターすることです。 今回説明したように、現在 日本にはコンテナが集まりません。 これをフォワーダー1社で何とかしようというのも無理な話なんですが、ジャパントラストの社長は何か「挑戦する」ことで 日本の海運関係者たちの意識を変えようとされています。 そしてこの在来船のチャーターには3,000万円くらいの費用がかかり、同社のお客様の貨物を集めても2,000万円くらいにしかならず 残り約1,000万円が足りていない状況です。 ここでお知らせなんですが、同社はこの名古屋→LA港までの在来船チャーターの費用で、クラウドファンディングを実施されています。 「赤字になっても必ず運行する!」とのことですが、関係者様の支援を呼びかけています。 クラウドファンディングの詳細については概要欄にリンクを貼っておきます。 ちなみにですが、これは同社からの企業案件ではありません。 それどころか、私個人的にも支援をさせてもらっています^^ 今後の日本の海運市場 もしこのまま日本の海運が変わらなければ、邦船や日本の市場はこれからどうなっていくのでしょうか? もしかしたら外国の企業に買収され、日本に寄港する船が一気に減るなんてことも可能性としてはゼロではありません。 もし、そうなったら島国にある日本の企業は圧倒的に利便性を欠きますし、輸送を他国にコントロールされることにもなるのです。 私としては、今回ご説明させてもらったような日本の海運市場についても知っていましたし、現在コンテナが日本に集まっていないのも知っていました。 でも あまりにも大きな問題だし、自分で出来ることはないと思い傍観していました。 しかし、同社の挑戦を見て、日本のこれからの海運の為に、私自身が何か力になれないかと思い 今回の近代日本の海運の歴史と、課題を皆さんにお伝えしようと思った次第です。 まとめ それでは今回の話をまとめてみましょう。 日本は島国で海運を使った貿易によって経済が成り立っています。 戦後にスエズブームで好況に移った海運市場ですが、この時に船を作り過ぎてしまい、ブーム終了時には反動で一気に不況が訪れます。 日本は好景気を迎える一方で、政治的な要因で円高に向かっていくことになり、生き残りをかけて買収や合併を繰り返し 日本の船会社は日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社だけが残りました。 そしてコンテナ事業はこの3社で合併されONEと2017年になりました。 海運市場は不況ですが、貨物の荷動きはグローバル化が進む中で、右肩あがりに増えていきます。 世界の船会社は海上輸送を合理化するために、船を巨大化させていくのですが、巨大化した船のスペースは、需要より供給が圧倒的に多くなってしまい 船会社同士で競争が激化していきました。 去年までは低価格運賃が続いていて、その中でも日本の海運市場は世界一安いと言われることもありました。 そして現在ではコロナウィルスが起因して発生したコンテナ不足となり、海上運賃は高騰したものの、 日本にコンテナが集まらないという問題が発生しています。 この問題に対して何か変えなければいけないと、ジャパントラストという名古屋の小さなフォワーダーが挑戦をしています。 私たち個人では出来ることは少ないかもしれませんが、私たち海運関係者の多くが歴史や現状を知り、 少しでも意識を変えることが出来れば、日本の海運がより良い未来に向かうかもしれません。 今回のお話がそのきっかけになれば嬉しいです。 今回のお話は以上になります。どうもありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

どう使うの?SOCコンテナ輸送についてプロに聞いてみた。 | 輸送・ロジスティクス

どう使うの?SOCコンテナ輸送についてプロに聞いてみた。

国際物流の仕事をしているとCOCコンテナとSOCコンテナという言葉を耳にすることがあります。 COC:Carriers Own Container SOC:Shippers Own Container COCとSOCの違いはこちらの動画をご覧ください。 私は現在タイでフォワーダーとして8年活動をしているのですが、SOCコンテナを使ったことがありません。私の営業範囲でSOCコンテナの需要が全くありませんでした。 しかし、今回 日本のSOCコンテナの売買をされているEF Internatinalの担当者さんとお話をさせて頂くことで、色々と学びがあったので情報共有をしたいと思います。 SOCコンテナっていつ使うの? 上述したように、私はタイでは100%COCコンテナしか使ったことがありません。弊社のお客さんは主に日系企業。タイで作った製品を主に日本、中国、東南アジア、インド、欧州、北米に向けて輸送します。 船会社が普通にコンテナを手配してくれているので、SOCコンテナを使う理由がほとんど見つかりませんでした。 ※ディテンション:輸入地で輸入者に配送完了し終わったコンテナを港に期限以内(7日〜14日)に戻すこと。この期限を超えると罰金が発生する。 しかし、SOCのプロとのお話で「なるほど!」と思える使用用途を教えてもらいました。 コンテナの返却義務がない SOCのメリットとしてディテンションがないことを上述しましたが、コンテナの返却義務がないので、貨物の配送完了後もそのコンテナを使えます。 配送後に倉庫として使用する タイでフォワーダーとして活動をしていると、倉庫に関してはあまり不自由をしません。 タイでは一般、冷蔵・冷凍、危険品、保税倉庫が各港(バンコク、レムチャバン、ラッカバン(ICD)、スワナプーム空港)の近くにあります。 またタイの各工業団地にも物流倉庫は大体あるので、わざわざコンテナを買ってまで倉庫にする必要がありません。 イベントでSOCコンテナを使用する しかし、同社の担当者さんはこのように言いました。 確かに何かのイベントの時に、倉庫をいちいち手配するのではなく、そのイベントの現地で倉庫として使う方が効率的です。 音楽のライブイベントとかでも使いそうだと思いました。 中古車をSOCで中東に輸送する また中東に日本の中古車を送る時も重宝されるとのこと。 物流のインフラが整っていない地域に貨物を送ると、確かに「貨物の野ざらし」は発生することもあるでしょう。 ちなみに、コンテナ輸送に脚光が浴びるきっかけとなったベトナム戦争では、コンテナを使わずに輸送した物資が 長期間 野ざらしにされたり、盗難が絶えなかったという歴史もあります。 またカーレースのイベントの時でもRORO船でなくて、コンテナを使って輸送するケースもあります。 レースに使用する超大切な車をコンテナに入れて管理するというのも、確かにありそうと思いました。 工業品の輸送でも使用する タイでは工業品を輸送するサプライチェーンがあって、各企業がコストを厳しく管理しています。 なのでワンウェイでコンテナも一緒に購入して貨物を送るSOCコンテナの輸送はどうしても合わないなと思っていました。 ですが同社によると工業品の輸送でもSOCコンテナを使うケースはあるとのこと。 詳しい製品内容については質問しませんでしたが、物流インフラが発達していない国に機械とかをコンテナに入れて送る時などは結構ありそうだなと思いました。 EF Internatnonalについて この記事は特に同社に依頼された案件とかではなく、個人的に純粋に面白いなと思った内容を共有させて頂きました。担当の方や上司の方もとても良い人たちで楽しくお話をさせて頂きました。 もし本日にご説明させて頂きました用途や、その他の用途(コンテナハウスとか)でSOCコンテナに興味がある場合はEF International様にお問い合わせ下さい。 まとめ 物流には本当に色んな種類があるなととても勉強になりました。 国際物流では貨物内容だけでなく、送り先のインフラの状況によっても「貨物を安全に、また荷主さんの都合に合わせて運ぶ工夫」は色々あるんだなと思いました。 今後はSOCコンテナにもアンテナを張って物流活動をしていこうと思います。

