column

貿易コラム

【物流金融革命】三井物産、航空機・船舶のデジタル証券を解禁。個人マネーが動かす新たなサプライチェーン投資の未来 | 物流ニュース・物流ラジオ

【物流金融革命】三井物産、航空機・船舶のデジタル証券を解禁。個人マネーが動かす新たなサプライチェーン投資の未来

本日は、三井物産が国内で初めて航空機・船舶を対象としたデジタル証券の販売に踏み出すという、物流と金融の関係を根本から変える可能性を持つニュースについて解説していきます。 動画視聴はこちらから 三井物産が仕掛ける「物流アセット投資の民主化」 1月12日付の日本経済新聞によると、三井物産は2026年度中にも、航空機や船舶の所有権を小口化したデジタル証券の販売を開始する方針です。 この取り組みを主導するのは、同社子会社の三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)です。 ブロックチェーン技術を活用し、これまで機関投資家や富裕層に限られていた航空機・船舶投資を、一口10万円程度から個人でも投資可能にする点が最大の特徴です。 これまで数十億円単位が当たり前だった物流資産投資が、スマートフォン一つで参加できる時代に入ろうとしています。 なぜ今、航空機・船舶のデジタル証券なのか 背景には、複数の構造的要因があります。 世界的な実需の回復と拡大 航空会社・海運会社の財務戦略の変化 金融技術とAIの進化 航空分野では、2043年の世界旅客需要が2019年比で約2.3倍になると予測されています。 海運分野でも、脱炭素対応や船隊更新需要が重なり、新造船・船腹投資は今後も不可避です。 一方で、航空会社や海運会社がこれらの資産をすべて自己資金で保有するのは現実的ではありません。 そこで、従来の銀行融資やJOLCOに加え、個人マネーを取り込む新たな資金調達手段としてデジタル証券が浮上してきました。 AIが変える投資商品のスピード感 今回の取り組みで特に注目すべきなのが、AIを活用した商品組成の効率化です。 通常、信託型の投資商品は契約書作成や審査に半年以上かかるケースが一般的でした。 しかしMDMは、新設の信託会社にAIを導入することで、組成期間を1〜2カ月まで短縮する体制を整えています。 これにより、市況や需要に合わせたタイムリーな商品供給が可能になります。 物流投資は「推し活」の時代へ? 記事によると、航空機のデジタル証券購入者向けに、座席や機内食などの体験型特典も検討されているとのことです。 自分が投資している船舶や航空機の運航状況をアプリで確認しながら配当を受け取る。 物流アセットが「見える投資」「応援する投資」へ変わる可能性も感じさせます。 注意すべきリスクと今後の展望 もちろんリスクも存在します。 航空機や船舶は、不動産と比べて市況変動の影響を受けやすく、運賃・用船料のボラティリティも大きい資産です。 高利回りが期待できる一方で、元本変動リスクを正しく理解した上での分散投資が不可欠です。 今後、三井物産に続き、他の商社や海運大手が参入すれば、日本の物流産業全体の資金調達力強化にもつながるでしょう。 物流×金融の融合は、確実に次のフェーズへ進み始めています。

