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貿易コラム

スエズ運河で離礁!まだ問題は解決されず、運賃の値上げにつながるか? | 物流ニュース・物流ラジオ

スエズ運河で離礁!まだ問題は解決されず、運賃の値上げにつながるか?

3月29日にスエズ運河で座礁していたエバーグリーンの船首が、離礁したという喜ばしいニュースが入って来ました。 私としては26日に動画の台本を作成して、29日の朝に動画をリリースした後くらいにこのニュースが飛び込んで来たので、内心は発信をやめようと迷ったという裏話があります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/2nd-suez-boom/?lang=ja" target="_blank"] とはいえ、離礁したからといってすぐに輸送再開!となるかというと、そうではありません。動画でも解説をした通り、現在 約300隻以上の船がスエズ運河周辺で待機をしています。 また今朝(3月30日)のニュースで、一部の船会社が南アフリカの喜望峰回りを決定したとの進捗がありました。 なぜ離礁したのに、問題は解決されないのでしょうか? 物流の目詰まりはすぐに解消されない スエズ運河は通常時で約50隻/日の船が運航する運河です。またEver Givenは離礁したとはいえ、完全に運河の通り道を開けたわけではありません。まだ作業は残っています。 小さい船は通れるかもしれませんが、大きなコンテナ船が通れるようになるかは まだ不明です。 また約300隻以上の船が待機しているのだから、この順番待ちをしなければいけないわけです。 だからマースクやCMA CGMといった船会社は追加で10日くらいかかっても、確実に見えているスケジュールを優先しました。 まだ目が離せない問題 座礁したのが23日で、離礁したのが30日。まだ完全に解消をしていない状態で既に7日間が経過しています。 一部の船は追加で10日くらいをかけた喜望峰回りを選択しました。この船会社の場合は既に2週間以上スケジュールが遅れることになります。 スケジュールが遅れるとどうなるのか? ご存知の通り、現在 コンテナ不足で貨物が出したくても予定通りに出しにくい状態が続いています。このスエズ運河の問題がなかったら、使えたはずのコンテナがまだ海の上にある状態なので使えません。 となると、輸出側でまたコンテナが足りない!という状態になります。 そして上述したような目詰まりが輸出地でも発生することになります。輸出したいけれども、輸出が出来ない会社が増えるのです。 その間の在庫は溜まっていき(もちろん生産調整をするでしょうが)、出したい量と出せる量のバランスが取れておらず、ここでも目詰まり・滞留が発生することになります。 値上げのタイミングについて 実際に値上げがあるのかどうかは、まだ分かりません。船会社のヘッドクオーター次第という感じです。 ですが参考までにですが、弊社ではコンテナ不足で値上がりが激しかった昨年の11月以降、船会社の価格改定は2週間に一回ありました。 ヘッドクオーターのプライシングチームが決めて、各国の営業マンに値上げの指令がいくのでしょうが、私たちフォワダーにももちろん影響します。 上述したように待機している船で1週間以上、喜望峰を回る船会社にとったら2週間以上のスケジュールの遅れがあるわけです。 この遅れ分のコンテナ不足分の値上げは、どこかで発生するかと私個人的に思っております。 まとめ 3月29日に船が離礁したという喜ばしいニュースがあったのですが、まだ完全に復旧したという状態ではありません。物流での目詰まりが解消されるのは時間がかかるものです。 そして一部の船会社は喜望峰回りを選択しました。これによりこの船会社のスケジュールの遅れは予定より2週間以上となります。 これは輸出側でのコンテナ確保にももちろん影響します。海上運賃の値上げにもつながる可能性は十分にあるので、まだまだこの問題は目が離せません。

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方 | 輸送・ロジスティクス

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方を動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は20フィートコンテナと40フィートコンテナの違い、そしてこれらのコンテナを選ぶポイントについてお話をしていきたいと思います。 今回の話は分かりやすくする為に、一般のドライコンテナで、40フィートはハイキューブではないという前提でお話をします。 また数字も覚えやすい様に、ざっくりした数字を使っております。 他のコンテナの種類の詳細については、概要欄に関連動画を貼っておきますので是非ご確認ください。 ではいってみましょう! 20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方 外国に沢山の貨物を輸送する一般的な方法は20フィートや40フィートのコンテナを使った海上輸送です。 荷主は物量などや料金などを考えて、これらのコンテナの内からより適切な方を選びます。 しかし実際にコンテナを選ぼうとすると慣れていない人にとったらどちらのコンテナが適切なのか分からないというケースも多いのではないでしょうか。 輸出時に適切なコンテナを選ぶことは、輸入者側に対しても大切なことです。 例えば、既に20フィートを使用する物量に達しているにも関わらず、損益分岐点を理解せずに 無理にLCLで運ぶと輸入国側で大きなCFSチャージが発生するため、輸入者からのクレームにつながりやすくなります。 やはり、物量を考えた上で適切な輸送形態を選ぶことが重要です。 コンテナサイズを選ぶ際の2つのポイント 実際にこのような問題が20フィートや40フィートコンテナでもあります。 20フィートと40フィートにも選ぶべきポイントがあるのです。 それが次の2つです。 ・容積と積載可能重量 ・輸入国側の費用 それぞれを詳しくみてみましょう。 コンテナの容積と積載可能重量 まずコンテナの容積と積載可能重量について説明します。 20フィートコンテナと40フィートコンテナの容積と積載可能重量は、ざっくりですがこのようになります。 20’フィートコンテナ 容積:幅 2.3m x 高さ: 2.3m x 長さ 6m 積載可能重量:約25ton 40’フィートコンテナ 容積:幅 2.3m x 高さ: 2.3m x 長さ 12m 積載可能重量:約25ton これは覚えやすいように「ざっくりした数字」なのですが、積載可能重量は各国の道路交通法によって少し異なります。 実際に貨物を送るときは事前に向け地の道路交通法をご確認下さい。 さて次の2つの特徴があると分かります。 ・容積は 40フィートが2倍 ・積載可能重量は同じ 20フィートと40フィートを比べた場合、長さが倍になるため積載可能重量も倍になると考えられがちです。 しかし実は積載可能重量はどちらも同じであり容積のみが2倍違うだけです。 最大重量は同じであるため、40フィートコンテナは容積が大きいものを運ぶときに向いています。 「容積」と「重量」について ここで物流の「容積」と「重量」について少し補足をさせて下さい。 貨物を送るときに重要なポイントの一つが容積と重量なのです。 ・軽くてかさばるもの ・重いけど小さなもの これらが物流においての容積と重量を考慮しなければいけない貨物です。 極端な例ですが綿(わた)を運ぼうとすると、重量は軽いけれども沢山のスペースを使いますよね。 また筋トレに使う様な鉄アレイやバーベルを運ぼうとすると、重量は重いけれどもそれほどスペースは不要ですよね。 一般的な例でいうとプラスチック製の自動車のパーツは軽くてかさばります。 一方でお米や水はかさばらないけれども重たいです。 これをコンテナの特徴に合わせて考えると、40フィートコンテナはプラスチック製の自動車パーツのように 軽くて容積が大きいものを運ぶのに向いています。 一方でかさばらないけれども重たいものは20フィートで運ぶことになります。 例えば鉄のロールなどは かさばらないけれどもすごく重いです。 もしこのような鉄の塊を40フィートコンテナにパンパンに積み込んでしまうと、積載重量が25トンを軽く超えてしまいます。 輸入国側の費用 次に輸入国側の費用についてです。 コンテナが輸入国に到着するとコンテナターミナルという所にコンテナが下され、通関が終わり貨物が引き取られるまでそこで保管します。 船会社の請求項目にTHC(Terminal Handling Charge)というものがあるのですが、これが20フィートと40フィートで異なります。 たとえば日本とタイの場合例ですがこのようになります。 THC: JPY 33,000/20’, JPY 49,000/40’ THC: THB 2,700/20’. THB 4,200/40’ 40フィートだからといって20フィートの2倍にはなりませんが、約1.5倍の違いです。結構大きな違いですよね。 また港からコンテナで配送する場合はドレーという専用トラックを使います。 では仮に輸送距離が同じ場合で20フィートと40フィートを輸送する場合、やはり長さが倍ですから料金も倍になるのでしょうか? 倍にはなりませんが20フィートコンテナより、40フィートコンテナを輸送する費用の方が高くなります。 その価格差ですが日本だと1.5倍くらい。 タイだと業者や場所によって異なりますが、40フィートの方が20フィートより20%くらい高い印象です。 やはり、物量に対する適切なコンテナを選ぶことが重要だと思います。 まとめ それでは今回の話をまとめましょう。 20フィートコンテナと40フィートコンテナのざっくりした違いは容積です。 40フィートは20フィートの2倍になります。 そして積載可能重量は25tonで同じになります。 この特徴から ・軽くてかさばる物は40フィートコンテナの方が向いていて ・重たくてからばらない物は20フィートコンテナの方が向いています。 また20フィートと40フィートで輸入国側で発生する費用の金額が違います。 それは主にTHCとドレーの費用です。 貨物を送るときはこれらの費用も把握して、貨物の容積と重量から、20フィートか40フィートコンテナの適切な方を選びましょう。 今回のお話は以上になります。どうもありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

