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貿易コラム

2021年9月物流ニュース | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年9月物流ニュース

この記事を動画で見る どうもこんにちは飯野です。 今回は2021年9月の物流や海運に関するニュースをお届けします。 今年の9月は過去に例がないほどサプライチェーンに乱れが生じていることから、どのように海運市場に変化があったのかを中心にお届けしていきたいと思います。 それでは、いってみましょう。 北米西岸沖待ち悪化。コンテナ船70隻を超える日も 北米西岸のロサンゼルス港、ロングビーチ港の混雑が8月以降更に悪化し、港で沖待ちしている船が70隻を超える日も発生しました。 沖待ちの平均日数は9日。一部の船では8月末から沖待ちしているものの、9月になっても接岸できない船も少なくない様子です。 これまで沖待ち船の推移は、年明けから2月にかけて顕著だったものの、4月以降縮小され、5月6月には一桁まで減少していました。 しかし夏場の繁忙期やコロナ感染者の拡大で荷役作業が滞り、70隻を超える沖待ちが発生しました。 コンテナ運賃、8航路で過去最高値を記録 アジア発のコンテナ運賃が軒並み値上がりしています。 上海航運交易所が発表した9月10日付けの運賃は、上海発13航路すべてが前週に比べて値上がりをし、また13航路中8航路が過去最高値をつけました。 9月10日時点の北米東岸向け40フィートは1万1,731ドル、北米西岸向けは6,322ドルといずれも過去最高値となっています。 一方で欧州航路では北欧州向け20フィートが7,491ドル、地中海向けが7,365ドル。欧州航路でも過去最高値となっています。 そして南北航路では、西アフリカ向けが20フィートあたり8,359ドル、南米東岸向けが1万148ドルです。 このように欧米など主要航路では最高値をつけていますが、一部では頭打ち感が見えているという見解もあるようです。 コンテナ船チャーター料(用船料)高騰、4,400TEU型9.8万ドル。短期契約が困難に コンテナ用船市場が高騰しています。4,400TEU型は9月10日時点での日建て用船料は9万8,500ドルとなり、半年から1年の短期契約だと10万ドルを超えています。 船主は高い用船料と長い用船期間を船社であるオペレーターに要求しています。 その為、短期用船での契約期間は船腹が調達出来ても、契約更新の際に交渉がまとまらなければ、オペレーターはサービスが維持出来なくなる可能性もあるようです。 4,400TEU型の用船料はコロナ以前では1日あたり1万ドルが上限でした。 しかし昨年夏頃から一気に上昇し、11月には2万ドルを超え、その後も上昇を続け、9万8,500ドルになっています。 CMA-CGM コンテナ運賃スポット値上げ停止。来年2月まで 仏船社CMA-CGMは9日、全てのスポットコンテナ運賃の引き上げを停止すると発表しました。 期間は9月から2022年2月1日までとし、顧客との関係性を維持するためとのことです。 運賃の維持の対象はCMA-CMGだけに限らず、CNC,APL,ANL,コンテナシップス、メルコスラインなどグループ会社全てに及びます。 今年に入ってから、世界のコンテナ輸送は需要の逼迫によりスポット運賃の上昇が続いていますが、このような発表は異例です。 基幹航路のコンテナ運賃はコロナ前と比べて2~3倍になり、荷主などを中心に強い不満が高まっています。 また各国当局もコンテナ船社への監視を強めているため、今回はそうした不満に配慮したのではと見られています。 2022年度のコンテナ船社と荷主の運賃交渉、活発化。スペース確保急ぐ 主要コンテナ船社と日系荷主の2022年度運賃交渉が早くも動き出しています。 現状のサプライチェーンの混乱が来年に及ぶことを鑑み、荷主がスペース確保に追われていることが影響しています。 ある日系大手メーカーは9月に入り、22年度の輸送契約の説明会を開催したとのことです。 例年だと11月、一般的には12月から1月に行われていますが、今年の実施は異例なほど早いです。 これだけ前倒しするのは今年のようなスペース不足を避けたいという理由があります。 一部の荷主は船会社にスペースの安定供給のために複数年契約を求める声もでているようです。 イケア、自社でコンテナ購入、コンテナ船チャーター。サプライチェーンの混乱改善に動く 欧州家具大手イケアは、世界的なサプライチェーンの混乱に対応するために自社で海上コンテナを購入し、船舶のチャーターを行っているとのことです。 既に北米流通大手ウォルマートやホームデポも船舶のチャーターに着手していますが、他の大手荷主も同様の手段をとる可能性があります。 イケアは以前からコンテナ購入を行っていましたが、船舶チャーターに乗り出したのが3月のスエズ運河で「EVER GIVEN」の座礁が後押ししました。 この船にはイケアのコンテナが100本搭載されており、この座礁により輸送が大幅に遅延したとのことです。 その後コンテナ購入やチャーター船により、海上輸送の混乱は改善したと発表しています。 ウォルマート、2021年クリスマス商戦はセール3回 北米流通大手ウォルマートは2021年のブラックフライデーのセールを3回行うことを発表しました。 コロナの感染状況から11月中に3回のセールを開催することで人流を抑制し感染拡大に配慮した模様です。 例年、北米のブラックフライデーセールは11月第4週の金曜日からです。 世界の輸送状況が逼迫している中、セールのスケジュールが前倒しになる上、複数のセールに多量の在庫確保は一層のサプライチェーンの混乱を引き起こす引き金となっています。 ウォルマート、クリスマス商戦に向け2万人正規雇用 ウォルマートは北米のサプライチェーンオペレーターに2万人を正規採用すると決定しました。 通常であればクリスマス商戦には季節労働者の採用となりますが、今年は労働者の獲得競争が過熱することが予想され、またサプライチェーンのオペレーション力の確保に向けての対策と見られています。 今回採用されるのはディストリビューションセンター、フルフィルメントセンター、輸送オフィス、オーダーピッカー、貨物の受け取り人、フォークリフトオペレーターなど、オフィス業務や倉庫業務の職種です。 平均時給は20.27ドル、コロナの予防接種150ドルのボーナス、ホリデーシーズンのボーナスなど待遇を手厚くし、人材確保に乗り出しています。 解説コーナー それでは9月の海運の流れを解説していきましょう。一般的にコンテナ輸送では10月1日の中国国慶節の前までが年内のピークシーズンとされています。 しかし、現場で働いている私からしても9月末の現在においてはピークが収束に向かっている感じが全くしません。 引き続き本船のスペースが取りにくい、海上運賃は10月上旬も高い状態です。 それには今回のニュースで説明したように理由があります。最後のウォルマートのニュースで紹介したように、北米では小売側からも複数のセールで消費者に刺激がありました。 当初はバイデン政権による給付金やワクチン普及による、北米の景気回復が理由だと思っていたのですが、ウォルマートのような超大手小売がブラックフライデーセールを3回もやるとなると 各店舗の在庫確保は凄いことになります。 ウォルマートは自社で船をチャーターして貨物輸送をしていますが、ウォルマート以外の小売もセールに力を入れ 北米向けの貨物需要が伸びていると考えられます。 またウォルマートは自社のサプライチェーンの安定を図る為に、季節労働者ではなく正規雇用という形で20,000人を雇用しました。 北米市場の消費者需要が伸びる中で、季節労働者の賃金も上がり傾向にあります。 ウォルマートとしてはこの市場の加熱が今年だけのものではないと考えているからこそ、正規雇用という形にしたんだと思います。 このように消費者需要、コンテナ船の需要の高まりから用船料がコロナ前に比べて10倍になっているというニュースがありました。 船会社も自社で保有している船もあれば、船主から借りている船もあります。船会社の用船の仕入れ値自体が大きく上がっているので、海上運賃も大きく値上がることになります。 コンテナ船1隻の価格はサイズにもよりますが100〜200億円という大きなもので、船のオーナーはこのような大きな投資をしているのを忘れてはいけません。 この海運業界の好景気がいつまで続くかが分からない状況でもあるので、需要が高い時に価格が高騰するのは、この資本主義において一般的な流れだと思います。 とはいえ、特に北米向けのスポット運賃が高騰しているのでCMA-CGMはスポット運賃の値上げを来年の2月までストップすると発表しました。 他の船会社がこれに同調するかは分かりませんが、価格の天井が見えたような気がします。 日本においては大手荷主と船会社、フォワーダーの交渉が早くもスタートしました。ニュースによると運賃よりスペースを重視した交渉であったようです。 このことから、業界関係者の間ではこのコンテナ不足・スペース不足は来年まで続くと見込んでいます。私自身も来年いっぱいまでは高い水準であることが続くと思っております。 これに関する詳しいお話は別の動画にて解説をしていますので概要欄にリンクを貼っておきます。 まとめ 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。もし参考になったという場合はチャンネル登録、動画のシェアなどよろしくお願いします。 今回参考にしたニュースのソースは概要欄にリンクを張っておりますので、詳しくはそちらもご覧ください。 現場からは以上です!ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