旧正月明けのコンテナ不足の影響の現状 | 物流コラム

旧正月明けのコンテナ不足の影響の現状

旧正月明けのコンテナ不足の影響の現状について動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は中国の旧正月明けの、コンテナ不足の現状についてお話をしていこうと思います。 2月中旬以降に旧正月が明けて、まだ1ヶ月も立っていないので 統計的なデータがまだ出ていません。 なので あくまで私の主観が強い内容になりますが、参考になれば幸いです。 ではいってみましょう! コンテナ不足の現状 昨年の11月頃にコンテナが足りないと、問題になり始めた時ですが その時のコンテナ不足の問題解消は、中国の旧正月明けくらいかもと一部では言われていました。 その理由の一つとしては、中国のコンテナ製造会社に発注していたコンテナが納品されるのが、大体 旧正月明けと言われていたからです。 では実際のところはどうなのでしょうか? 残念ながら現状は全く改善していません。 相変わらずアジアではコンテナが足りない、船のスペースが取れないといった問題が継続して発生しています。 じゃあ、いったいコンテナはどこにあるのよ?と思う人も多いでしょう。 以前の、コンテナ不足に関する動画でも説明をしましたが、コンテナは、アメリカやヨーロッパの内陸、港、そして海の上にあります。 なぜそんな所にあって、コンテナが戻ってこないのかは、以前の動画で詳しく解説していまして概要欄にリンクを貼っておきますので是非みて見てください。 海上輸送の市況 では前回からの進捗はないのか?と思われる方のために、市況をもう少し詳しく解説します。 まず海上運賃ですが、昨年の11月以降からものすごい勢いで上がっていました。 統計がこのように出ているので見ていただきたいのですが、今年の1月時点ではまだ上昇しています。 気になる方は動画を止めてじっくりと見てください。 しかし、中国の旧正月が明けた3月現在。 まだ統計データは出ていなくって、弊社がとっている海上運賃の情報になりますが タイからアメリカの西海岸、東海岸向けは少し下がっております。 一旦はピークを超えたという感じでしょうか。 ではアジア・東南アジアではどうかというと、タイにある弊社の数字ですが、まだ海上運賃は少しずつ上がっています。 これはなぜか?というと、タイに限定的な話になるんですが 3月、4月はドリアンの輸送シーズンなのです。 更に4月中旬はタイの旧正月です。 毎年本当に沢山のドリアンがタイから中国にリーファーコンテナで送られます。 船会社もドリアンの輸送にコンテナや船のスペースを優先させますし、旧正月前という長期連休の駆け込み輸出の増加もあるので タイからの輸出は相変わらずスペースが取りにくい状況です。 ここで改めてなのですが、このコンテナ不足の問題で 、具体的にどのように物流が混乱しているかも説明させてください。 スケジュールの乱れ 現在の問題のポイントは、海上運賃の上昇も、もちろん大きな問題なのですが 「スケジュールが全く読めない」というのも実は大きな問題なのです。 なぜスケジュールが全く読めないのか??この要因はコンテナ船の ・ディレイ ・オミット ・ロールオーバー です。 一つずつ解説していきます。 ディレイについて まずディレイ。これは船が予定しているスケジュールから遅れていることを表します。 なぜ船が遅れるのか?それは港の混雑が影響しています。 現在、各港では沢山の船が貨物を積んだまま、積み降ろす順番を待っている状況です。 この沖待ちの期間はアメリカのロングビーチだと1週間以上であったり、アジアのハブであるシンガポールでも5日以上待つこともあります。 なんで港が混雑しているかは以前の動画で解説しているのでそちらをご確認ください。 この港の混雑が原因で船の2−3日の遅れは当たり前で、1週間近く遅れるケースもあります。 オミットについて では船会社はこの遅れを解消するために何をするのでしょうか? 次のキーワードのオミット。抜港です。 コンテナ船は決められた航路に複数の寄港する港があって、そこでコンテナを積み込み、積み下ろしをして航海をしていきます。 そしてスケジュールを早めるためにこの港には寄らないで、次の港にいこうと抜港がいきなり決定されます。 現場で対応している私たちからすると、抜港の連絡が来て、お客様に「抜港になりました。。次の週の船に乗せることなります」とお伝えしなければいけません。 貨物のローディングの1、2週間前に連絡があればまだマシですが、貨物が積み終わって港に入ってから抜港の連絡もあったりします。 ロールオーバーについて そして最後にロールオーバー。日本語でいうとコンテナの積み残しです。 現在、船会社はオーバーブッキングをしています。 オーバーブッキングというのは100%でフルスペースの状態だけれども、ブッキングを受け付ける時に例えば120%くらいまで予約を受けます。 そこから荷主がキャンセルをしていって、これがもし110%くらいにしかならないと、オーバーした10%分はロールオーバーとして予定していた船に積み込まれません。 翌週の船に回されることになります。 そしてそれは混雑しまくった経由港だと更に大変なことになっています。 現在 どれくらいロールオーバーされているかというと シンガポールやマレーシアのポートクランのような経由港だと40〜50%。 韓国のBusanや中国のShanghai港でも30%くらいです。 このように港によっては、半分から3分の1のコンテナが港に積み残しをされるということです。 このディレイ、オミット、ロールオーバーですが単発で発生する分にはまだマシです。 実際のところはロールオーバーされて、翌週の船がオミットというコンボを受けたりします。 それが経由便であれば、経由地で次の接続船でのロールオーバーも普通にありえます。 こうなると荷主にとっては2週も3週も遅れてしまうわけです。 現場でできる対応 私もたまに「工場が止まってしまうから何とかしてくれ!」と強烈なプレッシャーを受ける時がありますが、出来ることは船会社の営業マンに「頼むからこのコンテナだけはロールオーバーしないで!」と依頼することだけです。 オミット(抜港)は船会社の営業マンがコントロール出来ることではありませんし。 ロールオーバーもどこまでコントロールできるかは船のキャパシティーもありますので、必ず何とかなるというものではありません。 このように海上輸送のスケジュールが正常な状態ではないので、私たちがお客様にお願いしたいことは、可能な限り在庫を持って頂くことです。 もちろん保管スペースや倉庫費用などの問題があるというのは十分に理解しております。 ですがこのようにスケジュールが安定していない、またコントロールすることが難しい状況なので、何を優先するかだと個人的には思います。 コンテナ不足はいつまで? では、イーノさん、状況は分かったと。 そしたら今度はいつになったらこの状況は改善されるの?という質問が飛んでくると思います。 これが分かれば苦労しないのですが、コロナのワクチンが流通して、アメリカやヨーロッパの港が正常に動き始めるのは早くて6月末くらいでしょうか。 地域によってはそれ以上かかる可能性も十分にあります。 ある機関によると今年いっぱいかかるという見方もあります。 例えば、先日 アメリカのバイデン政権で約200兆円の経済対策法案が可決されました。 これにより高所得者以外の国民に約15万円が給付されます。 これがサービスではなく商品の消費につながると、また中国からアメリカに貨物がドーンと渡ることになり、西海岸のロサンゼルスやロングビーチ港にコンテナが滞留する可能性がありますし、更なるコンテナ不足になる可能性もあります。 「本当にどうなるか読めない」というのが私の個人的な感想です。 まとめ では今回のお話をまとめましょう。 中国の旧正月明けにはコンテナ不足の問題は解消するのでは?という見通しは外れて、今もまだ国際物流の混乱は解消していません。 旧正月明けの海上運賃の統計はまだ出ていないのですが、タイにある弊社の数字では、アメリカ向けの運賃は収まってきてピークを超えた感じですが、アジア向けはまだ微妙に上がっています。 タイからだと3月、4月はドリアンやソンクラーン前ということもあり、更にスペースが取りにくい状況が続いております。 アジアでは船のディレイ、オミット、ロールオーバーが多発しており、スケジュールが全く読めない状況が続いています。 私たちフォワーダーや船会社のいち営業マンがコントロール出来ることではないので 出来ることとしたら、お客様に現状を理解してもらうことと、可能であれば在庫を持ってもらうことです。 この状況がいつまで続くかは正直分かりません。早くて6月末かもしれませんし、何か他の要因で今年の年末まで続くかもしれません。 現在 私に出来ることは国際物流の現状をお伝えして、お客様に理解をして頂き、 コントール出来ないことばかりに目を向けるのではなく、自社のコントロール出来ることに注力を注いで頂きたいと思っております。 引き続き情報を更新していきますので、何卒宜しくお願い致します。 今回のお話は以上です。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