なぜスエズ運河で巨大コンテナ船が座礁したのか?国際物流への影響も考える。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜスエズ運河で巨大コンテナ船が座礁したのか?国際物流への影響も考える。

どうもこんにちは。飯野です。 今回は 現在世界的に話題になっているスエズ運河の座礁の問題についてお話をしていこうと思います。 YouTubeの動画でも解説をしております。 スエズ運河でコンテナ船が座礁!? 3月23日にエバーグリーンという船会社のEver Givenという名前の船がスエズ運河で座礁をしたというニュースが飛び込んできました。 問題なのは、そのEver Givenという船は全長400mもあってスエズ運河を完全に塞いでしまうほど大きく、他の船が強制的に通行止めを食らっている状態です。 ちなみにですがこの船を所有している会社は正栄汽船という日本の会社です。 スエズ運河ってどんな運河? スエズ運河は地中海と紅海を結ぶ運河で、アジアと欧州を最短距離でつないでいて、世界の貿易の約12%がこの運河を経由しています。 一年で約19,000隻の船、1日で約50隻の船が通行する、国際物流にとっては重要な運河です。 なんで今回、船が座礁したかというと、船に電気系のトラブルがあって、更に強風と砂嵐のために視界が悪化してしまい座礁してしまったとのことです。 船が座礁する場合の多くが運航時のナビゲーションミスが原因だと言われています。スエズ運河は水深が比較的浅い方でして、こういう事故は割と発生しがちな運河です。 実際に今回の座礁が初めてではなく、過去10年に25回の座礁事故がありました。 現在はどのようになっているのか? 現在では突っ込んだ船首の周りの沿岸部分を削ったり、タグボートで押したりして動かそうとしていますが、3月27日時点ではこの船のサルベージ(引き上げ)作業は難航していて、現時点で約300隻の船がスエズ運河周辺で待機をしています。 今回 座礁したコンテナ船はコンテナがほぼ満杯な状態で座礁してしまっています。動かすにはとにかく重たい状態なのです。 もし現在のサルベージ活動がうまくいかないとなると、コンテナを降ろしたり燃料を抜いたりして、軽量化してから動かすことになり、数週間かかるとも言われています。 スエズ運河が使えないとどうなるのか? もし数週間もスエズ運河が使えない状態だと、船は南アフリカの喜望峰を回らなければいけません。 こうなると追加で10日以上の日数がかかるだけでなく、燃料もかなりの量を消費することになるので現在 約300隻の船が待機という選択をとっています。 この座礁の問題がもたらす影響とは? 現状は分かったと。ではこの問題がどのように影響するのでしょうか? 離礁作業がすぐに終われば、影響はそれほど多くはないと思います。しかし、コンテナを積み下ろしたりして、数週間がかかると現在のコンテナ不足に更に影響が出て、海上運賃も上がることになります。 先ほどご説明したように、喜望峰を回ることになると、10日以上の日数がかかるわけです。 この追加の10日間というのがかなり大きくてコンテナの回漕にも時間がかかるし、余計に燃料を使うことにもなるので船会社もそれを補填する形で値上げをしてきます。 過去にスエズブームというのがあった ちなみにですが1956年に第二次中東戦争が勃発してスエズ運河が1年閉鎖されたことがあります。 この時は船が喜望峰回りを強制されることになったり、船の絶対数が足りなくなって、船会社は不定期戦の運賃を2倍にして海運業界は好況を迎えました。 いわゆるスエズブームと呼ばれているものです。 第二次スエズブーム!? 今回の座礁の問題は1年も続くことはないでしょうがもしサルベージに数週間かかるとなるとスポット的な第二次スエズブームが海運業界に訪れるかも知れません。 荷主からしたらたまったものではないので、早い解消を祈るばかりです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/suez-refloat/?lang=ja" target="_blank"]