エアーの需要が伸びるかも!?中国の港でコンテナ船沖まち154隻 | 物流ニュース・物流ラジオ

エアーの需要が伸びるかも!?中国の港でコンテナ船沖まち154隻

どうもこんにちは、飯野です。 今日は「中国の上海港と寧波港で沖まちコンテナ船が154隻」というテーマでお話をしていきたいと思います。 現在、北米西岸のロサンゼルス港とロングビーチ港の沖まちが60〜70船と話題になっていますが、上海港と寧波港ではその倍の154隻が9月末時点で確認されました。 更に中国全土の港では242隻のコンテナ船が沖まちしている状態です。 2021年10月8日 イーノさんの物流ラジオ 中国の港で深刻な混雑が発生している理由 なぜこのようなことが発生しているのか?要因をそれぞれ解説していきます。 まず9月に寧波のターミナルが閉鎖され荷役のオペレーション能力が下がったことと、更に台風の影響で港で積み下ろしが出来なくなっただけでなく、船のスケジュールに大幅な遅延が生じたからです。 これらにつきましては過去のラジオにて詳しくご説明をしています。 これからどうなる!?中国 寧波港の混雑の影響について。 2021年 台風14号!上海港、浦東空港(PVG)でサプライチェーンに影響。 中国-北米航路 ループ数の増加 他には中国から北米航路のループ数が増えていることが考えられます。 中国-北米航路便数 2021年1月:48隻 2021年9月:68隻 何と半年間で約40%も増便しています。 船会社としてはこのドル箱の航路に船を追加で投入してきます。既存プレイヤーだけでなく、新規参入してきた船会社もあります。 本船の小型化による効率悪化 そして投入された船のサイズは従来のものより少し小型なのも特徴です。これまでの船の平均サイズは8,601TEUから7,125TEUほどで、約1,500TEU分のコンテナボリュームの差があります。 また船の接岸には時間がかかります。船がこのように小型化することで積載効率が悪くなり、使用する船が増加、そして港の混雑を引き起こしました。 中国で水先案内人が不足 更に船の小型化に加えて、中国の水先案内人の不足も原因の一つでしょう。水先案内人とは船を港に接岸させる為の専門職です。 タグボートをコンテナ船上から操り、安全に・確実に港に接岸するのが彼らの役割なのですが、中国ではコロナの検疫強化を理由に水先案内人の業務後に14日間の隔離を実施しています。 スペース不足の原因 このように北米の港だけでなく、中国の港でも混雑状況がヒドいとなると、これまでのスペース不足には納得出来ます。 これまでは北米の消費需要の高まりにより、北米の港と内陸で物流の目詰まりが発生していると思っていましたが、中国でも目詰まりが発生していたのです。 需給バランスの均衡 - エアーに需要が傾くか? 現在、中国は電力不足で生産活動に制限がかかっていますが、本船スペースの供給にも制限があることから、ある意味で受給バランスは取れているのかなとも思います。 しかし北米のクリスマスセールに向けて貨物の出荷は必要となりますので、個人的にはエアーの需要がこれから高まると思います。 様々な要因が重なり市況を予測するのは難しいですが、引き続き情報を発信していきます。