何故なんだ!?トールのフォワーディング事業の赤字を検証してみた。 | 物流ニュース・物流ラジオ

何故なんだ!?トールのフォワーディング事業の赤字を検証してみた。

日本郵政はオーストラリアの物流子会社のエクスプレス事業を7億円で売却。6年前に購入した時は何と6,200億円だったという衝撃のニュースがありました。 6,200億円で買ったのに、6年後に7億円で売却だとっ!?https://t.co/SbSpqAz4NO — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) April 21, 2021 このトールという会社は国際物流事業もしていて、タイでもトールのコンテナを見る機会があります。 私も物流関係者として今回の売却劇には興味を持ちましたので、もう少し詳しく調べてみようと思いました。すると、フォワーダーとしてのトールの弱さが見えてしまいました。 トールの事業の赤字はどれくらい? 日本郵政によると、ロジスティクス事業とフォワーディング事業は継続させ、赤字が大きいエクスプレス事業を売却するとのこと。 赤字といっているけれども、どのくらい赤字なんでしょうか?日本郵政の財務諸表を覗きに行ったらこのような数字が確認できました。 2020年第1四半期〜2021年第3四半期の国際物流事業の決算の概要をピックアップしております。 2019年4月〜6月(Q1) 2019年4月〜9月(Q2) 2019年4月〜12月(Q3) 決算 - 2019年4月〜2020年3月 2020年4月〜6月(Q1) 2020年4月〜9月(Q2) 2020年4月〜12月(Q3) 凄い赤字続きのエクスプレス事業 注目すべきポイントは今回の赤字の焦点となっているエクスプレス事業。途中でサイバー攻撃などもあったらしく赤字がドーンと膨らんでいる時もあります。対策を打って赤字幅は狭まったもののずっと赤字です。 コロナ特需を得たロジスティクス事業 もう一つの点はロジスティクス事業。これはこの期間はずっと黒字を継続をしていて、コロナが流行ってから予防対策品などの取り扱いで、直近では大きく利益を出しています。 世界中に拠点があるので、コロナに対しての予防対策品の取扱、配送などをしていたと考えられます。 こんな赤字企業をなぜ買った!? トール売却における経緯や、高すぎた買い物などについては、NewsPicksとかで優秀な人たちがコメントしているのでそちらを参照して下さい。 【3分解説】まだあった。日本郵政、巨額買収失敗の「不発弾」 記事も参考になりますが、賢い人たちのコメントも参考になります。 トールのフォワーディング事業はどうなんだ? このブログは「フォワーダー大学」と名乗っているくらいなので、トールのフォワーディング事業に注目をしたいと思います。 トールのフォワーディング事業のサービスと領域をご紹介します。同社のサイトに載っている情報です。 Toll Global Forwarding 【提供サービス】 空運、海運、通関、フォワーディング 【地域】 ・アジア ・オーストラリア&ニュージーランド ・アメリカ ・アフリカ ・ヨーロッパ&ミドルイースト TollのHP参照 https://www.tollexpressjapan.com/tgf.html 財務の概要を見ると、エクスプレス事業が大きく赤字になっているのが目立っていますが、このフォワーディング事業もこの期間はずっと赤字です。そして私が特に注目した期間は2021年度第3四半期。 これは2020年4月〜12月の実績のことです。大手企業にも関わらず2020年12月の時点で赤字になっているのは、フォワーダーとしての弱さが見えてしまいます。 イーノさんの分析 なぜ2020年12月の時点で赤字になっているとフォワーディングが弱いのか? 私の動画でも話していますが、2020年の9、10月頃からコロナによるコンテナ不足が深刻になり始めました。 このコンテナ不足により、海上運賃は全ての船会社で急上昇。多くの船会社が年末には一気に黒字になったと発表していましたよね。 海運3社がそろって2021年3月期の業績予想を上方修正した。日本郵船は5日、経常利益予想を従来の200億円から700億円に引き上げ、川崎汽船も同日、赤字とみていた経常損益をゼロに修正した。新型コロナウイルスの影響で春先に低迷した荷動きが持ち直し、コンテナ船の収益が急拡大した。3社で設立したコンテナ船の統合会社が想定外の「親孝行」をしている。 引用元:日本経済新聞  海運3社そろって上方修正 今期経常 コンテナ船が「親孝行」 業績を伸ばす日系のフォワーダー 更にざっと調べた感じですが、船会社や航空会社が伸びているのと同時に、大手物流会社のフォワーディング事業も伸びています。 近鉄エクスプレス 近鉄エクスプレスは11日、2021年3月期の連結純利益が前期比3倍の140億円になりそうだと発表した。従来予想から40億円の上方修正となり、最高益を更新する見通しだ。航空貨物の運賃が高騰して上期の業績が上振れしたほか、下期に海外子会社の損益改善を見込む。 引用元:日本経済新聞 近鉄エクスプレスの今期 航空貨物好調で最高益 SGホールディングス ロジスティクス事業におきましては、上期に海外における個人用防護具の緊急国際輸送を継続的に受託したことに加え、下期以降、既存顧客の物量回復と、コンテナの需給がひっ迫する中で航空および海上コンテナのスペースを確保できたことにより、フレイトフォワーディングの収益が増加し、営業収益は1,448億46百万円(前年同四半期比41.5%増)、営業利益は100億67百万円(同386.4%増)となりました。 引用元:SGホールディングス【SGホールディングス】2021年3月期第3四半期決算について(2021/01/29) 日立物流 セグメント利益は、減収影響はあったものの、中国フォワーディング事業の収益性向上や、各地域における生産 性改善・総コスト抑制効果等の影響により、前年同期に比べ31%増加し、70億82百万円となりました。 引用元:日立物流 日立物流-2021年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結) コンテナ不足が発生する以前 昨今の海上運賃は高値をずっと維持していますが、それは2020年9月、10月くらいからです。それより前の海上運賃は5年以上ずっと安値を継続していました。 運賃価格が少ないのでその時の利幅も大きくありません。もし高い利益を乗せようものなら、簡単に安売りをしてくる他社に切り替えられるような時期でした。 運賃が高くなってからの市場は? 2020年10月頃から、上述したように船会社は高い価格で運賃を提示してきます。そしたらフォワーダーの仕入れ金額が増えて、利益率をある程度調整したとしても利益額は上がっていきます。 また荷主もスペースを確保するために仮予約をして、Bookingをキャンセルをしまくってきます。こうなると私たちフォワーダーの手間も恐ろしく増えます。 また船会社にもスペース確保のガチ交渉やとにかく空いているスペースを探します。その分、フォワーダーの手数料としての利益も多くなるのが一般的です。 こちらの記事で、フォワーダーも生き残れる会社と そうでない会社で二極化すると書きました。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/selected-forwarder/?lang=ja" target="_blank"] トール、日本郵政の経営陣に危機感はあったのか? 他社が業績を伸ばしている中でも赤字ということは、トールはコンテナがスペースが取れなかったのかもしれません。もしくは他社の価格やサービスに勝てなかったのかもしれません。また決算資料にもあるように人件費が高すぎたのかもしれません。 小さな会社であればコンテナ・スペースが取れないというのは理解できます。しかしトールのような大きな会社が取れないことはないと思うのですが、危機感をもって仕事をしていたか?というとどうなんでしょう。 人件費という固定費をどのようにコントロールしていたのか。コロナ禍で新規は取りにくいのは分かりますが、ずっと危機感や、コスト意識は低かったのではないかと思ってしまいます。 まとめ トール社はコロナの前からフォワーディング事業も赤字でした。大手企業で、かつフォワーディングで利益が出しやすいタイミングだったにも関わらずずっと赤字だというのは危機感をもった経営が出来ていなかったと思わざるを得ません。 今回の損失はあまりにも大きく、親会社の日本郵政にとっても姿勢を直すきっかけとしては十分な出来事だったと思います。

「格安の国、ニッポン」で将来の物流はどのように変わるのか? | 物流ニュース・物流ラジオ

「格安の国、ニッポン」で将来の物流はどのように変わるのか?