航空輸送のStraight AWBについて | 輸送・ロジスティクス

航空輸送のStraight AWBについて

航空輸送のStraight AWBについて動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は航空貨物輸送で発行される書類「Air Way Bill」の一種である 「Straight AWB」(ストレート・エアウェイビル)、こちらについて解説をしていきたいと思います。 ストレート・エアウェイビルとは 「Straight AWB」は通称「ストレートB/L」と呼ばれることもあり、送り状のような役割を果たすところは通常のAWBと一緒です。 しかし、使用するケースとその発行方法が通常のAWBと比べ少々特殊です。 それでは詳しく見ていきましょう。 MAWBとHAWB まず、航空貨物運送状=AWBは航空会社やフォワーダーが作成をします。 AWBには大きく分けて2種類のものがあります。 航空会社からフォワーダー等の運送人に対して発行されるのが、MAWB(マスター・エア・ウェイビル)というものです。 そして、フォワーダー等の貨物を取りまとめて輸送する混載業者から荷主へ、HAWB(ハウス・エア・ウェイビル)が発行されます。 航空貨物輸送では大半の場合 1つの貨物手配の案件に対して、MAWBとHAWBが発行されています。 フォワーダーは出来る限り貨物を混載して1つのフライトを予約します。 重量が重いほど割安の航空運賃が適用される仕組みを利用する為です。 ストレート・エアウェイビルの特徴 それに対しフォワーダーが貨物の混載をせずに、航空会社から直接の運送契約としてMAWBのみ発行をするのが Straight AWBです。 該当案件に対し 単独でフライトがBookingされます。 とはいってもフォワーダー経由で航空会社へBooking等をするため、輸出時はフォワーダーが窓口となっているところは変わりません。 しかし 手続きが大きく異なるのはフライト到着後の貨物の輸入に際してです。 貨物が現地の空港到着後は輸入者が空港にて引き取りをします。 つまり貨物のピックアップや輸入手続きを輸入者自身で行う必要があるのです。 輸入時は現地の代理店やフォワーダーを通さないこと、これがStraight AWB使用時の大きな特徴でもあります。 AWBの流れ また、Straight AWBではフォワーダーから輸出者へAWBが送付されますが、輸入者へのAWBは輸出者が直接通知をしなければなりません。 通常は、輸入者へAWBが渡るまでには、 ・フォワーダー(輸出国)⇒フォワーダー(輸入国)⇒輸入者 このようになりますが、輸入国のフォワーダーが仲介しない手続きのため ・フォワーダー(輸出国)⇒輸出者⇒輸入者 といった手順で通知をすることになります。 Straight AWBはフォワーダーにより航空輸出時に貨物が混載されずに、航空運賃が割高となる傾向があります。 更に輸入者にとっては貨物到着後に、自ら手続きをしなければならないという煩雑さがあります。 ストレート・エアウェイビルのメリット しかし、Straight AWBはあまり貨物を輸送しないような向け地や現地の代理店や、フォワーダーがない向け地に対して貨物を航空輸送できるメリットがあります。 ストレート・エアウェイビルの注意点 ここで注意しておきたいのは、Straight AWBで手配の時には輸入者が貨物の受け取りを確実にすることです。 フォワーダーはStraight AWBで手配する旨を輸出者に事前に知らせ、輸出者から輸入者へ到着後のフォローについて説明をしておく必要があります。 そうでなければ空港到着後に貨物が引き取りをされず、長期間放置されるといった問題が発生するケースがあります。 輸入者からも いつものようにフォワーダーが手配すると思っていたと、誤解をされてクレームになりかねません。 フォワーダーから 輸出者・輸入者へ伝達を確実にする必要があるのです。 海上貨物の場合 海上貨物では航空のAWBにあたるものが船荷証券であるB/Lです。 因みに海上貨物輸送でも、航空のStraight AWBと同じような役割を果たすStraight B/Lがあります。 弊社ではこれをダイレクトB/Lや ダイレクトマスターB/Lと呼んでいます。 ダイレクトB/L ダイレクトB/Lでは、海上輸送で船会社へ直接手配を行います。 もしくは 取引のあるフォワーダーにダイレクトB/Lの使用をリクエストします。 ダイレクトB/Lの記載の特徴ですが、荷受人(輸入者)の記載欄に特定の法人や個人の名前を明記します。 notifyとして他通関業者を記載し指定していることもあります。 海上輸送のダイレクトB/Lに関しては詳しく解説している別の動画がありますので、概要欄にリンクを貼っておきます。 まとめ 今回の話をまとめると航空輸送におけるStraight AWBは、 ・航空会社へ直接運送契約を行う。 ・輸入時に、現地のフォワーダーが介入しない。 この2点が重要となります。 Straight AWBの特性は 輸送に関わるフォワーダー・輸出者・輸入者がそれぞれ理解しておく必要があります。 状況によって使い分けが出来るようになった方が、物流手配の選択肢が増えるのでおすすめです。 今回は以上になります。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

タイでフォワーダーとして起業してみた話。物流会社の日本人社長がすべき事とは? | フォワーダーの仕事

タイでフォワーダーとして起業してみた話。物流会社の日本人社長がすべき事とは?