【2026年】タイ、少額貨物の関税免除を完全撤廃へ。世界で加速する「越境EC包囲網」と物流への影響 | 物流ニュース・物流ラジオ

【2026年】タイ、少額貨物の関税免除を完全撤廃へ。世界で加速する「越境EC包囲網」と物流への影響

本日は、1月9日の海事新聞の記事をもとに、タイ関税局による少額貨物の関税免除廃止と、そこから見えてくる世界的な越境EC規制強化の流れについて解説していきます。 2026年1月から、タイでは「1バーツの商品であっても課税対象」となる制度変更が実施される予定で、越境ECと物流のビジネスモデルに大きな影響を与える内容となっています。 動画視聴はこちらから タイ関税局が発表した「少額貨物免税」の完全撤廃 タイ関税局は、2026年1月1日から、輸入申告価格が1,500バーツ以下の少額貨物に対する関税免除を廃止すると発表しました。 これまでタイでは、1,500バーツ以下の輸入品については関税およびVATが免除されていましたが、今後はたとえ1バーツの商品であっても、すべて課税対象となります。 物流業界、とりわけ越境ECを扱う事業者にとっては、コスト構造と通関フローの両面で無視できない制度変更です。 なぜ今、ここまで踏み込んだのか 今回の制度変更の背景にあるのは、国内産業の保護と競争条件の是正です。 Shopee、Lazada、TikTok Shopなどを通じて、中国からの低価格商品が大量に流入する中、多くの貨物が少額免税の枠内で輸入されてきました。 その結果、正規に税金を納めているタイ国内の製造業者や小売業者が、価格競争で不利な立場に追い込まれていたのです。 タイ工業連盟などの産業団体も、こうした状況に対して強い懸念を示し、政府に対策を求めてきました。 今回の決定は、こうした国内産業からの圧力に応える形と見るのが自然でしょう。 世界で進む「デミニミス見直し」の流れ この動きは、タイだけに限った話ではありません。 現在、世界各国で少額貨物の免税制度(デミニミス)の見直しが急速に進んでいます。 アメリカでは、800ドル以下の免税措置を巡り、中国発貨物を中心に厳格化の議論が進行中 EUでは、すでにVAT免税を廃止し、関税免除も2026年を目標に撤廃予定 日本でも、1万円以下の免税制度について見直し検討が進められています つまり今回のタイの決定は、世界的な課税公平化・越境EC規制強化の流れの一環と捉えるべき動きです。 物流とサプライチェーンへの影響 まず影響が出るのは、通関オペレーションです。 これまで簡易処理されていた大量の小口貨物が、すべて課税・申告対象となることで、通関処理の負荷は確実に増加します。 通関遅延や手続きコストの上昇は、越境ECの即時性という強みを削ぐ要因になりかねません。 また、関税とVATが加わることで、中国から1点ずつ直送するモデルの価格優位性は低下します。 その結果、現地倉庫に在庫を持つB2B2C型モデルへのシフトや、一般貿易での輸入増加が進む可能性があります。 2026年に向けて企業が取るべき視点 今回の制度変更は、「越境ECが終わる」という話ではありません。 しかし、免税を前提にしたビジネスモデルは確実に通用しなくなるという転換点ではあります。 タイ向けにビジネスを展開する企業や物流事業者は、通関フローの再設計、コスト構造の見直し、在庫配置戦略の再検討を、2026年を待たずに進めておく必要があるでしょう。

【2026年 航空貨物市場】AI需要と越境ECが招くスペース逼迫、その行方は? | 物流ニュース・物流ラジオ

【2026年 航空貨物市場】AI需要と越境ECが招くスペース逼迫、その行方は?