中国の電力不足、海運市況に影響か!?中国発 – 北米向け 運賃半額。 | 物流ニュース・物流ラジオ

中国の電力不足、海運市況に影響か!?中国発 – 北米向け 運賃半額。

どうもこんにちは飯野です。今日は「中国の電力不足で中国発のコンテナ海上運賃が急落」というテーマでお話をしていきたいと思います。 現在 中国発 - 北米向けの海上運賃は過去最高の値上がりを見せています。しかし先週末の中国から北米勢が向けのスポット運賃に大きな変化が現れました。 40footコンテナあたり、USD 15,000 → USD 8,000と約半額の値下がりがあったのです。 2021年10月5日 イーノさんの物流ラジオ 中国における電力不足 理由としては現在 中国で発生している電力不足が影響しているからです。その為、工場の生産に影響が出ることになり、10月1日からの国慶節前に生産を終えることが出来なかった多くの工場が 本船予約をキャンセルしました。 スペースを在庫することが出来ないフォワーダーは投げ売りのような形でスペースを販売したと報じられております。今回の出来事は国慶節という休み前というタイミングもあり、生産量を減らしたことに繋がっているかもしれません。 電力不足問題からマーケットを予測する しかし、今回の原因である中国の電力不足について詳しく知ることによって、今後のマーケットの動きが見えるかもしれません。 中国の消費電力政策、石炭価格、海運への影響についてもう少し詳しくみてみましょう。 中国の消費電力の抑制政策 中国では胡錦濤国家主席の代から、一定の水準までに消費電力を抑制するという政策がありました。しかし2021年8月、中国国家発展改革委員会は2021年上期の目標達成状況を発表したところ、目標からは大きく離れていたのです。 そこで2021年8月末、「中国政府が目標達成に向けて発電量を抑えたのかもしれない」という見立てがあります。これが影響して2021年9月27日までに、中国本土の23社の上場企業が生産停止・減産をしていました。 今回の海上運賃の急落にはこのような背景が影響していると考えられます。 中国の環境対策 また現在の習近平国家主席の環境対策も影響していると考えられます。習氏は2060年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにするという目標を発表しています。 また2022年2月に行われる北京冬季オリンピックも関係しているでしょう。大気汚染を抑制し青空で冬季オリンピックを開催したいという目論見もあると思います。 石炭価格が高騰 現在の中国の主な電力源は石炭です。2020年の中国国内の発電における 石炭火力発電の割合は6−7割と、中国が発電を石炭に依存していることが分かります。 そしてその石炭の価格が今年から高騰していることも電力不足の要因の一つです。 今年9月中旬時点での石炭価格 ・前年同期比:約2倍 ・年初比:約56%の上昇 これにより中国国内で採算が合わない発電所が火力発電を控えており、石炭の仕入れ自体も買い控えています。中国の6つの主要発電所の石炭の在庫は約15日分程度と過去最低水準で、在庫がありません。 電力需要・石炭需要の高騰 コロナウィルスに対するワクチン接種が世界的に進み、世界中で電力需要が回復、石炭需要の高騰も考えられます。 また中国においてはオーストラリアとの関係悪化により、石炭の輸入をインドネシアに変更したことも影響しているかもしれません。 今後の電力不足の影響 そして、中国ではこれから冬に向かいより電力需要が上がります。この中国での電力不足問題が取り上げられるまで、中国発-北米向けの海上運賃高騰は2022年2月の旧正月、またそれ以上に2022年いっぱいまで続くという予測がありました。 しかし電力が不足している状態では、中国の工場は生産能力が落ち、出荷できる量が減ることが考えられます。それにより船会社のスペースには余裕が生まれ海上運賃が下がることに繋がります。 まとめ この中国の電力不足が一過性のものなのか、もしくは長期的に続くのか。またそれにより海運市況にどのように影響していくのか、これからの動向に注目していきます。