どうもこんにちは、飯野です。 これまでのフォワーダー大学のブログ記事はノウハウ系が多かったのですが、最近は物流の知識やノウハウに関してはYouTubeで解説をしています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/training-lesson/?lang=ja" target="_blank"] ブログの一般的な投稿が止まっていたのもそれが原因で、一般投稿をどうしようかと考えていたのですが、ノウハウではなく私が思ったことをツラツラと書いてみることにしました。 今回のテーマは私がタイで国際物流会社を経営し始めた時に意識をした営業、マーケティング、経営について書いていこうと思います。 タイでフォワーダーを始めた簡単な経緯 私がタイに来たのが2014年の2月。タイに来た当初は現在の親会社にあたるHarpers Sea Freightというタイのローカルのフォワーダーに日本人営業マンとして入社しました。 そこで3年弱の営業を経験してから、現在の自分の会社であるHPS Tradeを設立したのが2016年の8月です。 現在は会社設立をして5期目。起業当初は組織として色々問題もあったんですが(今ももちろんあります)、おかげさまで経営は安定してきました。 では起業してから、これまでの4年はどのような感じだったかをお話ししていきたいと思います。 タイでの物流担当者は誰? タイに日系の製造業や商社業は泰日商工会議所に登録されているだけで約4,000社あります。しかし、ほとんどの会社で物流のオペレーションはタイ人スタッフさんが担当することになります。 日本人が物流を担当するのは本当に大手の企業ですね。もちろん1つ1つの細かい案件を見ておらず全体の監督をする感じです。物流は安全に納期通りに運べることが出来ればコストとして見られます。 そこにコストが高い日本人の担当責任者を置くというのは確かに非合理なので、タイ人スタッフさんが物流を見るのは至って普通かなと思います。 日本人による物流の営業とは? お客のタイ人スタッフさんが物流を対応している現場で、タイにいる日本人の物流営業マンはどのように活動をするのでしょうか?タイ人スタッフさんに日本人が直接アプローチをするのは言語の壁もあり困難です。 私も当初はタイ人に英語で売り込み提案をしに行ったことが何度かありましたが、やっぱりメリットが響きにくいんです。タイ人のお客さんにとっても第二外国語の英語で話されるより、タイ語で説明してもらった方が楽ですから。 同じ原理で、日本人の物流営業マンは主にお客の日本人に連絡をして自社の物流を売り込みます。 お客の日本人も物流を把握していない 物流はタイ人のスタッフさんが見ていることが殆どとご説明しました。なのでお客の日本人の担当者さんは工場全体を見ていたり、営業専門だったりします。 その日本人に物流の提案をしなければいけません。 これって日本で日本人に向けて物流の営業をするよりハードルが少しあがるんですよね。それは日本人のお客さんは現在使っている物流のことをよく知らないケースが多いから。 そこに何とかアポをとって、提案しに行って 見られる所はほぼ100%価格のみです。なので価格競争力がないと新規獲得が難しくなります。 日本で関係がある会社 タイにある日系のフォワーダーでは、日本で既に取引があるということでタイでも同じ会社と取引をするケースがあります。 しかし、弊社のような日本に本社もないフォワーダーはそのコネクションを使えません。当時は電話営業でアポを取り、とにかく製造業の日本人のお客さんに会いに行きました。 お客さんにもよりますが、一応 日本人同士なので飛び込みの電話アポ依頼をしても快諾してくれるところは多かったです。とはいえ起業当初は泥臭い営業が必要だと思います。 徹底したコスト管理 営業訪問して会社説明をしてから、次に見られるのは先程ご説明した価格です。物流価格にメリットがないとトライアルすらしてもらえません。 だから弊社のようなフォワーダーは自社のコストを徹底して下げています。安い売値でも利益が取れるように、会社全体でコスト管理を徹底する。 例えば、日本語が話せるタイ人の通訳を雇っている製造業もありますが、弊社ではそんな無駄な人件費は使えません。また英語が話せる人材もコストは上がりますので、私がタイ語を覚えた方が全体のコストが下がります。 こんな感じで、タイで起業してからは他社の日系フォワーダーに比べると泥臭い営業や経営努力をしている印象があります。 仕入れコストを下げる フォワーダーの仕入れとは海上運賃・航空運賃だけでなく、通関費用、トラック費用、倉庫費用などがあります。海上運賃と航空運賃を見られることが多いので、ここの値段を安くしなければいけません。 これは「卵が先か鶏が先か」理論に近いかもしれませんが、安く仕入れないと他社に勝てません。しかし安く仕入れるためには大量にBookingをする必要があるのです。 なので最初は上述したような自社のコストを下げて、1件あたりの利益が低くなっても生き残れるという状態で経営を続け、その積み重ねで大量に仕入れることが出来ることになります。 まとめ フォワーダーというのは設備を持たない業種なので、比較的簡単に始めることが出来ます。タイでは日本人1人に対してタイ人スタッフを4人雇うルールがあるのですが、多くの中小のフォワーダーが最低人数で経営をしています。 始めるのが簡単なので、競合の数が多い。だから価格競争になりやすいんですね。そんなマーケットで生き残るには徹底した自社のコスト削減が大切なんです。 独立系フォワーダーとして日本人が海外で起業するのは簡単です。でも上手くいくかどうかは別の話で、かなり泥臭いことをしないといけないと思います。