本日は、Journal of Commerce(JOC)が発表した2026年の航空貨物市場予測をベースに、2025年の振り返りと2026年の見通しを整理していきます。 結論から申し上げますと、2026年もアジア発の航空貨物市場は、特定のピーク時期においてスペース逼迫が続く可能性が高いと見られています。 動画視聴はこちらから 2026年の主役はAI需要と越境EC JOCの記事が指摘している最大のポイントは、AI関連需要と越境ECという二つの構造的要因です。 世界各地で建設が進むAIデータセンター向けに、高性能半導体やサーバー関連機器の輸送需要が拡大しています。 これらの製品は高額かつ納期厳守が求められるため、輸送モードとして航空便が選択されやすく、結果として航空スペースを強く圧迫します。 AI需要は一過性ではなく 中長期的に航空貨物のベースロードとなる可能性があります 2025年に起きた越境ECの調整と適応 2025年を振り返ると、中国発越境EC貨物が航空市場を大きく揺さぶりました。 SheinやTemuなどのプラットフォーム貨物が太平洋路線のスペースを占有していましたが、トランプ政権によるデミニミス免税措置の撤廃が大きな転換点となりました。 一時的に中国発航空貨物は急減しましたが、その後は東南アジア発米国向けや、アジア発欧州・中南米向けが増加し、全体として需給は持ち直しました。 2026年の焦点は台湾とベトナム 2026年に向けて注目されるのが、台湾とベトナムです。 台湾は引き続きAI半導体供給の中核であり、ベトナムも製造能力の強化により航空貨物需要を押し上げています。 これらの半導体輸送が、既存の越境EC貨物と重なることで、アジア発主要レーンでは高い積載率が常態化すると予想されます。 量だけでなく質が問われる航空物流 AI関連貨物は単なる数量勝負ではありません。 GPUなどは非常に繊細かつ高価であり、温度管理や衝撃監視、セキュリティを含めた高付加価値輸送が求められます。 物流企業にとっては、スペース確保能力と同時に、品質対応力が競争力の分かれ目となる一年になりそうです。 中長期では供給過剰リスクも 一方で、長期的には市況が緩む可能性も指摘されています。 旅客機のベリースペース回復や新造フレイターの投入が進めば、供給が需要を上回る局面も想定されます。 そのため、2026年は短期的な逼迫と長期的な調整が同時に存在する、非常に難しい年になるでしょう。 まとめると、2026年の航空貨物市場はAI需要と越境ECが牽引し、アジア発を中心にスペース逼迫が続く一方で、将来的な供給増も見据えた柔軟な契約戦略が重要になります。

【海運市況】米国・ベネズエラ軍事衝突!タンカー・ドライ・コンテナ船への影響を徹底解説 | 物流ニュース・物流ラジオ

【海運市況】米国・ベネズエラ軍事衝突!タンカー・ドライ・コンテナ船への影響を徹底解説

本日は、米国によるベネズエラへの軍事行動と、それに伴う海運マーケットへの影響について整理していきます。 地政学的には非常にインパクトの大きいニュースですが、海運市況への影響はどう評価すべきなのか。 結論から言うと、短期的な影響は限定的ですが、中長期ではタンカー市場の構造が変わる可能性があります。 動画視聴はこちらから なぜ「直近の影響は限定的」なのか まず押さえておきたいのは、ベネズエラの原油ビジネスは、すでに長年正規マーケットから切り離されていたという点です。 厳しい経済制裁の影響で、ベネズエラ原油の多くは、いわゆるダークフリート(影の船隊)によって中国などへ輸送されてきました。 つまり、私たちが日常的に見ている正規のタンカー市況には、もともとベネズエラ関連の需要はほとんど織り込まれていなかったのです。 そのため、軍事行動が発生しても、スポット運賃が急変動する構造にはなっていません。 米国の狙いは「軍事」ではなく「資源」 ベネズエラは、確認埋蔵量で世界最大級の原油資源を保有しています。 ただし、設備老朽化と投資不足により、生産能力はピーク時から大きく低下していました。 今回、トランプ大統領が数十億ドル規模の投資に言及している点は非常に重要です。 これは単なる軍事介入ではなく、ベネズエラを西側エネルギー供給網に組み戻す動きと見るべきでしょう。 タンカー市場への中長期インパクト もし制裁が緩和され、オイルメジャーが本格参入すれば、状況は一変します。 これまでダークフリートが担っていた輸送が、正規のVLCC市場に戻ってくる可能性があるからです。 ベネズエラ原油が米国・欧州・アジア向けに正規輸送されれば、トンマイルは確実に増加します。 これはタンカー需給にとって明確なプラス材料です。 ただし、インフラ復旧には時間がかかり、数年単位のシナリオとして見る必要があります。 他船種への影響はどうか ドライバルク船:ベネズエラ発の輸出規模は小さく、影響は限定的。 コンテナ船:主要港は稼働しており、世界市況への影響はほぼなし。 自動車船:輸出台数はすでに激減しており、直接的影響は限定的。 まとめ 今回の米国によるベネズエラ軍事行動は、短期的には海運市況への影響は小さいと言えます。 一方で、中長期的にはタンカー市場の需給構造を押し上げる潜在力を秘めています。 今後は、米国の投資姿勢と現地の治安・政治情勢を継続的に見ていく必要があるでしょう。