最近、書籍などでよく見かける悲しいフレーズがあります。「日本は30年間、負け続けてきた」、「格安の国、ニッポン」。 一時期はGDPが世界で第2位という国だったにも関わらず、このような事になっていると知ると少し寂しい気持ちになります。 日本だけで生活をしていると、「そんなことはない!」と思うかもしれません。信じたくないかもしれません。 しかし、タイに住んでいるとこれは事実だと実感する場面が多くあります。一応、当ブログは物流に関する情報を発信していくブログなので、物流にも絡めてお話をしていきたいと思います。 タイのお寿司事情 最近タイにスシローが出来ました。オープン前からもの凄い注目を集め、連日満員御礼。休日の昼の時点でその日はもう入れないと看板が立っているほどです。 なぜこんなにも多くの人がどっと押し寄せるのか? 確かにスシローのお寿司は価格を見る限り日本と同じくらい。そして逆説的にいうと、他のタイの寿司屋が高すぎるんです。 確か日本の高くないお店だったら、2,000円で そこそこ満足出来るくらい食べられたと記憶しています。 日本は安い国になった!? 冒頭に説明したように、これは色んな書籍やネット記事などで最近よく見かけるテーマです。一昔前に中国人の爆買いというのが話題になりましたよね。 あれを単に、沢山売れて嬉しい!日本経済に貢献してくれる!と楽観的になっているのは周りが見えていない状態。 「やっぱり日本製だよね。」と思われるかもしれませんが、それもあるかもだけど、中国人にとって「日本で買う日本製は安い」から爆買いしていくんです。 他にもこのニュースピックスの特集にもっと詳しく書いています。 一部参考に抜粋をさせて頂きます。 一風堂のラーメン(白丸元味の価格 2021)。 アメリカ:1,739円 フランス:1,692円 香港:1,147円 マレーシア:921円 日本:790円 By NewsPicks編集部 日本は物価が上がっていない 日本は1999年から続くデフレの影響で物価が上がっていません。 先進国にも関わらず、物価が安い。 しかも、それが2021年の今の日本人の消費者マインドでも「安いが当たり前」になっています。 タイの物価はどうだろう? 一方で私が住んでいるタイの物価は継続的に上がっています。 タイのローカルのお店や屋台で食事をする分には安いですが、日本食、韓国料理、イタリアン、スパニッシュとかの普通の店になると結構な金額になります。 もっと高価格帯のお店も沢山あり、タイは以前のような安い国ではないと実感します。 日本の物流はどのように関係している? デフレの話は詳しい経済学者さんにお任せをして、この物価が上がっていない状況、または日本が安い国になっている状況を海運関係者の視点から考えをお話しします。 実は日本発の海上運賃は世界でも安い方なんですね。こちらの動画でも解説をしましたが、日本の船会社は長らく大手荷主との取引において安売りを続けていました。 このように大手荷主の立場が強かったんです。海上輸送というのは特徴を出したり、差別化するのが簡単ではありません。その為、価格が高かったり、ひどい場合は荷主に気に入られないと簡単に切り替えられてしまいます。 もちろんこの安い物流価格も、安い製品価格に貢献しています。消費者にとっては嬉しいことかもしれませんが、マクロな視点から見るとこれは良いことなのでしょうか? やっぱり製造大国!中国の物流はどうなの? 今回のコンテナ不足の問題によって感じたのは、中国の荷主の金払いの良さです。 中国から北米向けは3倍、4倍の価格に跳ね上がっているにも関わらずコンテナが中国に集まるということは、中国の荷主はそれを普通に受け入れています。 すると船会社は金払いの悪い日本にコンテナをまわすより、金払いの良い中国にコンテナをまわす方が儲かります。だから日本のコンテナ不足は深刻でした。 日本の荷主さん、読んで。 >日本の荷主はこれまで、運送コストに厳しすぎました。しかし、今回のコンテナ不足を機にある程度までの値上げを適正価格として受け入れなければ、より高い運賃を提示する海外勢に買い負ける事態が起こります。これによって日本にモノが入りづらくなることも考えられます。 https://t.co/MS8xyOzfxI — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) April 18, 2021 コンテナ不足が半年以上続いていて、さすがに日本の荷主も貨物が出せないと問題になるので、高い運賃でも条件を飲まざるを得ない状況です。 ONEですら他のマーケットに注目をしている そして日本の船会社であるONEであっても、日本以外のマーケットに目を向け始めています。 ONE、アジア―東アフリカ 新サービス今月末開始 オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)は15日、3月末からアジアとアフリカ東岸を結ぶ直航サービス「EAF」を開設すると発表した。ONEにとって東アフリカ向けサービスは「EA1」「EA2」に続き3ループ目。ケニアやタンザニア向けサービスを強化することで、アフリカ市場への展開をさらに進めていく。 ルーローテーションは次の通り 上海▽寧波▽南沙▽シンガポール▽ポートクラン▽モンバサ▽ダルエスサラーム▽ポートクラン▽シンガポール▽上海 引用元:日本海事新聞 ONE、アジア―東アフリカ 新サービス今月末開始 日本の物流の傾向はこのように変わるかも 物価を上げるための議論は専門ではないので控えますが、この状況が続くと日本の物流・国際物流においてだとこんなことが起きるような気がします。 日本のマーケットの今後の予想 今後の日本の物流の変化(予想) ・海外から日本に行くインバウンド旅行のは需要は延びる(安いから)。 ・日本国内の製造業としては減少・衰退が進んでいく(他国で作る方が安いから)。 ・高度な製造技術が必要なものは日本で作られる(多分)。 ・他の国で作れるようなものは海外で安く作る。 ・最終製品にまで作りあげて日本に輸入する。 ・3Dプリンターで作れる物は国内で作って国内配送する。 ・これまで材料を輸入していた分の国際物流が減少する。 ・製造を海外に軸足をおくことになるので、日本からの輸出も減少する。 ・先進国として利便性を追求。お届けまでの最後の物流(ラストマイルの物流)に注目が集まる。 ・物流センターとかドローンとかが重要になってくる。 やはり製造という側面が弱くなり、原材料の輸入、製品の輸出が減っていくでしょう。しかし、製品の消費は人が生きる上では必要だし、海外で安く作られるので安い商品が輸入されてきます。 まとめ 日本は他の国に比べて相対的に物価が上がらず、安い国になってしまいました。長期的に続いたデフレマインドもありますが、物流という観点から見ると、それは大手荷主さんの厳しい物流コスト基準が問題もあります。 現在のコンテナ不足ではそれが原因で、船会社も日本以外の国に注目をしています。今後 日本の製造業は減少傾向にあり、日本の国際物流・国内物流も形が変わっていくでしょう。 しかし、これがダメとか悲しいとかではなく、日本は「きめ細やかなサービス」、「おもてなしの心」のような"サービス"の方が海外より圧倒的に優れています。 だから、戦後の復興→高度経済成長→モノづくりで急成長→バブル&崩壊→そこから平成は負けまくったけれども、令和の時代以降は新しい形で更に価値のある国になっていって欲しいと願っています。