航空輸送の流れについて | 輸送・ロジスティクス

航空輸送の流れについて

航空輸送の流れについて動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は海上輸送と並んで、貨物の輸送手段である「航空輸送」。 こちらの主な流れを解説していきたいと思います。 海上輸送と航空輸送 はじめに、「貿易」という言葉を聞くと船で大量の物を積み込んで外国に運んでいるイメージが強いかもしれませんが、 飛行機でも毎日のように様々な製品が輸出入されています。 物量では海上輸送が9割以上を占めていると言われていますが、金額ベースでは航空輸送が輸出入の3割ほどのシェアとなっております。 航空輸送は、世界の経済活動に大きく影響しています。 さらに、航空輸送に関するコストは、海上輸送の数倍かかると言われますが、一番のメリットは、短納期で貨物を運ぶことができる点です。 他に、生鮮食品・医療品・精密機器など 輸送時に適切な環境で運ぶ必要がある製品の輸送に適していること、 スピード感のある輸送で製品を早く市場に届けることができる、 このようなメリットも航空輸送の特徴として挙げることができます。 では次に詳しく航空輸送の流れを見ていきましょう! 航空輸送の流れ フォワーダーへブッキング依頼 航空輸送で製品を輸出する際は、まず製品を生産している工場から、貨物の出荷予定や海外の顧客への希望納期などが決定されます。 そのときに、輸出者より依頼をするフォワーダーを選定し、フォワーダーへフライトのブッキング依頼をします。 必要書類の提出 出荷日、フライト日の希望、出荷する製品の内容、物量、そして向け地などの情報が依頼内容として送られます。 このとき、製品の出荷内容に基づき、インボイス、パッキングリスト、必要書類も輸出者からフォワーダーへ提出されます。 倉庫へ貨物搬入 そして、希望のフライト日に合わせて貨物が空港近くに設置されているフォワーダー、もしくは梱包会社の倉庫に搬入されます。 航空輸送のスケジュール 倉庫搬入後に航空機に貨物を搭載するまでにはいくつかのプロセスがありますが、 航空輸送のスケジュール感としては、貨物の倉庫搬入日と同日のフライト、もしくは翌日のフライトに合わせて段取りをすることが多いです。 輸出者が急ぎで輸送したい貨物があり、 「今日工場から出荷する製品を、明日のフライトに載せて欲しい。」 なんていう依頼が来ることも珍しくありません。 倉庫での作業 貨物がフォワーダーなどの倉庫へ搬入された後は、航空貨物として輸出をするために、いくつかの作業を行う必要があります。 ・爆発物検査、貨物の検量 ・Air Way Billと呼ばれる航空運送状の内容の ラベルの貼り付け ・必要であれば梱包作業 などがあげられます。 爆発物検査 まず爆発物検査は「全ての航空貨物」に対して保安のため義務付けられている作業となりますが、 輸出者が、特にセキュリティー管理やコンプライアンスに優れているAEOと呼ばれる「特定荷主」に認定されている場合などは、爆発物検査が免除されています。 ラベル貼り 次にラベルは、後に貨物を航空会社に持ち込む際に、どのフライトへ搭載するか識別をするため、貼り付けが必要なものとなります。 Air Way Billの番号や向け地などの情報に沿って ラベルが作成されています。 もし危険品に分類される貨物であれば、危険品の内容に応じた 危険品ラベルの貼り付けが必要になることもあります。 梱包作業 そして梱包は、後に航空会社に貨物の運送を委託するにあたり、中の製品がきちんと全面 包まれた状態にしていることが適切とされます。 貨物はカートン、パレット、木箱などで、しっかりと梱包された後に、倉庫から搬出されます。 保税蔵置場へ搬入 倉庫から貨物を保税蔵置場(ぞうちじょう)と呼ばれる場所へ搬入後に、輸出通関を行います。 保税蔵置場は、日本国内で外国貨物を保存して置ける場所と定義されます。 輸出通関の許可が切れたときに、貨物が日本の貨物から外国貨物として、扱いが変わるため、保税蔵置場に持ち込んだ上で通関をします。 輸出通関 輸出通関は、輸出者から送付されたインボイス、パッキングリストなどを基に、NACCS(ナックス)というシステムを用いて税関に申告されます。 輸出者、輸入者、仕向け地、製品、製品情報をもとに 選定した分類番号、インコタームズ、インボイス価格などの申告を行い、輸出許可を切ります。 そして、輸出許可が切れると航空会社の「上屋」へ貨物の持ち込みを行います。 上屋とは貨物を航空機に搭載する直前、また荷下ろしした直後に、貨物の一時保管する保税場所のことです。 ULDの組付け 貨物はそのまま航空機に積まれる訳ではありません。 航空機に搭載される前に「ULD」と呼ばれる大きなパレットやコンテナでひとまとめにされるのです。 航空会社への貨物の持ち込みの締め切り時間はカット時間と呼ばれ、航空会社やフライトスケジュールによって異なりますが、搭載するフライトのおおよそ数時間前に設定をされています。 これは、貨物を上屋搬入後に航空機に搭載するまでULDの組みつけ、搭載までの作業工程があるためです。 フォワーダーがHAWB発行 そして、フォワーダーは輸出者に対して事前に輸出者から受領したインボイスなどの情報に基づき、航空運賃も決定し、混載航空運送状と呼ばれるHAWBを輸出者に対し発行します。 この時に航空会社からはフォワーダーにMAWBが発行されます。 Airwaybillの詳細については別の動画でも詳しく解説しておりますので 概要欄にリンクを貼っておきます。 フライト~目的地へ これらの工程を経て、事前にブッキングされたフライトへ貨物が搭載され、いよいよ航空機が目的地まで出発をします。 到着後、上屋へ搬入 直行便、経由便などのフライトを経て航空機が輸入国に到着後に荷卸しされて、上屋へ貨物が搬入されます。 輸入通関で許可が切れるまで、貨物は上屋で保管されることとなります。 ダメージ、ミッシングチェック ULDが取り外され、貨物ごとに輸送中の貨物のダメージはないか、個数の不足なくミッシング(紛失)していないかなどのチェックを受けます。 ちなみに、この貨物を開梱する作業をBreak Bulkと言います。 輸入通関 航空会社から、現地のフォワーダーへ、到着案内通知 すなわちArrival noticeを連絡した後に、現地のフォワーダーもしくは指定の通関業者が輸入通関手続きを行います。 必要書類は、輸出国のフォワーダーから現地のフォワーダーへ、またはそこから更に通関業者へ行き渡ります。 輸入通関でも、NACCSを使用し、システム上で税関へ申告を行います。 指定地まで配送 輸入許可後、国内貨物として保税地域からトラックに積み込みをされ、書類に記載の輸入者の住所、もしくは指定の配送先まで届けられます。 ちなみにAEOに認定されている輸入者などは輸出時と同様、輸入通関時も保税地域以外で輸入許可を得ることができます。 まとめ それでは、今回の話をまとめましょう。 今回ご説明した様に実際にフライトが飛ぶまでに、いくつかの工程があることが分かると思います。 製品の出荷が確定してから、 輸出者からフォワーダーに航空輸送のアレンジを依頼し、 集荷、倉庫での検量や梱包などの作業、通関手配、航空会社までの搬入、 そして、フライトが到着すると、輸入手続き、搬出、配送までの作業が発生しています。 必要書類も、最初に輸出者からフォワーダーへ提示され、 輸出通関の際に使用、書類内容に基づきフォワーダーがHAWBを発行し、 現地のフォワーダーや通関業者に書類送付、輸入通関にも使用される流れです。 エアー輸送の特性上、 どの工程でもスピード感を持って対応することが求められています。 部門の関係者や担当者と分業して各工程を行っていることが多いのですが、 連携を確実にして、書類の準備も抜けがないような、正確さとスピード感の両立が重要と言えるでしょう。 今回のお話は以上になります。どうも、ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