【2026年海運市況】船会社、100億ドルの赤字転落か 需給バランス崩壊のシナリオを解説 | 物流ニュース・物流ラジオ

【2026年海運市況】船会社、100億ドルの赤字転落か 需給バランス崩壊のシナリオを解説

本日は、2026年にコンテナ船社が直面すると予測されている巨額赤字シナリオと、その背景にある需給バランスの崩れについて解説します。 新年早々、海運業界にとってはややショッキングな見通しが出てきました。 動画視聴はこちらから Drewry予測 2026年に100億ドル規模の赤字 Journal of Commerceに掲載された記事およびDrewryの最新レポートによると、2026年のコンテナ海運業界は、全体で約100億ドル、日本円にして1兆円を大きく超える規模の赤字に転落する可能性があるとされています。 これまでの5年間、コンテナ船社は歴史的な高収益を享受してきました。 しかし、その好調局面は2026年で終わりを迎える可能性が高いと見られています。 早ければ2026年第1四半期、つまり1月から3月の間にも、赤字に転落する船社が出てくると予測されています。 最大の原因は深刻な需給バランスの崩れ なぜ、ここまで急激に市況が悪化すると見られているのでしょうか。 最大の要因は需給の深刻な不均衡です。 簡単に言えば、荷物の量に対して船のスペースが余りすぎている状態です。 この構造は、2025年の動きを振り返るとよく見えてきます。 2025年は「異常な条件」が利益を支えていた 実は2025年も、第4四半期には荷動きの減速が見られていました。 それにもかかわらず、船社各社は年間で約200億ドル規模の利益を確保するペースを維持していました。 その背景にあったのが、皮肉にも地政学的な混乱です。 一つは、トランプ政権による関税強化への警戒感です。 米中摩擦の再燃を懸念した米国の輸入業者は、在庫のフロントローディング、つまり前倒し出荷を進めました。 本来は後半に動くはずだった需要が、前半に集中した形です。 もう一つは、長期化する紅海情勢です。 喜望峰経由の迂回ルートが常態化したことで航海日数が延び、結果として余剰船腹が吸収されていました。 2025年の夏物商戦向け貨物は、例年より約1か月も早く動いていたとされています。 2025年の利益は「実需の強さ」ではなく「異常要因」によって支えられていました。 世界全体では増えても北米が冷える ここで、別のデータも見てみましょう。 BIMCOの予測では、2026年の世界のコンテナ取扱量は2.5%から3.5%増加すると見られています。 一方、世界の船隊能力は約2.2%増にとどまる見通しです。 一見すると、需給はそれほど悪くないようにも見えます。 しかし、問題は北米航路です。 Moody’sの分析によると、米国の小売業者は依然として消費者心理の不透明感や関税政策の変動を警戒し、在庫を極力抑えています。 その結果、2026年の北米向けコンテナ取扱量は、2025年比で横ばい、もしくは最大で2%減少する可能性があるとされています。 最も収益性の高い航路が冷え込むことで、業界全体の収益構造が大きく崩れる構図です。 スエズ回帰がもたらす本当のリスク もう一つの重要な転換点は、紅海情勢の行方です。 仮にイスラエルとハマスの停戦が成立し、船社がスエズ運河ルートに戻った場合、短期的には欧州港湾で船の集中、いわゆるVessel Bunchingが発生し、運賃が一時的に上昇する可能性があります。 しかし、それが解消された後には、喜望峰ルートで吸収されていた余剰船腹が一気に市場に戻ります。 結果として、強烈な供給過多となり、運賃市況には大きな下押し圧力がかかることになります。 2026年は船社にとって厳しい年に 総合すると、2026年は在庫調整による需要の弱含みと、供給過剰の顕在化が同時に進む年になる可能性が高いと言えます。 荷主にとっては運賃交渉で有利な局面となりますが、船社のサービス改編や抜港、減便といったリスクにも注意が必要です。 「安い運賃」だけでなく、ネットワークの安定性を見極める視点が、これまで以上に重要になるでしょう。