リーファーのフリータイムがゼロに!?中国船社が日本向けFree Timeを変更。 | 物流ニュース・物流ラジオ

リーファーのフリータイムがゼロに!?中国船社が日本向けFree Timeを変更。

どうもこんにちは飯野です。 今日のテーマは「中国の船会社がコンテナの管理を厳格化、フリータイムを変更」というニュースがあったので、それについてお話をしていきたいと思います。 ご存知の通り、現在は世界的なコンテナ不足でサプライチェーンが混乱しています。その要因もあり中国の船会社が10月1日から日本でのフリータイムの算出方法を変更しました(ドライコンテナ)。 更にリーファーコンテナのフリータイムを廃止しました。 2021年10月4日 イーノさんの物流ラジオ 従来のフリータイムの算出方法 フリータイム算出には2つのポイントがあります。 1. 起算日 2. 営業日 or カレンダー日 フリータイムの起算日は、船の入港日かターミナルへの搬入日なのか。これらは各船会社によって異なります。 そして今回、中国船社で変更になったのはフリータイムを営業日→カレンダー日(土日含む)にしたことです。 土日が大きく影響する 従来は営業日(月〜金)のみをフリータイムとしてカウントしており、土日はフリータイムを使いませんでした。しかしカレンダー日になることで土日もフリータイムに含めることから、実質フリータイムの短縮となったのです。 土日は税関や通関業者もお休みで通関をすることが出来ません。しかし、フリータイムはカウントされてしまうので、金曜日にフリータイムが切れたら自動的に土日のデマレージが確定することになります。 リーファーのフリータイムを廃止 そして今回の大きな変更ポイントは、リーファーのフリータイムを廃止してしまったことです。通常リーファーコンテナのフリータイムは3日ほどありました。 しかし、今回の変更により コンテナがターミナルに搬入された時からデマレージ(超過保管料金)が発生してしまうことになります。 ・SITCのデマレージ:JPY 5,000/20’&40’ (1-4days) ・シノトランスのデマレージ:JPY 5,000/20’&40’ (1-4days) 他法令が関係する通関 リーファーは主に食品を運んでいることが多いです。その為に食品衛生法や検疫などで 通常貨物の通関よりも、多くの通関プロセスが発生します。 それにより、元々フリータイム内に通関を通すことが難しかったのに、フリータイムがゼロとなればデマレージの金額も上がり輸入者の負担は更に大きくなります。 中国船社の日本向けフリータイムの改訂の理由を考察 なぜ中国船社は日本向けのフリータイムを今回 改訂することにしたのでしょうか? 考えられるのは ・コンテナの回転率を上げたい ・日本にコンテナを送りたくない の2点かと思います。 コンテナの回転率を上げたい コンテナ不足が発生している現在、船会社はコンテナを出来るだけ早く回収し、次の航海に使用したいと考えます。 フリータイムが長いと港でコンテナが滞留してしまうので、それを早く回収するたにフリータイムを今回のように実質短く、または廃止をしてしまって対応することにしたのでしょう。 日本にコンテナを送りたくない SITCを例にあげますと、タイにおいてはリーファーのフリータイムが引き続き3日間ありました。今回は日本向けのみ廃止をしたことになります。 日本向けのフリータイムを廃止(リーファー)することで、荷主は別の船会社の使用を検討します。そうなるとSITCなど中国船社はより北米向けなどのロングホールにコンテナを使うことが出来ます。 低価格の日本市場 日本では商習慣的に荷主の力が強く、海上運賃が長期にわたり低水準でした。 船会社が運賃を提示しても大手荷主は大量Bookingを理由に低い価格で取引を決めます。船会社はスペースを在庫することは出来ませんので、空のスペースで運ぶのであれば低価格でも良いから取引を優先してきました。 しかし 現在では、船会社としてはそのような安いマーケットにコンテナを送るより、高い価格で売れる他のマーケットにコンテナを送る方が高い利益が獲得出来るので、日本の優先順位を落としたと考えられます。 まとめ 今回の中国船社のフリータイムの改訂により、荷主は特にリーファーコンテナで日本向けの輸送を、フリータイムを3日提供している ONEやMaersk、CMAなど中国船社以外を使用することになるでしょう。 それに伴い、これらの船会社のスペースが逼迫され 海上運賃の値上がりにつながります。今回のニュースは、実務者として影響の大きいニュースでした。

2021年 北米の年末商戦が加熱!サプライチェーンの人件費高騰、ロボット導入へ。 | 貿易実務の基本

2021年 北米の年末商戦が加熱!サプライチェーンの人件費高騰、ロボット導入へ。

どうもこんにちは飯野です。 本日は「北米の倉庫、サプライチェーンで人件費が高騰、ロボットの導入実施」というテーマでお話をしていきたいと思います。 北米のコロナからの経済回復に伴い、今年の年末のクリスマス商戦が加熱することが見込まれています。 今年は実店舗だけでなくオンラインショッピングでの需要も高く、これらのサプライチェーンに対応する人件費の高騰が各企業を悩ませています。 2021年9月30日 イーノさんの物流ラジオ 倉庫作業員の人件費の高騰 北米の倉庫労働者の賃金は、ここ数年 時給13ドル〜15ドルの間で推移していました。しかし現在では時給19ドルにまで跳ね上がっているのです。 大手企業の倉庫作業員の時給例: ・アマゾン:22ドル(初任給) ・ウォルマート:20.37ドル(平均時給) 更に上記の会社では従業員の契約時にボーナスや、大学の学費補助などの条件を提示して、来るホリデーシーズンに向けて何十万人もの労働者を確保しようとしています。 採用コストも高騰している 人件費だけでなく、企業側の採用コストも上がっています。ある物流会社では人材採用の為に広告をSNS、ビルボード、就職フェアなどに使い、なんと2倍ものコストがかかったとのことです。 そしてフェデックスは2021年6−8月期に7%の減益を出したというニュースがありました。売上は上がっている一方で、利益が減ったのは年末の配送量増加に対応する為の、人材確保が大きく影響しているからです。 同社では直近の四半期に4億5,000万ドルのコストを追加し、年末の配送量増加に向けて9万人の雇用を目指しているとのことです。 ロボットを導入し今後のSCM(Supply Chain Management)は変わっていく このように高まる人件費に対応して各サプライチェーンの企業では倉庫のロボットを導入しています。DHLもその一社で数百台の作業ロボットを追加しました。 このサプライチェーンをサポートするロボットの需要は今後も上昇していくと個人的には思います。 これはアメリカだけの話ではありません。倉庫ロボットの出来る仕事内容も更に増えていき、サプライチェーンにおいて今回のような人材確保問題が減少していくことになるでしょう。