オーバーゲージ貨物の輸送について | 輸送・ロジスティクス

オーバーゲージ貨物の輸送について

オーバーゲージ貨物の輸送について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回はコンテナに収まらない貨物の輸送、オーバーゲージカーゴの輸送方法について解説をしていきたいと思います。 コンテナ輸送が登場する約70年前は在来船の輸送が一般的でした。 コンテナ船は、20フィートや40フィートと呼ばれる「箱」の中に貨物を詰めて輸送する船です。 コンテナという「定型」に収まれば、詰める貨物の量は問わないため、低価格で輸送ができます。 コンテナ輸送の歴史については以前 動画で詳しく説明しましたので、概要欄にリンクを貼っておきます。私の中ではおすすめ動画の一つです。 オーバーゲージ貨物の輸送方法 では、このコンテナに収まりきらない貨物はどうやって運ぶのでしょうか? ちなみに40フィートハイキューブコンテナのサイズは 幅:約2.3m 高さ:約2.7m 長さ:約12m です。 実際にオーバーゲージ貨物の輸送は、機械設備、プラント、長尺の鉄鋼製品、大型の建設機械などの輸送となりこのコンテナに収まらないケースが多いです。 3つの特殊コンテナ オーバーゲージ貨物は、大きさや重量が特殊であるが故に、通常の貨物を運ぶときには使わない特殊コンテナを使います。 特殊コンテナの代表的な物が次の3つです。 1. 屋根部分がない オープントップコンテナ 2. 側壁がない フラットラックコンテナ 3. 床面以外の一切の壁がない フラットベッドコンテナ があります。 それぞれを詳しく見ていきましょう。 オープントップコンテナ オープントップコンテナは、屋根の部分が解放されているため、クレーンなどによる荷役が可能です。 重量物、長尺物、背が高い貨物の輸送に適しています。 また、上面部分は、雨や海水などが入ってこないように、プラスチックシートで覆います。 フラットラックコンテナ そしてフラットラックコンテナは側面の壁だけを取り払っている物です。 左右と上下の壁がないため貨物をコンテナに入れるときの自由度が高いです。 ちなみに、この横から貨物を積み込み 積み下ろしが出来るのは荷役においては大きなメリットです。 一般的なドライコンテナはコンテナの後方の入り口からしか貨物が出し入れが出来ないため、重たい貨物の場合はフォークリフトがコンテナの中に入らないとコンテナの奥の部分に貨物を置けません。 そうなるとフォークリフトがコンテナに入るための設備であるプラットフォームが必要になります。 しかし、側面から貨物を積み込み積み下ろしをすることが出来れば、プラットフォームは不要で側面からフォークリフトが近づいて貨物を積み込み、積み下ろしすることが出来るので、作業効率が非常に良くなります。 機械設備などの重量貨物の場合は特に荷役が危険で難しくなるので、この特徴は大切なのです。 インゲージ貨物への使用も可能 そして、この利点を理解してフラットラックやフラットベッドは、コンテナ内に収まるサイズだけれども荷役が難しい貨物に使われる場合もあります。 この時に知っておきたいのはオーバーゲージでなくインゲージ貨物だと一般的に価格は抑えられます。 インゲージとはコンテナ内に収まるサイズでコンテナからはみ出していない貨物のことです。 コンテナが船に乗っているスペースを想像して欲しいのですが、コンテナは船上にびっしりと並べられて積み込まれます。 オーバーゲージ貨物の場合は、はみ出した部分は貨物が積めないため船上のスペースを多く使うことになります。 ですがインゲージの場合は一般のドライコンテナと同じスペースしか使わないので、オーバーゲージに比べると割安になる傾向があります。 フラットベッドコンテナ 最後にフラットベッドコンテナは、コンテナの床面のみを残すタイプです。 コンテナの高さや幅からはみ出る貨物の輸送に便利です。 このフラットベッドコンテナを連結させて使い、一つの大きな貨物を輸送することにも使用できます。 床部分はフラットラックと同様に重量物の輸送を想定して強化されています。 フラットラックもフラットベッドも積み込みした後は、貨物が輸送中に雨や海水に当たらないようにしっかりと梱包したり、ラップやカバーで貨物を覆う必要があります。 まとめ それでは今回の話をまとめます。 40フィートコンテナに収まらない貨物はオーバーゲージ貨物として、特殊コンテナを使用して輸送をします。 これらには主に3つのタイプがあって ・オープントップコンテナ ・フラットラックコンテナ ・フラットベッドコンテナ がありました。 オープントップは天井がないタイプで、背の高い貨物を輸送する時に使用し クレーンを使ってコンテナの上部から貨物を出し入れすることも出来ます。 またフラットラックはコンテナの天井と左右の壁がなく、幅が広い貨物の輸送に使用されます。 壁がないので荷役にかなり自由度があり、インゲージ貨物にも使用することが出来ます。 最後にフラットベッドコンテナは前後の壁がなく、長尺の貨物を運ぶ時に使用されます。 主に機械などの重量物を運ぶことを前提とされていますので、コンテナの床は強化されているのも特徴です。 今回はオーバーゲージカーゴを輸送するためのコンテナの内容についてお話をしました。 次回はオーバーゲージ貨物を輸送する為にどの様なフォワーダーを選べば良いのかについても解説をしていきたいと思います。 今回は以上になります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイント | 輸送・ロジスティクス

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイント

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイントを動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は前回に引き続きオーバーゲージ貨物についてのお話で、オーバーゲージ貨物を輸送するときに選ぶべきフォワーダーの特徴について解説をしていきたいと思います。 もし、あなたの会社がオーバーゲージの機械や設備を海外に輸送したいときに是非参考にしてみて下さい。 ではいってみましょう! フォワーダー選びの3つのポイント オーバーゲージ貨物の輸送を依頼する時のフォワーダー選びには3つのポイントがあります。 世の中には、本当に沢山のフォワーダーがいますし大手だからとか、普段取引しているからという理由だけでは選ばないで下さい。 ではその3つのポイントは何かというと 1. スペース確保力 2. 確かな実績と柔軟な対応 3. 輸送に伴う制約が少ないこと 具体的に1つずつ詳しくみていきましょう。 スペース確保力 まずスペース確保力です。 スペース確保力とは、船にコンテナを積み込むためのスペースを用意できる力です。 例えば、東京からタイに向けて大型の機械を輸出するとします。 この時、あながたが直接、船会社に予約をすると「スペースがない」と回答されることがあります。 一方、同じ航路、船会社であったとしてもフォワーダーを通すとスペースを確保できることがあります。 これには一体 どのような理由があるのでしょうか? 実は、オーバーゲージ貨物のスペースは限定的に提供されていて、常に輸送契約を結んでいるフォワーダーに優先的に配分されます。 そのため、一荷主に対しては「スペースはない」と伝える一方で、フォワーダーには「スペースはある」と答えることがよくあります。 もちろん、このフォワーダーの中にも力の差がある点に留意が必要です。 船会社と強固な関係があるフォワーダーほど、圧倒的な価格競争力とスペース確保力があります。 一荷主の立場であれば、直接船会社に予約をするのではなく、「力があり、実績があるフォワーダー」に予約をする方が確実です。 毎月、多数のコンテナを扱うフォワーダーと一荷主が、同等の扱いを受けることは難しいです。 フォワーダーは、船会社と継続的な案件を依頼し、友好的な関係を維持しているのです。 なので、フォワーダーに対してはしっかりと輸送スペースを確保できるのかをチェックしましょう。 確かな実績と柔軟な対応 次に確かな実績と柔軟な対応です。 現在あなたとお取引のあるフォワーダーはオーバーゲージ輸送に対して、確かな実績はありますか? フォワーダーの営業マンやサイトの文章などから確かな自信や実績を感じられるでしょうか? 重量物やオーバーゲージ貨物の輸送は、非常に特殊な分野であるため、一にも二にも確かな実績が必要です。 ここは重要なのでもう一度言います。 オーバーゲージ貨物の輸送は非常に特殊な輸送なのです。 だから実績がないと取扱中のリスクが上がったりしますし、逆に実績があるほど、各顧客からの要求にも柔軟に対応できる「余力」があります。 特にあなたの客先からの設計変更などで、どうしても船の予約を変更したいときもあったりします。 このようなイレギュラー対応ができる所が本当の意味で力のあるフォワーダーです。 そういうフォワーダーをあなたの輸送パートナーとして選ぶべきなのです。 フォワーダーの仕事の特性上、平常時はどこのフォワーダーのサービスも近いものがありますが、取引するフォワーダーの真価はイレギュラー対応にあったりします。 通常とは異なるとき、そのフォワーダーはどこまでの対応力があるのでしょうか? ここが非常に重要なポイントです。 輸送に伴う制約条件が少ない 最後に輸送に伴う制約条件が少ないことです。 オーバーゲージ貨物や重量物などに豊富な経験があるフォワーダーは、輸送に伴う制約を付けることは少ないです。 つまり、このケースはダメ。このパターンはダメ。これもいけない。この機械は対応できない。などの決まり文句のことです。 これは、フォワーダーがなるべくリスクを負わないための作戦です。 とにかく特殊貨物の輸送に自信がない所ほど、細かな制約を付けたがります。 もし、あなたが契約しているフォワーダーが様々な制約を付けるときは、オーバーゲージ貨物の輸送経験がそこまで豊富でない可能性が高いです。 まとめ では今回の話の内容をまとめましょう。 オーバーゲージ貨物の輸送を依頼するフォワーダーを選ぶポイントは3つありました。 1. スペース確保力 2. 確かな実績と柔軟な対応 3. 輸送に伴う制約が少ないこと 一般の荷主とフォワーダーでは普段の取扱量が圧倒的に異なります。 あなたが直接船会社に依頼しても断られるかもしれませんが、フォワーダーに依頼をすればより高い可能性でスペースを確保してくれます。 そしてオーバーゲージ貨物の取り扱う確かな実績があると、柔軟な対応も可能になります。 オーバーゲージ貨物や重量貨物の取扱は特殊です。 この特殊な貨物を安全に輸送手配するのは簡単なことではないので、実績と対応力のあるフォワーダーを選びましょう。 そして最後に制約を沢山設けないフォワーダーであることも重要です。 実績と対応の話にもつながりますが、制約を必要以上に提示してくるのは自信のない証拠です。これまでの輸送実績が限定的だったということもあり、新しい案件に関しては保守的になっている状態です。 以上、オーバーゲージ貨物の輸送は、これらの3つの特徴を満たしているフォワーダーを選んで依頼するようにしましょう。 ちなみにですが弊社ではタイにおけるオーバーゲージ貨物の輸送、据え付け、取り外しなどを数多く対応してきた実績がございます。 重量貨物であっても安全にハンドリングをして、よりフレキシブルな対応をお客様にご提供してきました。 もしタイでのオーバーゲージ、重量物案件がございましたら、弊社までお問い合わせください。 今回のお話は以上になります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