営業とマーケティングの違いについて | 物流コラム

営業とマーケティングの違いについて

営業とマーケティングの違いについて動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回はフォワーダーのマーケッターが語る「営業とマーケティングの違いについて」をお話ししたいと思います。 私の個人的な感覚ですが、営業とマーケティングの違いが良く分かっていない人や会社が国際物流の業界には非常に多いような気がしています。 実際にどのフォワーダーのHPを見ても同じようなことが書いてあり、違いがよく分かりません。 まず、そもそもですが 営業とマーケティングとは何か?ここから解説していきましょう。 営業について まず営業についてです。 色んな会社に営業マンがいますよね。製造業、商社業、金融業、観光業、物流業などなど。 イメージしやすい営業という仕事は、お客さんの所を訪問して、お客さんに自社の商品・サービスの提案をするというものです。 営業を御用聞きという人もいれば、コンサル営業のようなコンサルタント的な役割とする場合もあります。 マーケティングについて そして営業マンは各企業にいる一方で、マーケッターはあんまり聞かないですよね。 マーケティングの部署がある会社は、広告代理店や自動車会社とかで特定の業界や大手企業にはあるという感じです。 もしくは「マーケティング会社」というように、単体で存在している感じです。 またはコンサル会社のコンサルタントがマーケティングを使ってクライアントの業績アップのアドバイスをしていたりもします。 マーケティングの定義 まずですが、マーケティングの定義をしてみましょう。 世の中には色んな所で「マーケティング」という言葉が使われています。 ツイッターマーケティング、YouTubeマーケティング、インフルーエンサーマーケティングとか。 中には飲み会マーケティングという言葉も聞いたことがあります。ぶっちゃけ、これらはマーケティングではありません。 マーケティングの中のプロモーションの一つです。 ではマーケティングとは何か? 私が一番しっくりくるマーケティングの定義があります。 それは経営の神様、ピーター・ドラッカーが言う 「優れたマーケティングはセールスを不要にする」というもの。 例えば、マーケティングがむちゃくちゃ強かったら、積極的に営業する必要はなくって、欲しいと言ってくるお客さんの目の前に商品をポンっと置いてあげると買ってくれます。 営業は全く不要ですよね。これが優れた「マーケティング」です。 物流業界におけるマーケティング フォワーダーやその他の物流の業界では、このマーケティングに力を入れているところはあまり見かけません。 なぜか?私が思うには「トップがマーケティングについてあまり理解していない」ということが考えられます。 これは本当にもったいないとだと思っています。 私は過去にマーケティングの勉強をして、ずっと実践してきた経験があります。 またその経験を現在のフォワーダーとしてでも使っているので、7年前にタイでお客ゼロから始めた時でも結果を出すことが出来ましたし、今でもYouTubeなどを利用して 継続して新規顧客獲得が出来ております。 営業とマーケティングのメリット・デメリット 営業やマーケティングの定義やイメージはご理解頂けたかと思います。 では次に、営業とマーケティングの違いについて、それぞれのメリットとデメリットを含めて解説していきましょう。 営業のメリット 営業のメリットは、ズバリ「 分かりやすく」て「早い」こと。 マーケティングに比べると、「営業」って何をするか分かりやすいですよね。 だから企業のトップも営業を知っているから「ガンガン営業してこい」の一択になってしまいがちです。 実際にお客さんの前で話を聞いて、うまく提案ができれば成果にもつながりやすいです。 営業のデメリット そして営業のデメリットは、経営者の視点から言うと、良い営業マンに頼りがちになること。 また営業マンに、ある一定水準の営業スキルが要求されることです。 たまに本当に営業スキルが高いスーパー営業マンがいます。 この営業マンに頼ればガンガン売ってくれるのですが、もし この営業マンが会社を去った時に 組織として大きな損失となります。 この営業マンのノウハウがチームや社内でうまく共有されていなければ、一気に会社の力は落ちてしまいます。 また売れない営業マンは本当に売れません。これは採用時の問題にも関係するのですが、会社からしたら売れない営業マンを抱えてしまうと無駄なコストになります。 売れる営業マンになる為の教育するにも、教育コストがかかりますし、時間もかかります。 私自身会社を経営していますが、これらの問題は常日頃から感じています。 マーケティングのメリット では一方で、マーケティングのメリットとは何でしょうか? 「組織で集客の力を底上げ出来る」ことです。 特定の営業マンに頼らずに、マーケティングを使ってお客さんの方から来てもらうことが出来ます。 ちなみに、営業マンが個人でマーケティングを使うことも出来ますし、これが出来るようになると、更に価値の高い営業マンになれるとお約束します。 これはまた別の機会にお話することにしましょう。 優れたマーケティングが出来ていれば、お客さんは既に「買いたい状態」「興味を持ってくれている状態」なので優秀な営業マンでなく、一般の営業マンが提案しても売りやすい状態になっています。 これがマーケティングの大きなメリットです。 また成果が数字として見えやすいのもマーケティングのメリットです。 マーケティングとは科学のようなもので、1つの施策を試して、効果測定をして改善を繰り返します。 人に大きく依存しないので、効果測定もしやすく、何が良くて、何がダメだというのが数字として出てきます。 これはコントロールがしやすく、改善の施策も数字として出ますので結果が出やすくなります。 マーケティングのデメリット 一方でマーケティングのデメリットとは何でしょうか? それは ある程度の費用がかかり、時間がかかる事です。 もし早い成果を求めるなら、サンプルの絶対数が必要となりますので、より費用をかける必要があります。 また露出が多くなると、自分たちが求めているお客さんとは違うお客さんからの問い合わせも増えます。 これはメッセージをもっと絞れば対応出来ますが、自分が狙っているマーケットが小さかったら、お客が来ない可能性があります。 バランスを取らないといけないポイントですね。 また「マーケティングは難しい」と思われているのもデメリットだと思います。 コンサル会社のコンサルタント達は、やたらと難しいマーケティング用語を使って高い費用を請求していますが、実際のところはそんなに難しいものではありません。 マーケティングには色んな分析・プロモーションがあり、簡単なものから少しずつ実践をしていけば成果につながりやすいのです。 営業とマーケティングを分かりやすいイメージで例えると、営業が強い会社は、特定の営業マンだけが強いけれども マーケティングが強い会社は、複数の一般的な営業マンに強い武器を与えている感じです。 もしこの強い営業マンが辞めてしまったら会社としては大きな損失になりますが、マーケティングが強い会社だと、もし営業マンに辞められてもそれほど大きくは影響しません。 弊社のマーケティング例 ここで弊社が使っているマーケティングの一例をご紹介します。 弊社では「ターゲティング」を意識して、自社の強みをある程度絞ってメッセージを伝えています。 ターゲティングとは、特定のお客に狙って、会社のブランドイメージを伝えたり、会社の強みや魅力を伝えることです。 フォワーダーの多くの会社は、ぶっちゃけ違いがよく分かりません。 ほとんどの会社が、 ・ワンストップサービス ・きめ細やかなサービス ・世界各国へのネットワーク とかを伝えています。 HPを見ても非常に似たり寄ったりの感じです。 これだとお客さんが見るところは、「営業マンのパフォーマンス」や「価格」になってしまいます。 弊社の場合の例えですが、私はタイの国内の日系企業のお客さんには「海上輸出が超強いです」と最初に伝えています。 また海外の代理店や見込み客には「タイの物流はイーノさん」というメッセージを何度も伝えています。 これによって 自社が得意としている、海上輸出を必要としているお客さんに、狙ってメリットを伝えているので、競合と比較しても選ばれやすく、また勝ちやすくなります。 また海外のフォワーダーの代理店候補の会社も、タイの物流はイーノさんに任せてみようかと、思い出しやすくもしています。 ターゲッティングが明確になったら、どの媒体を使ってメッセージを伝えるのか? 私の場合はYouTube、Twitter、Linkedinを主に活用し、たまにFacebook広告も使ったりします。 また作ったコンテンツをブログにもまとめていて、Googleの検索で上位表示される工夫もしています。 これにより弊社のYouTubeを見たというお客さんや海外のフォワーダーからタイ発の案件の問い合わせがきます。 そこに対して実際に訪問したり、オンラインで面談したりして、簡単な営業活動をします。 既に弊社に興味を持っているお客さんと話をするので、高い確率で成約することになります。 ちなみに営業する時のプレゼン資料も、ターゲッティングとメリットを盛り込んだものに仕上げています。 現在、まだコロナウィルスは世界中で猛威を振るっていて、コロナありきの生活のニューノーマルが来るとも言われたりしています。 在宅ワークを取り入れている会社も多く、またお客さんも対面の面談を拒否してくるところもあります。 そんな状態で新規顧客の獲得を「ガンガン営業する」の一択だけで、果たして出来るのでしょうか? 在宅ワークをしている人に新規で連絡をとるのは難しいですし、新規の飛び込みでオンラインミーティングを依頼するのも簡単なことではありません。 私としてもそんな営業をされたら嫌ですし、個人的にはかなり無理があると思います。 今回このようなお話をさせてもらったのは、フォワーダーとしての顧客獲得のスタイルも見直す必要があるのでは?とお伝えしたかったからです。 まとめ それでは今回の話をまとめましょう。 フォワーダーで現在 マーケティングを取り入れている会社は非常に少ないです。 マーケティングとは?を定義すると、私のお勧めはピーター・ドラッカーの「優れたマーケティングはセールスを不要にする」というものがあります。 実際に、営業とマーケティングにはそれぞれメリットとデメリットがあります。 営業のメリットは「分かりやすい」「うまく提案出来れば結果は早い」こと。 デメリットは「特定の営業マンに頼りがちになってしまう」こと。 そしてマーケティングのメリットは「組織全体の集客の力を底上げする」こと。 「成果が数値で測定しやすく、改善しやすい」こと。 デメリットは「ある程度の費用と時間がかかること」「難しいと思われている」ことです。 しかし実際にマーケティングを取り入れてみて活動をすると、成果は出ると私の経験上で実感しています。 現在はコロナと共に生きる、ニューノーマルの社会だと言われています。 この社会ではフォワーダーも適切なマーケティングが必要になるのではと私は考えている所です。 経営者の目線で言えば、確かにマーケティングにはコストがかかりますが、それは売れない営業マンを抱えていても同じこと。 そして営業マン個人へのメッセージとしては、個人がマーケティングを使えば更に価値ある存在になります。 ビジネスを運営する、前進させるにはある程度のコストが必要です。 そして個人の自己投資としてもマーケティングは価値があります。 組織・個人として価値あることを見極めるのが大切で、これからの時代を生きる新しいフォワーダーとして、営業力の強化だけでなく、適切なマーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。 今回のお話は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