2023年以降の海上運賃水準を予想!脱炭素の新規制からの考察。 | 物流ニュース・物流ラジオ

2023年以降の海上運賃水準を予想!脱炭素の新規制からの考察。

どうもこんにちは飯野です。 今日は、「船舶のCO2が即時見える化に、5ランクで評価」というニュースがあったので、そこから派生するマーケットの動きの予想をお話ししていきます。 2021年10月1日 イーノさんの物流ラジオ 船舶のCO2がオンタイムで見える化に 気象情報大手のウェザーニューズが船舶向けCO2排出量監視サービス、CIM(カーボン・インテンシティ・モニタリング)というサービスをバージョンアップしました。 まずこれが何かというと、船舶のCO2の排出量をリアルタイムで見えるようにして、航海終了時にはCO2の排出量だけでなく、燃料消費量や航海距離から環境性能を5ランクで評価出来るものです。 脱炭素の新規制 このツールは2023年にIMO(国際海事機関)が導入する「燃料実績格付け制度」という規制に沿ったものです。航海の燃料実績(CO2排出量)をA-Eの5ランクで評価します。 もし特定の船舶がEまたは3年連続D評価を受けてしまうと、船のオペレーターやオーナーは翌年度に改善計画を提出する義務があるとのことです。 2023年 LNG船舶の竣工ラッシュが始まる 現在多くの船が製造されていて、LNG燃料をベースにした船舶は2023年の竣工予定のものが多いです。新しい船は規制をクリア出来るかとは思いますが、これまで使用してきた重油ベースで動く船はどうなるのか? 新しい規制でどのような評価となるかが分かりませんが、船会社は船腹量をコントロール出来ることは確かです。その為に過去のスエズブームの時のような船舶の作りすぎによる供給過多、市場価格の暴落には繋がらないと思います。 海運市況はどのように変わるのか? 現在の海上運賃は高すぎるとは思いますが、コロナ前の市場では海上運賃は安すぎました。 現在のマーケットの流れを見ても2022年はまだ運賃は高い水準だと思います。また今回ご説明したように2023年以降は新しい規制により船腹の供給コントロールから運賃は下がらない可能性が高いでしょう。 まとめ このように国際物流においては規制は随時新しくなります。これらの情報を理解しておくと市場の大まかな流れも予想できるので、イーノさんの物流ラジオのチャンネル登録をよろしくお願いします。

フォワーダーの経営について!重要ポイントを解説 | 物流ニュース・物流ラジオ

フォワーダーの経営について!重要ポイントを解説

どうもこんにちは飯野です。本日のテーマはフォワーダーの経営についてです。 私がタイでフォワーダーの会社を経営して5年になります。その中で気づいたことや感じたことをお話ししていきたいと思います。 弊社は海上輸送を強みとして活動しているフォワーダーなので、主に海運に絡めてのお話になりますがご了承下さい。 2021年9月29日 イーノさんの物流ラジオ キャッシュがとにかく必要 海上輸送をする時に、フォワーダーは船会社に先に海上運賃などの代金を支払わなければいけません。船会社とフォワーダーの関係にもよりますが、一般的には船社からB/Lを入手するタイミングで支払います。 そして顧客から代金を回収するのが約1ヶ月後です。例えば、昨今ではタイから北米ニューヨークまでの海上運賃はUSD 10,000/40’以上です。これが1 shipmentで10本ものコンテナであればUSD 100,000(1,000万円)以上の金額になります。 この現金がないと船会社からスペースを得ることができず、顧客へのサービス提供が不可になります。 仕入れの仕事がとにかく重要 フォワーダーは船会社のコンテナやスペースを借りてサービスを提供する仕事です。船会社から運賃を仕入れる時に、その運賃自体が高いと、自動的に顧客への売値も高くなってしまいます。 運賃が高すぎると全く売れないことはありませんが、かなり売りにくいです。 また船会社からスペースがもらえないと、そもそもの売り物がありません。現在ではコロナの影響によるスペース不足が問題になっているのですが、仕入れが弱いとスペースを確保することが出来ないのです。 改めてですが、仕入れが凄く重要な商売だと感じています。 人材の採用と定着 私はタイで経営しています。日本では転職が最近になって活発になってきたと思いますが、タイにおいては転職の頻度は日本に比べてはるかに高いという印象です。 またフォワーダーという仕事においては、他社であっても仕事内容は大きく変わりません。その為 より条件の良い会社があれば転職するというケースも少なくありません。 人材の新陳代謝が高いことは大きな企業であれば良いことだと思います。しかし起業後数年の間に社員が定着しないと、社長自ら人材採用の活動にかなりの時間を取られてしまいます。 最初から高い給料も提示することも難しく、私個人的にはこの人材採用についてかなり頭を悩ましてきました。 現地のパートナー 日本人である私がタイで会社を経営するには、現地に心強いパートナーが必要です。その面では私のケースでは船会社出身のタイ人パートナーと親会社のタイ人社長がサポートをしてくれました。 上述したように、仕入れに対しての強みを発揮することが出来き、私は営業とマーケティングに集中することが出来たのも5年間の黒字経営の要因になっていると思います。 日本人の経営者として大切だと思うのは、ローカルの言語を話せること。弊社では英語を流暢に話せるスタッフは少数です。 私がスタッフに話しかける時のほとんどはタイ語ですし(下手ですが)、より大切なことを伝えるにはパートナーを通じてタイ語で伝えます。これは小さな会社の社長としての努力かなとも思います。 物流業は仕事が安定している そして最後に。現在はコロナによる経済への影響が世界的に問題になっています。そのような中においても国際物流という業界は、インフラとして仕事が止まることはありません。 昨今では大手の船会社やフォワーダーが大きな利益を上げているとニュースで報じられますが、乱れている時ほどこの業界は活性化するようです。 まとめ 私が起業した5年前は運賃の低価格が慢性的にありましたが、それでも仕入れが強ければ顧客にメリットを提案して収益をあげることが出来ました。 競争は激しいのですが、このように国際物流業は世界のインフラとして今後も必要とされ続けると思います。