海上輸送のSOCコンテナについて | 輸送・ロジスティクス

海上輸送のSOCコンテナについて

海上輸送のSOCコンテナについて動画で解説 SOCコンテナとは どうもこんにちは。飯野です。 今回はSOCコンテナについて解説をしていきたいと思います。 まずSOC(Shipper’s Own Container)コンテナとは、フォワーダーや一般荷主などがコンテナ所有・管理している物の総称です。 他方、COC(Carrier’s Own Container)コンテナは、船を運行する船会社が所有・管理しているコンテナです。 これらには 具体的にどのような違いがあるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう! コンテナの所有者は? そもそもコンテナの所有とはどういうことでしょうか? ある一定規模以上で輸出入をする個人や会社が20’feetや40feetのコンテナの中に貨物を積めて国際輸送しています。 ところで、このコンテナは誰の物なのでしょうか?  輸出者や輸入者が購入するのでしょうか? それとも別の第三者の持ち物なのでしょうか? このコンテナの「所有者」の部分が今回のテーマです。 COCコンテナとSOCコンテナ コンテナは、大きく分けると次の2つの所有形態があります。 1. 船を運航する船会社(= リース会社) 2. 実際に荷物の輸送を依頼する依頼者(荷主) 実際はこの他にも いくつかの形態があるんですけれども、話を簡単にするために、ここでは主に2つの形態しかないとします。 そしてこの1番と2番のそれぞれの事を 1. COCコンテナ 2. SOCコンテナ と言います。 なぜこのようにCOCやSCOコンテナがあるのでしょうか?  これらにはどういったメリットがあるのでしょうか? まず先に結論をお伝えします。 一般荷主であり通常の状況であれば、SOCコンテナを使うメリットはほぼない これが結論です。それでは、それぞれを詳しく確認していきます。 COCコンテナについて まずCOCコンテナです。 COCコンテナは先程ご説明したように船会社が管理・所有するコンテナです。 一般の荷主における貿易取引はこのCOCコンテナを使い行われています。 メリットとデメリットは次の通りです。 COCコンテナのメリット COCコンテナのメリットは 1. 空コンテナの扱いに困らない。 2. コンテナが余っているときは、輸送費を値下げしてくれる場合がある 主にこれらのメリットがあります。 COCコンテナの費用は通常の運送費の中に含まれています。 そのため貨物を輸送し、中身を取り出したら、あとは空コンテナを返却するだけです。 デバン後の空のコンテナの保管には悩みません。 また需給バランスにより、港にコンテナが余っている場合は、輸送費の削減を受けられることがあります。 実は世界中のコンテナは、諸外国を行ったり来たりしているため、常に需給バランスが変わります。 コンテナが不足している場所では料金が高くなり逆にコンテナが余っている場所は少しでもコンテナの稼働率を上げるために送料を値下げして提供します。 昨今のコンテナ不足でご経験されている方も多いと思いますが、コンテナがないと海上運賃が3倍になったり、向け地によって10倍以上になっているところもあります。 COCコンテナのデメリット 次にCOCコンテナのデメリットです 1. コンテナの数に不均衡が発生すると そのまま輸送コストupにつながる。 2. ディテンションチャージに注意する必要がある。 などがあります。 メリットでもご紹介した通り何らかの理由で、コンテナの需給バランスが崩れるとそれがそのまま輸送コストとして反映され、○○サーチャージ等で請求されることがあります。 また船会社のコンテナなので返却が必要な為、常にディテンションチャージ注意をしなければいけません。 SOCコンテナについて 次にSOCコンテナについてお話しします。 SCOコンテナは、NVOCC(フォワーダー)や一般荷主などが、コンテナを管理、所有している物です。船会社が所有していないため、イレギュラー時の費用負担が最小になるのが特徴です。 しかし、結論の通り平常時はCOCコンテナよりも優れているとは言い難いです。 メリットとデメリットは、次の通りです。 SOCコンテナのメリット SOCコンテナのメリットは 1. コンテナのまま移動、保管ができる。 2. 質の悪いコンテナによる貨物事故を防げる。 これがあげられます。詳しく見てみましょう。 SOCコンテナは自社で所有する場合が多いため、輸入コンテナのまま長期間 保管できます。 返却する必要がないのでディテンションチャージ等が発生しないからです。 また使用するコンテナを自社で管理できる点も魅力です。 COCコンテナの場合、予約時においては どのような空コンテナがくるのかは分かりません。中には穴が開いているコンテナが来ることもあります。 本当に質の悪いコンテナを割り当てられるケースもありますので、これが常に自社でコントロール出来るのは魅力的だと思います。 SOCコンテナのデメリット 次にSOCコンテナのデメリットです 1. 初期投資が必要 2. 管理をするために費用と時間がかかる。 SOCのデメリットとして最初にコンテナを購入する資金がいることです。 コンテナに資金が固定されるためキャッシュフローが悪くなります。 また自社でコンテナを所有するゆえの「管理コスト」も必要です。 例えば空のコンテナを保管するためのスペース、棚卸費用、管理、保守などの費用や手間が発生するということです。 以上がSOCとCOCコンテナの違いになります。 まとめ それでは今回の話をまとめてみましょう。 海上輸送で使用するコンテナは大きく分けて2種類あります。 それが船会社が所有するCOCコンテナと フォワーダーや一般荷主などが所有するSOCコンテナです。 この2つのタイプのコンテナにはそれぞれメリット・デメリットがあって COCコンテナのメリットは ・空コンテナの扱いに困らない。 ・コンテナが余っているときは、輸送費を値下げしてくれる場合がある デメリットは ・コンテナの数に不均衡が発生すると そのまま輸送コストupにつながる。 ・ディテンションチャージに注意する必要がある。 一方で SOCコンテナのメリットは ・コンテナのまま移動、保管ができる。 ・質の悪いコンテナによる貨物事故を防げる。 デメリットは ・初期投資が必要 ・管理をするために費用と時間がかかる。 という話でした。 昨今のコンテナ不足の問題で、コンテナがないからSOCコンテナを導入すれば良いのか?と考えられる荷主さんもいるかも知れませんが 海上輸送はコンテナだけでなく、船のスペースも関係しています。 これについてはまた別の機会にお話をしていきたいと思います。 今回の内容は以上となります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