フォワーダーの新入社員の仕事とは?国際物流業の新卒がやるべき6つの事。 | フォワーダーの仕事

フォワーダーの新入社員の仕事とは?国際物流業の新卒がやるべき6つの事。

早いもので今年も4月。日本では新社会人たちが、それぞれの想いを持って入社をしたと思います。タイでは新卒の入社時期は特に決まっていません。好きな時に入ってきます。 日本独特の4月のフレッシュな雰囲気というのは、外から見ていて「なんか良いな」とこの季節が来るたびに思ってしまいます。 そんな初々しい新入社員の方たちの中で、国際物流の業界で働く人たちもいると思います。 今回はタイでフォワーダーを経営している立場から、日本の国際物流業界で働き始めた若者たちに向けて、もし私が新卒だったらというテーマでお話をしたいと思います。 イーノさんのフォワーダーとしての経歴 簡単な自己紹介ですが、私が初めてフォワーダーの仕事をし始めたのは、30歳の時。自分の事業が失敗した直後で、とにかく早く就職しないとヤバいという状態で、私の英語力を買ってくれる会社がフォワーダーでした。 人材紹介のサービスを使って、外資系のフォワーダーに派遣社員として働き 最初は海上輸入の業務をしていました。 その後、タイで働く機会があり、最初にタイで入社した会社は現在の親会社。タイのローカルのフォワーダーで営業として入社しました。 そこで営業成績が良く、またオーナーと仲良くなったので 自分の会社を立ち上げることになりました。現在、会社は5期目を迎えていて おかげさまで安定した経営が出来ております。 国際物流の登竜門とは? 私が初めてフォワーダーの業務として仕事をした時に実感をしたこと、また現在ではスタッフを抱えて教育をしているので、国際物流の仕事で新人が感じることは共通していると思います。 フォワーダーの新入社員として働く皆さんも同じことを感じると思いますので(多分)、まずそれについて説明をしていきたいと思います。 なんでこんなに書類が多いの? 国際物流では取り扱う書類がとにかく多いです。 国際物流の書類 - 例 ・Invoice ・Packing List ・B/L(Draft/Original/Surrender/Waybill) ・Letter of Credit ・Shipping Instruction ・Booking Confirmation ・VGM/AFR(書類ではないが提出があるルール) ・原産地証明書 ・その他、他法令に関する各種書類 ・Arrival Notice ・Delivery Note ざっと思いつくだけでこれくらいあります。 何で単に物を送るだけなのに、こんなに書類が多いのか?個人の荷物を送る時にはこんなに沢山の書類を要求されませんが、商業貨物だと必要になります。 1件のプロセスが多い 国際物流では貨物が別の国に送られるまでに複数のプロセスがあるからです。この各プロセスでそれぞれの書類が必要となります。 簡単にですがざっとプロセスをご紹介します。 国際輸送のプロセス ・船/飛行機の予約(S.I, Booking Confirmation) ・貨物のピックアップ ・貨物の梱包(必要な場合) ・貨物の重量の申告(VGM) ・貨物の事前申告(AFR/AMS) ・輸出申告(通関,C/O) ・海上・航空輸送(B/L, AWB) ・貨物の到着案内(Arrival Notice) ・輸入申告(輸入通関) ・税金の支払い ・貨物を港でピックアップ(D/O) ・配送完了 フォワーダーの会社に入社した人は、まずこの全体像が見えないと何もできないと思います。 イーノさんが新入社員なら さて前置きが長くなりましたが、本題です。もし私がフォワーダーの営業マンとして新入社員となったら何をするか。 前提条件として中小企業のフォワーダーとします。企業の規模で出来る事や期待されていることが違うと思いますので。 1. 業界に関する基本ルールを超勉強する まずルールが分からないと、お客さんに提案が出来ません。その前にお客さんの問題も見抜けなかったりします。営業マンだからといって海上・航空のスペースを売れば良いというだけではありません。 海上・航空のスペースだけであれば、スペースの確保力と価格競争になります。スペース確保は新人が出来ることではなく、会社組織としての総合力の問題です。 そして価格競争であれば大手が本気を出したら勝てません。 だから国際物流の基本ルールをまず学んで、自分の引き出しを増やすこと。お客さんを訪問した時にお客さんが何で悩んでいて、もしくはより良い提案が出来るような基礎知識を身につけることが本当に重要です。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/training-lesson/?lang=ja" target="_blank"] 2. 業務能力を高める フォワーダーの営業マンといえど、お客さんを訪問するだけではありません。会社によっても違いますが、お客さんの物流の業務はCS担当が全てするところもあれば、営業も業務に加わって対応する場合があります。 外回りの営業であったとしても業務能力が必要な理由は上述した通りです。国際物流では本当に多くのプロセスがあり、1つの小さなミスでも貨物をストップさせて大きな問題につながるからです。 基本的に自分でミスをしない。もし他の人がミスをしてもカバー出来る様にするのが超大切です。業務能力が低いとミスが多発して全体に迷惑をかけてしまうので。 3. 全ての仕事を快く引き受ける 国際物流の仕事は本当に色んなものがあります。取り扱う貨物や地域で違った規制が出てきて最初は混乱するかもしれません。 しかし新人であれば基本的に知識はゼロの状態。スポンジの様に色んな知識を経験してくことをお勧めします。色々と実際に体験してみないと分からないことも多いです。 体験・経験値の多さが今後の仕事の活動内容に影響するのは間違いなくって、最初から仕事を選ぶということはしない方がいいでしょう。 4. 社内・社外で敵を作らない 新入社員で若い時の私は生意気だったので社内(商社)で敵を結構作っていたらしいですが、今振り返るとフォワーダーだったら特に終わっていたと思います。 何度も言いますが国際物流の仕事は沢山のプロセスがあり、関係者が多いのです。多くの人の協力を得て1件の仕事をまっとうすることになるのでチームワークが大切になります。 「営業マンは仕事を取ってきてなんぼ」みたいな古い考えがあったりするかもしれませんが、フォワーダーに関しては別です。 フォワーダーの場合では仕事の役割分担が違い、やることが違うだけなのです。他の仕事でも基本はそうですが。 こういうのって若い時は特に気づかないものだと思います。中途半端に成果を出してしまうと「自分の実力」と勘違いしてしまうのですが、それは全て他の人たちのサポートがあるからです。 5. 英語を身につける 他の業界でも英語は大切だと言われますが、フォワーダーという仕事においては英語能力はデフォルトだと言っても過言ではありません。 日本だけでなく他国の人たちとコミュニケーションを取って貨物を輸送する仕事です。メールはもちろん英語になり、営業マンであれば海外の人に電話をすることもありますし、海外に行くこともあります。 上述したように、フォワーダーの仕事はチームワークが大切です。これは社内だけでなく、国外の協力者(支店・代理店)も人たちも含めて協力して貨物を運ぶ仕事です。 副業はしない 昨今では大手企業でも副業解禁という風潮がありますが、私が新入社員なら副業はしません。自分が新人だった時に思いっきり副業をやっていましたが、もし新卒に戻れるなら絶対にやりません。 副業、更に言えば起業もですが、いつでも出来ます。 それよりも自分が所属した組織から学ぶ方が大きな財産だと思うからです。言い方は悪いですが会社を利用すれば良いと思います。 サラリーマンだと滅多なことでは首を切られませんし、失敗しても良いから挑戦をすること。 大切なことなので2回言いますが、副業・起業はいつでも出来ます。しかし新入社員として、組織から色々と教えてもらえる期間は限られています。この期間を自分なりに有効活用することをお勧めします。 まとめ もし私が新入社員ならというテーマで簡潔に書きましたが、実際はもっと意識してやることはあります。※私の個人ブログの方で書こうと思いました。 ですが、今回はフォワーダーという仕事の特性を理解して、新人時代に特に意識することとして6つのポイントをお伝えしました。やるべきことが多いと結局何も出来なかったというケースは多いですからね。 私もタイでフォワーダーとして活動して8年目になります。新人の皆さんと私は同業者ですが、パートナーになれる可能性もあります。弊社では日本に支店はなく、代理店とお取り引きをするというスタイルをとっていますので。 これも何かのご縁だと思います。皆さんの成長に私の経験が何かのお役に立てばとても嬉しいと思います。頑張ってください!