デジタル化に待ったなし!デジタル・フォワーダーになるべき理由とは。 | 物流ニュース・物流ラジオ

デジタル化に待ったなし!デジタル・フォワーダーになるべき理由とは。

今日も飯野さんの物流ラジオを始めていきたいと思います。 今日のテーマはデジタルフォワーダーについてです。 このフォワーダーのデジタル化ですけれども、人によっては まだまだ懐疑的な意見があるかもしれません。しかしこのデジタル化は今後スタンダードになっていくと私は思います。 2021年9月28日 イーノさんの物流ラジオ もはやベンチャーではない デジタルフォワーダーは、まだベンチャーという感じがするかもしれませんよね。ですが大手フォワーダーもデジタル化はちゃんと進めているんです。 日本では日通や郵船ロジスティクス。欧米ではキューネ・アンド・ナーゲル、Marskの子会社のフォワーダーのDAMCOが独自のITプラットフォームを開発して導入をしています。 他業種のスケジュール予約サービス 実際に私自身もこのデジタル化の波を感じ取り2019年の末から準備をして、グループ会社に提案をしました。しかし、残念ながら開発や導入にはまだ至っていません。 昨今では個人の旅行の場合、Booking.com、Agoda、Expediaなどを使っている方も多いのではないでしょうか。他業界では旅行代理店を通すより、便利なアプリ・サービスがあるわけです。 このようなスケジュールの予約について、特に貨物便のような定期的な船・飛行機の予約には、デジタルプラットフォームが使われると考えるのが一般的かと私個人的には思います。 成長期に入るフォワーダーのデジタル化 新しいサービスなどのプロダクトサイクルでは、導入期、成長期、成熟期、衰退期というものがあります。 導入期ではベンチャー企業などが積極的に新しいことにチャレンジをしていき、その後に積極的な大企業が参入してきます。 その後に一般の中小企業や大手企業も参入して市場は成長・成熟をしていくわけですが、フォワーダーのデジタル化はこれからが成長期ではないでしょうか。 導入のタイミングを見極める とはいえタイミングというのは重要です。導入期においては新しい商品・サービスは市場に認知されていません。その認知を広める活動に時間とお金がかかります。 多くのベンチャー企業が投資家から投資を募って、人とお金を投入してスケールアップするのが、その導入期です。 一方で大手企業は資金と人材に余裕があります。フォワーダーのデジタル化においては、その大手企業が既に開発・導入をしているというのは、市場が出来あがっていく流れですよね。 まとめ・動画紹介 デジタルフォワーダーに関する詳しい情報と私の考察をまとめた動画がこちらになりますので、是非 ご確認いただければと思います。 【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、中小企業の今後の戦い方。