Air Way Billの料金記載について | 輸送・ロジスティクス

Air Way Billの料金記載について

Air Way Billの料金記載について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は航空貨物輸送で取り扱う書類「Air Way Bill」の中の料金記載方法について解説をしていきたいと思います。 Air Way Billとは 「Air Way Bill(エア・ウェイビル)」とは航空運送状のことですが「AWB」と省略されたり、業務上「B/L」と呼ばれることもあります。 宅急便で物を送るときの送り状や伝票のようなイメージで捉えると分かりやすいと思います。 Air Way Bill記載事項 そして Air Way Billには主に ・荷主、輸出者 ・荷受人、輸入者 ・積地 ・仕向け地 ・輸送する製品 ・物量 ・航空運賃等の輸送料金 のような情報が記載されています。 では、Air Way Billの中でも料金の記載方法についてはどのように取り決めがされているのでしょうか。 料金の記載方法の取り決め Air Way Billはエアーで貨物を輸送する際にはそれを手配する航空会社、もしくは貨物を混載して運送するフォワーダーなどが発行している書類です。 Air Way Billには、航空会社からフォワーダー等の運送人に対して発行されるマスター・エア・ウェイビル(Master Air Waybill=MAWB)と、運送人が発行する混載航空運送状であるハウス・エア・ウェイビル(House Air Waybill=HAWB)があります。 IATA規則 Air Way Billは通常国際航空運送協会(IATA)の規則に基づいて作成されます。 料金の記載方法についても取り決めがされています。 Air Way Billに記載される料金内容は貨物を飛行機で輸送する際に発生する航空運賃・燃料費・セキュリティーチャージ・その他手数料など、エアー輸送に関する部分が多いです。 Air Way Billに記載されている情報では、貨物の出荷に対して「何がどのくらいの量輸送をされて、どのくらいの料金がかかったか」という情報は非常に重要な部分となります。 「Rate/Charge」欄 Air Way Billには、貨物の個数・重量と併せて「Rate/Charge」の箇所で、貨物1kgあたりにかかる航空運賃が記載されます。 燃料費・セキュリティーチャージ・その他手数料などはOther Chargeの箇所でまとめて記載されています。 航空会社の輸送にかかる航空運賃は IATAに加盟する航空会社が世界中の各向け地に対して取り決めている運賃率に基づいています。 一方、フォワーダーなどが航空会社へ支払う航空運賃は、混載する貨物の重量が多いほど1kgごとの単価が安くなる重量逓減(ていげん)制となっています。 「Rate Class」欄 そして「Rate/Charge」と併せて、「Rate Class」を記載する箇所がありますが、これはその貨物に対しての航空運賃の計算方法を示しています。 Rate Classは貨物の重量によって変わります。 計算対象となる重量は、貨物の実重量もしくはM3を基にした容積重量の値が大きい方が適用されることとなります。 また、Rate Classには「M」「N」「Q」のようにいくつかの種類があります。 MはMinimumを表し、1つの輸送に関して航空運賃が航空会社が定めている最低料金以下の小口の貨物に対して使用されます。 Minimumであれば1kgごとではなく、輸送する貨物全体に対して決められたMinimum運賃が適用されることとなります。 そして NはNormalといい、Normal Rateと言われる45kg未満の貨物に対して適用される割高の航空運賃となります。 最後にQはQuantitative Rateで、45kg以上の貨物に対しての航空運賃が適用されます。 航空運賃は重量が重くなるにつれて安い料金が適用されるので、このときに少量貨物で料金を計算するのではなく、一定以上の重量として料金を計算した方が安く済むことがあります。 例えば、40KGの貨物で45kg未満のNormal Rateを適用するよりも、45kgとして45kg以上のRateで計算した方がトータルの航空運賃が下がるケースです。 このような計算方法を「As取り」と呼び、Rate ClassはNではなくQを使用します。 料金記載によるよくあるトラブル また航空運賃等の料金をAir Way Billに記載すると、荷主にとって問題となってしまうケースがあります。 では、どういった場合に問題が生じるのでしょうか。 Air Way Billは、輸出者と輸入者に貨物手配の証明として送付されます。 そのAWBに航空運賃が記載されていると、建値がCIFの場合、貨物のCIF ValueからAWBに記載されている航空運賃を差し引いて製品自体の価格が明確になってしまいます。 輸出者によっては航空運賃に金額を上乗せして売値をつくっていたり、製品単価を明確になると輸入者との取引交渉で不利になる場合があるので、AWBに航空運賃を記載して欲しくないケースがあります。 「As arrange」表記 Air Way Billで価格を表記したくない場合は、Rate/ChargeとTotalの箇所を「As arrange」と表記し価格を隠すことができます。 Air Way Billを発行する際には、この「As arrange」の表記が使用されているケースの方が実際に多いのです。 輸入者や輸出者に対して発行されるAir Way Billの中でも、料金については重要な情報となります。 Air Way Bill作成の中でも特に記載ミスがないように注意が必要な内容となるでしょう。 今回は以上になります。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。