コロナでフォワーダーが二極化!?影響は物流業者にも出ています。 | フォワーダーの仕事

コロナでフォワーダーが二極化!?影響は物流業者にも出ています。

2020年の3月くらいからコロナウィルスが世界中で蔓延をしていって、仕事を失った人・倒産してしまった会社、逆に儲けた人・会社があると思います。 私がタイでフォワーダーの仕事を始めたのが2014年2月。そこから2016年に自分の会社を経営しているのですが、最近になってやっと業界のことをよく考えるようになりました。 直近の私の周りの話で言えば、コロナによってフォワーダーは仕事が取れる会社、仕事が取れない会社と二極化してきた印象があります。 今後、国際物流の業界はどのようになっていくのか?現時点での私の考察をツラツラと書いていきたいと思います。 コロナによって仕事が出来なくなる 上述したように、私の周りでは仕事が無くなる、倒産するフォワーダーの話を聞く機会があります。なぜそんなことになるのか? それはコロナが影響して発生したコンテナ不足の問題です。2020年11月頃からコンテナ不足の影響が出始めて、今もまだ解消の見込みが立っていません。 更にスエズ運河の問題でコンテナ不足に拍車がかかる懸念があります。コンテナ不足が長期化すると更に経営に大きなダメージを喰らうフォワーダーが増えていくでしょう。 限られたスペース・コンテナが取れない コンテナの本数には限りがあります。この限りあるコンテナを取れる会社とはどのような会社なのか? ズバリ、船会社に対して高い交渉力を持っている会社となります。逆に言えば、交渉力が全くない会社はコンテナを割り当ててもらえません。 キャッシュフローの問題で仕事が取れない もう一つの点はキャッシュフローです。私たちフォワーダーは船をBookingしてB/Lが発行されるタイミングで船会社に海上運賃を先に支払っています。 しかし、お客さんに請求をするのはもっと後です。会社によって異なりますが、弊社では1ヶ月のクレジットタームをお客さんに提供しています。 船会社には先払いをして、お客さんからの代金回収は後になる。なので十分なキャッシュがないと、次のBookingをする資金が足りなくなってしまいます。 高い海上運賃が影響する コンテナ不足の影響で海上運賃は高騰しています。例えば、コンテナ不足の問題の前では上海→ロサンゼルス港はUSD1,500/40’程度でしたが、現在ではUSD4,000/40’を超えています。 コンテナ1本あたりでこれくらいのキャッシュが必要になるので、これを1shipmentで10本のコンテナをBookingする必要があったらどうでしょうか。 かなりの現金を持っていないと、お客さんから代金回収が出来るまでは次の船・仕事が取れないということになります。 二極化するフォワーダー フォワーダーという業態はアセット(船・飛行機などの設備)を持たないので、参入が簡単に出来るのが特徴です。 しかし、参入が簡単だからこそ多くのフォワーダーが市場に存在していました。少人数であれば、そこそこの物量があるお客さんを2−3社抱えれば経営自体は出来てしまいます。 しかし、現在では取扱量が少ないと船会社からコンテナやスペースを割り当ててもらえません。より交渉力のある物量を抱えたフォワーダーにコンテナが回ります。 一部のフォワーダーは圧倒的に勝ち残る コンテナが取れない会社は生き残れませんが、逆にコンテナが取れる会社は圧倒的に有利になります。2020年の年度末も終え、各船会社の純利益が圧倒的に黒字、もの凄く業績が好調だったというニュースが出ています。 フォワーダーも同じで、競争が少ない現在では限られたコンテナを荷主に高く売る事ができるので、高い売り上げ・利益が見込まれます。 またエアーが強いフォワーダーももの凄い業績を上げています。特に日本から欧米へのコンテナ不足は深刻な問題なので、工場を止めないためにエアーで輸送にシフトせざるを得ない会社もあるからです。 まとめ コロナによってもちろん国際物流業界にも影響が出ています。飲食や旅行業界のように全部に悪影響という形ではなく、力の差によって生き残りを分けるというものでした。 二極化が進み、強い会社はより強く、小さな会社は倒産もしているところもあります。資本主義が続く限り国際物流というものは無くなりませんが、全ての会社が安泰というわけではありません。 自分の働く業界について流れを理解し、適切な判断が経営者にも、そして働く従業員たちにも必要だろうなと思います。