eB/L(電子船荷証券)について解説。ブロックチェーンで海運の形が変わる。 | 物流ニュース・物流ラジオ

eB/L(電子船荷証券)について解説。ブロックチェーンで海運の形が変わる。

どうもこんにちは飯野です。 今日のテーマはeB/L(電子船荷証券)というテーマでお話をしていきたいと思います。 9月の中旬にドイツ船会社のHapag LloydがeB/Lの提供を開始するというニュースがありました。 これまでB/Lは長らく紙ベースで取引されるものでしたが、それの電子化が始まっていくということでeB/Lについて調べてみました。 2021年9月27日 イーノさんの物流ラジオ B/Lの電子化の流れ eB/Lはブロックチェーンの技術を使い 書き換えが出来ないデータとして電子化をするのですが、eB/Lの概念自体は1990年代からありました。 しかし2021年9月になって船会社が正式に開始したというくらい導入に時間がかかっていました。 航空輸送ではeAWBを導入 一方で航空輸送に使われるAir Waybillの電子化、eAWBの導入は2010年からIATAによって開始され、世界中の空港、航空会社、フォワーダーでの運用はかなり浸透して来ました。 航空貨物の場合は輸送時間が圧倒的に船より早いので、電子化はスピード配送の為に重要でした。 航空輸送ではAir WaybillというWaybillで、有価証券ではなく運送状という位置付けであったのも理由で、電子化の浸透は早かったのかもしれません。 eB/Lの導入に時間がかかった理由 では海上輸送の船荷証券は、なぜこのように導入に時間がかかったのでしょうか? まずは技術の問題でブロックチェーンという技術がなかったのと、有価証券として原本が重要視されていたことが理由だと思います。 船舶スピードが速くなり近海では本船の出港後2−3日で到着するケースもあります。しかし、それに対してはサレンダーB/LやSea Waybillという形で対応出来ていました。 紙のB/Lを使用するリスク とはいえ紙ベースのB/Lでは、紛失リスクと発行の遅れによるリスクはずっとありました。 B/L = 有価証券 上述したようにB/Lは有価証券です。例えば1,000万円の貨物が入ったコンテナを運ぶ際に発行されたB/Lは、別の国の港で そのコンテナを引き取る為に必要な書類です。 そういう意味で そのB/Lは1,000万円の価値があります。もし、そのB/Lが紛失し 第三者の手に渡ってしまったら大問題になるというのは理解出来ると思います。 B/L発行の遅れの問題 またB/Lの発行の遅れは、貨物が予定通りに取り出せないだけでなく、原産地証明の発行にも影響することになります。 原産地証明はB/Lがないと発行出来ません。原産地証明がないと関税の優遇が受けられなくなり、製品の価格競争力に影響してしまいます。 コロナが進めたB/Lの電子化の流れ しかし世界的に蔓延しているコロナウィルスの影響で、B/Lの電子化にスポットが当たるようになりました。 これまで紙ベースで発行されていたB/Lが、コロナ感染の影響で船は出港しているけれども、B/Lが発行されないという問題が発生したからです。 B/Lは人によって発行されます。B/L担当者や船会社にコロナ感染があると紙ベースの書類は発行出来なくなるのです。 法規制と関係各社の対応 このように紙のB/LからeB/Lへの移行の流れは始まってきましたが、本格的な浸透には法規制の整備と関係各社の対応も必要となります。 日本では2021年6月1日に内閣府の規制改革推進会議で「船荷証券の電子化について」の答申がありました。法規制の整備は今後も進んでいくと思います。他国でも進んでいくでしょう。 銀行のL/C そしてeB/Lになることで、銀行や保険会社はそれに合わせた対応が必要になります。特に銀行はB/Lの原本を買い取ってL/Cを発行していました。 今後 eB/Lになることで、L/Cをどのように発行するのか、またL/Cの新しい形のものが出来るかもしれません。 まとめ 2020年代は海運業界というのは大きく変わっていくのかなと個人的には思います。現在、世界的なテーマである脱炭素、上述した電子化、その他 港の自動化も大きなテーマです。 引き続きeB/Lなどの情報をアップデートしていきたいと思います。