2021年 コンテナ不足の問題は “いつ解消する”のか?各国のコロナ感染者数から考察してみた。 | 貿易実務の基本

2021年 コンテナ不足の問題は “いつ解消する”のか?各国のコロナ感染者数から考察してみた。

先日、お客さんとの何気ない会話で質問されました。 このコンテナ不足が原因で海上運賃が上昇する、スペースが取りにくいという状態が続いているので、お客さんにとっても注目せざるを得ないこの問題。 私も少し前にメディア関係者さんに聞かれたときや、YouTubeでは とぼんやりとした回答をしていました。YouTubeでは「これが分かれば苦労しない」ともいっていますが、今でも同じ気持ちです。 このコンテナ不足の問題はいつ解消するのか?本当に分からない。でも多くの人は答えを求めている感じがする。 なので現時点での私の考察をツラツラと書いていきたいと思います。 コンテナ不足とコロナ感染者数 こちらの動画でも詳しく解説をしましたが、現在発生しているコンテナ不足の主な原因はコロナです。 コロナが収まらない限りは、港の港湾労働者、ドライバー、製造業の人たちのマンパワーが落ちてしまうので、コンテナが流れていきません。なのでコロナの新規感染者数を見ながら考えていきたいと思います。 コロナが割と落ち着いている地域 現在、私はタイに住んでいます。タイでも毎日感染者数が発表されるのですが、数十人という感じ。100人単位で出ることはたまにあるんですが、それが出た時点で締め付けが厳しくなります。 タイではコロナがかなり抑制できている方だから、自分の勝手な感覚で「他の国もよくなってきてるんじゃないの?」と思っていました。今回の記事を書くまでは。。 イーノから見た日本のコロナの状況 また同時に日本のニュースも毎日聞いているのですが、最近だと東京で300人とか、大阪が東京より上回ったという感じですよね。 とはいえ、日本ではワクチン接種が医療関係者に3月から始まって、一般の人たちには5月前後で接種できるみたいなニュースを聞きます。 感染がこれくらいの数でワクチンの入手も海外からちゃんと出来ている感じだし、オリンピックもやることだし、なんとなくコロナは収束に向っているのかな?なんて気もしたりしました。 アメリカはどうだろう? アメリカでは過去に死者が1日で1,000人を超える時があったり、とんでもない状況になっていると思っていました。 しかしファイザーワクチンがいち早く市場に出て、さらにバイデン大統領もワクチン流通を積極的に後押ししています。 ニュースで聞いていたのは4月末にディズニーワールドが再オープンするという感じで、状況は良くなっていっているのだなと思っていました。 データを見る限りでも 依然として多いですが、状況は改善しているのかと思います。 それ以外の地域では? これまでのデータだけを見る限りでは、当初に思っていたような今年の6月末くらいにはコンテナ不足が解消するかもという見立ては割と良い線をいっているような気がします。 しかし、他の地域のデータを見る限りでは、6月末は無理かも。。と思わざるを得ません。 イタリアのコロナ感染者数 3月15日に3度目のロックダウンをするというニュースを聞いて、まだそんな感じなの?と驚いていました。 また、たまたまですが1週間前にイタリアのフォワーダーさんと話をする機会もあり「どうなの?」と聞いたら、飲食店はやってたりするとのこと。 会社に行って仕事しているらしく、そこまでヤバいという印象は受けませんでした。 フランスのコロナ感染者数 3月20日に3度目のロックダウンが始まったとニュースで聞きました。またデータを見る限りでも増加傾向にあるのが見えます。 イギリスのコロナ感染者数 イギリスは昨年の夏くらいから港がヤバい状態になっていました。コンテナが港に滞留しまくって、船会社もイギリス向けのBookingは拒否をするくらいの状況でした。 データを見る限りでは減少傾向にあります。アメリカと同じで自国でワクチンを開発、流通できるというのは、やはり効果的なのでしょうか。 ブラジルのコロナ感染者数 2021年1月17日にワクチン接種開始。「1月22日までに10万人がワクチン接種した」と調べたら書いてありましたが、接種より感染の方が多いです。 人口が多く、人同士の距離が近い(ハグするイメージ)国だとワクチン効果が出るまでに時間がかかるのでしょうか。 インドのコロナ感染者数 インドも過去のニュースの記憶を振り返ると、コロナの影響が大きかった地域だと思います。港にコンテナが溜まり、昨年の上旬ではインド向けの物流が困難だったという印象があります。 各国の感染状況の原因をちゃんと確認をしていませんが、インドも増えています。インドでも自国でワクチンを開発しているけれども、まず人口が多いのとワクチンがまだ追いついていないという感じでしょうか。 欧州航路は厳しい これらのデータを見た時の私の印象ですが、欧州航路はまだまだ厳しいんじゃないかなと思いました。 ワクチンの状況にもよりますが、9月末、もしくは年末くらいまでかかるかもしれません。 北米航路は大丈夫なのか? 北米のコロナ感染状況が緩和してきているので、北米航路は大丈夫か?というと、正直なところ微妙だと現時点では思っております。 理由としてましてはバイデン大統領の約200兆円の追加経済対策です。これがサービスではなく、製品が消費されることになれば中国から更に貨物・コンテナが流れることになります。 そうするとLA港、LB港でまたコンテナが滞留します。そして、そうこうしているうちに9月・10月になってクリスマスシーズン、中国の国慶節(長期休暇)の影響が出るかもしれません。 まとめ コンテナ不足解消にはコロナが各国で抑えられることが条件の1つです。しかし現状を見る限りではヨーロッパでは抑えられていない。その他の大国もまだまだな状況です。 アメリカは国策もありコロナは抑えられていますが、また別の国策から消費が伸びて中国からのコンテナが増加し、港に滞留する可能性もあります。 今年、来年の海上運賃は依然として高い水準を維持するのではないか?というふうに私は考えております。

スエズ運河 座礁の問題から、コンテナ船の巨大化のリスクについて考える。 | 物流ニュース・物流ラジオ

スエズ運河 座礁の問題から、コンテナ船の巨大化のリスクについて考える。

スエズ運河で座礁した船は過去10年に25回あります。しかし今回は20,000TEUクラスのコンテナ船で過去最大のサイズ、その為に運河が完全にブロッックされたことが問題になりました。 単に船が座礁しただけならここまで世界的に注目されるような問題にはならなかったと思います。しかし、絵面としても巨大なコンテナ船が運河を塞ぐというのはとてもインパクトのあるものでした。 今回はこの船の巨大化についてもう少し掘り下げて考えていきたいと思います。 なぜこんなにもコンテナ船は巨大なのか? 最初に質問ですが、なぜこんなに巨大なコンテナ船があるのでしょうか? 答えは簡単で輸送効率を上げるためです。 小さな船で何度も運ぶよりも、大きな船で一回でドーンと輸送する方が燃料費、人件費、その他の諸経費も下がります。 コンテナ船誕生時との比較 コンテナ船が世の中に初めて登場したのが1956年4月。その時は約58個のコンテナが輸送をされました。 そして今回スエズ運河で座礁した船は20,000TEUクラス。20フィートコンテナなら2万個が一度に運べるサイズです。 近年に造船されるコンテナ船は明らかに巨大化傾向にあります。 しかし、この船の巨大化のために、需要より供給の方が大きくなり 多くの船会社が統合したり、韓国系の大手の船会社は倒産までしてしまっています。 利便性より実利の資本主義 この資本主義の現在においては、やはりコストを出来るだけ安くしようとするのがビジネスでの基本です。中型の船を複数運行すると、やはりそれなりにコストとして反映されてきます。 分かりやすく例えるなら、ある町で。。 ・小さなバスが1日3本運行するのか ・大きなバスが1日1本運行するのか という感じでしょうか。 バス会社からしたら1本のバスで乗客を一回で沢山乗せる方が輸送効率は上がります。ですが一方で、町の住人からしたら1日3本バスが運行してくれる方が、自分の予定を立てやすくて便利なはずです。 これと同じことが海運業界にも起こっています。船が巨大化する一方で、船の便数は減ってくるのです。 コンテナ不足・スペース不足で肯定された巨大船 コロナが原因のコンテナ・スペース不足では、この巨大なコンテナ船のスペースが足りていない状況です。船会社は船のスペースを在庫できないし、出来る限り船をフルスペースで運行させたいもの。 現在では、このコンテナ不足・スペース不足で巨大なコンテナ船が満船になっている。これは儲かりますよね。 船の巨大化は止まらないのか? 今回のスエズ運河の事故が影響するかは分かりませんが、これ以上の大型化には少しブレーキになったかもしれません。 とはいえ現在、世界最大級のコンテナ船では2.3万TEUを運べます。これが3万TEU運べる船が出てくると世界各地の港も改築をしないといけません。 スエズ運河や他の運河も改築が必要になったりするでしょう。 中型船メインのサービス 上述したように、大型ではなく 少し小さなサイズのコンテナ船で、複数のスケジュールのサービスがある方が荷主にとっては助かるものです。 去年の11月以前では海上運賃は底値がずっと続いていたのですが、妥当で適切な海上運賃で中型船を頻繁に運行する!というポリシーで経営してくれる船社があってもよいのかなと思います。 少し高くてもよいから安定スケジュールのサービスを理解する、運賃を受け入れてくれる。でも、私たち海運業で海上運賃の見積もりを出した時に「他社の方が10ドル安い!」と普通に言われます。 このような荷主さんばっかりだと、この構想は実現しないでしょう。 まとめ コンテナ船の巨大化はコロナ前までは赤字の原因と捉えられていましたが、コロナ後のコンテナ・スペース不足で一気に肯定されたような気がします。 しかし、今回のスエズ運河の座礁の問題が発生して「巨大すぎるコンテナ船は安全運行リスクがある!となって、中型船にシフトしていくか?」というと資本主義の世の中では、そうはいかないでしょう。 荷主からしたら船の大きさは全く関係なく、安定的でフレキシブルなスケジュールが求められるのですが、船のスペースを在庫することができない船会社にとっては利益、リスクを考えると単なる私の妄想に終わる話なのかなと書いていて思いました。