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、 中小企業の今後の戦い方 | 貿易実務の基本

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、 中小企業の今後の戦い方

どうもこんにちは飯野です。 今回は、デジタルフォワーダーについて私の考察も含めて解説をしていきたいと思います。 デジタルフォワーダーとは まず、デジタルフォワーダーという言葉に馴染みのない方へ説明したいと思います。 デジタルフォワーダーとは、独自のITプラットフォーム(PF)を使い、見積もりの即時提出、荷主からのBooking、貨物のトラッキングを一元管理しているフォワーダーのことです。 欧米ではアメリカのFlexport, ドイツのsennder、日本ではShippioという会社が有名です。 従来のフォワーダーとの違い まず従来のフォワーダーとデジタルフォワーダーとの違いを見てみましょう。 従来のフォワーダー ・見積もり:都度確認、メールや見積書にて提出 ・Booking:メールでBookingを受付 ・トラッキング:営業やカスタマーサービスが調べて連絡 デジタルフォワーダー ・見積もり:PFで表示 ・Booking:PFで受付 ・トラッキング:PFで表示 ここから分かるように、デジタルフォワーダーは情報をプラットフォーム(PF)で一元管理し、簡単に必要な情報にアクセス出来るようになっています。 見積もり、Booking、トラッキングは現時点での主要な機能ですが、今後は更にサービスが広がっていくと思います。 今後予想されるサービス 一部、私の勝手な未来予測を含んでいますが、これからの機能は以下のものが考えられます。 ・B/Lの間違いチェック*S.I、INV、PKLからAIで間違い探し ・eB/L(制度改正が必要) ・本船の残りスペースの表示 ・各港の混雑状況の表示(沖待ち日数) ・写真をアップロードし、HS Codeの表示 ・HS Codeを入力して必要書類(他法令)の表示 ・HS Codeを入力して配送可能(主にDG)か事前確認 ・輸入関税・消費税金額の自動算出 ・Arrival Noticeの電子送付 ・D/OのQRコード化 ・輸入申告のオンタイム状況の表示 ・フリータイム切れまでのカウントダウン ・デマレージ費用のオンタイム表示 ・配送先の住所を入力してトラック費用の算出 AIやブロックチェーンなどの技術を使えば、技術的には全て可能な内容だと思います。 なぜ物流業界でデジタル化が進まなかったのか? 物流のお仕事に従事されている方なら、上記のような便利なツールや機能があったらいいと思いますよね。 では、なぜ他の業種では既に使われている技術なのに、物流業界ではデジタル化が進まなかったのでしょうか。 これには以下の2つの主要な問題があります。 ・物流業界の人たちの考えが古い(コンサバ) ・業務プロセスが多く、関係各社が分かれている 前者のコンサバは時間が解決してくれると信じていますが、後者の業務プロセスが関係各社に分かれている問題が厄介です。 フォワーダー、特に弊社のような中小企業は、基本的にはアセット(自社の設備)を持たないケースが多いです。 なので、船・飛行機を含め、通関、トラック、倉庫などを複数の業者に外注しているのが現実です。 現在ではそれぞれの業者・会社が自社のシステムを導入しています。システムがないと膨大な物流手配の情報は取り扱えないのですが、このシステムが足枷となっているんです。 1件の輸送をする為に、関係各社のシステムが違うので、フォワーダーのプラットフォームと各社のシステムとの連携が技術的、権利的に難しいんですね。 特に後者のシステムの権利に関する問題が大変だと思ってます。 システム業者からしたら、「なんでそんなプラットフォームと連携しないといけないの?」となりますよね。既存のシステムと簡易的に繋げられる技術が必要だと思います。 現存のデジタルフォワーダーの管理方法 このように各社のシステムが違うのに、現存のデジタルフォワーダーはプラットフォームをどのように一元管理をしているのでしょうか? 最先端のプラットフォームを作っている会社の場合は、上手くシステム化・仕組み化されていると思います。しかし、表向きはIT開発をしているけれども、結局 運用自体は人がやる仕組みになっている場合もあります。 現在、船会社はBookingを各自社Webサイトで受け付けていて、トラック会社はメール(またはFAX)でのBooking受付けているケースが殆どです。 なので 1. フォワーダーのプラットフォームでBookingを受ける 2. それを自動で各船会社・航空会社のWebサイトへBookingする 3. また自動でトラック会社へメールでBookingする このようなシステムは技術的には出来なくないとは思いますが、少額投資しか出来ない会社の場合は、結局はマンパワーでBookingやキャンセル手配をすることになってしまいます。 私自身が大手フォワーダーの内部にいるわけではないので勝手な想像になってしまいますが、最近プラットフォームを開発した 日通や郵船ロジスティクスなどでは、トップが「デジタル化するぞ!」と言ったら、関連会社のシステムも合わせられるのかもしれません。 大手は自社でアセットも持っているので、それに合わせたプラットフォームも開発がしやすいと思います。 そういう意味で、大手企業ほどコンサバな印象が強いですが、やるときはパワーを使って変えられるのが強みです。 デジタルフォワーダーが一般化したら中小企業はどうなる? そしてデジタルフォワーダーというスタートアップが出て来て、いきなり市場が取れる程 この国際物流業界は甘くありません。 確かにプラットフォームは便利ですし、これからトレンドがきて、今後は一般化していくと思います。 しかし貨物を海外に運ぶというフォワーダーの仕事においての前提条件は、貨物を運べるスペースをしっかりと持っていることです。 取り扱いスペースがなければ、見積もり・Booking・トラッキングをいくら便利にしても、そもそも運べないですから。 現在はコロナによるコンテナ不足、本船のスペース不足により、海上運賃が過去最高に高騰しています。特にアジアからアメリカやヨーロッパ向けなどは、貨物を送りたくても送れない状況が続いています。 このコンテナ不足、スペース不足が解消するのは、現状からすると来年まで続くという見方が強まって来ました。 また2022年7月1日にアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が失効します。これにより北米西海岸で物流が滞り、コンテナの目詰まりが発生するでしょう。 このように大きく乱れている海運市況やデジタル化が進む中で、中小フォワーダーはこれからどのなっていくのか。 従来のアナログで海上輸送・航空輸送”のみ”を対応するフォワーダー1.0は、デジタル化が進んでいけば淘汰されると思います。 すぐにではないでしょうが、全ての大手フォワーダーがデジタル化を完了させて攻め込んでくると中小のアナログフォワーダーは勝てません。 テクノロジー化が進むにつれてコストは下がります。更に大手は強い購買力でスペースが取れますし、物流管理をデジタル化することで人件費も下げられます。 このような話を聞くと、自社でシステム開発をしなければいけない!莫大なコストがかかる!と心配になる方もいるかもしれません。 ご安心ください。フォワーダー用のプラットフォームを開発してくれる会社もあり、今後はサブスク(月額課金)でプラットフォームを使わせてくれる会社も増えてくるのではないかと個人的に考えています。 デジタル化した物流業界での生き残り デジタル化が進むことで簡単に価格が比較できるようになり、そこで選ばれるのが最も安く貨物を運んでくれる会社となるでしょう。 または適度な価格でワンストップ・サービスしてくれる会社です。 ここが重要です。国際物流は海上・航空輸送だけではありません。その前後の陸送、通関、梱包など、また貨物によって運び方も変える必要があったりします。 しかしトータルロジスティクス(ワンストップ)だけでは生き残ることはできません。大手企業ももちろんトータルでサービスを提供してきます。 ここでポイントになってくるのが 海外の支店・代理店の存在です。 国際物流は2国間で貨物輸送手配をします。大手企業は海外に自社の支店を持っていることが多いですが、それが足枷になるケースもあります。 海外に支店があることと、海外の支店のサービスが良いことは全く別の話です。 これは大手フォワーダーに勤めていた人から聞いた話ですが、海外の支店のサービスが悪かろうと、そこを使わなければいけない縛りがあるそうです。 中小フォワーダーの場合は各地に支店がなく、ローカルのフォワーダーと代理店契約をしている場合がほとんどです。 なので、そのなかで良い代理店を選べるというのが逆に強みだったりします。 やっとこの国際物流業界でも空気が変わって来ました。技術的には出来そうなのに 構造上の問題でなかなか進まなかったデジタル化。 これがDXというトレンドワードによって、このコンサバ業界が動き始めたのです。 ここで変われない会社は中長期的に間違いなく淘汰されるでしょう。 弊社グループもまだ変われていないので、個人的にこのまま行くとヤバいと感じていますが、大切なのは変わろうとする意思と行動です。 もしデジタル化に時間がかかったとしても、中小フォワーダーと関連業者による強い連携があれば生き残れると思います。 もしタイの物流に関して弊社と協力可能な会社様がいらっしゃれば、お問い合わせ頂けますと嬉しいです。 今回の内容は以上になります。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。