プレミア・アライアンス、2026年新体制でハブ&スポークを加速 寄港地削減で定時性改善へ | 物流ニュース・物流ラジオ

プレミア・アライアンス、2026年新体制でハブ&スポークを加速 寄港地削減で定時性改善へ

本日は、プレミア・アライアンスが発表した2026年の新ネットワークと、そこから見えてくる海運業界全体の構造変化について解説します。 2025年も終盤に差しかかる中、船社各社はすでに来年を見据えたネットワーク再編を本格化させています。 今回注目するのは、ONE、HMM、Yang Mingで構成されるプレミア・アライアンスの動きです。 動画視聴はこちらから 2026年ネットワークの最大の特徴は「寄港地削減」 12月18日付のJournal of Commerceによると、プレミア・アライアンスは2026年の改訂ネットワークにおいて、アジア―欧州航路の寄港地を大幅に削減する方針を明らかにしました。 一部のループでは、寄港地をわずか5港にまで絞るという、非常に大胆な設計が採用されています。 アルファライナーの分析では、この新ネットワークは2026年4月から順次導入される予定とされています。 特に注目されるのは、アジア側でのダイレクト・コールの削減です。 これまで本船が直接寄港していた港の一部は抜港され、韓国の釜山港をハブとしたトランシップ型の運用へと移行します。 釜山ハブ化が前提となる新ネットワーク 新体制では、釜山港を主要ハブとし、そこから高雄、アモイ、そして日本の東京、神戸、名古屋などへフィーダー船で接続する構造が強化されます。 例えば、アジア―北欧州航路のFE1ループでは、レムチャバン、カイメップ、シンガポール、ロッテルダム、ハンブルクの5港のみに寄港する計画です。 また、FE4ループでは、アジア側の寄港地を上海と釜山の2港に限定する構成となっています。 本船の寄港地を極限まで絞り、ハブ港で効率的に積み替えるモデルが鮮明になっています。 狙いは定時性の回復 では、なぜここまで寄港地を削減するのでしょうか。 最大の理由はスケジュールの定時性(信頼性)の回復です。 Xenetaのデータによると、プレミア・アライアンスの定時運航率は2025年第1四半期の36%から、第3四半期には22%まで低下しました。 平均遅延日数も、年初の2.7日から第4四半期には5.2日へと拡大しています。 荷主から見れば、決して満足できる水準とは言えない状況です。 競合はすでに「答え」を出している 一方、競合となるマースクとハパックロイドのジェミニ体制を見てみると状況は対照的です。 彼らは徹底したハブ&スポーク戦略を採用しており、Sea-Intelligenceのデータでは、9月と10月の定時性が88.6%という非常に高い数値を記録しています。 寄港地を減らし、主要ハブに集約することで、遅延リスクを抑え、リカバリーもしやすい体制を構築しているのです。 プレミア・アライアンスとしても、同様の戦略に舵を切らざるを得ない背景があります。 日本の荷主に求められる視点 この変更により、定時性は改善する可能性が高いと考えられます。 一方で、日本の荷主にとっては新たな課題も生じます。 東京や神戸への直接寄港が減少し、釜山経由のフィーダー輸送が増えることで、リードタイム管理や接続リスクへの対応がより重要になります。 今後は、直行便の有無だけでなく、ハブ港の処理能力やフィーダー接続の信頼性まで含めた判断が必要になるでしょう。

【2025年物流市況】香港空港、11月貨物量が過去最高を更新 米国向け減速を補った欧州・インドシフトの実像 | 物流ニュース・物流ラジオ

【2025年物流市況】香港空港、11月貨物量が過去最高を更新 米国向け減速を補った欧州・インドシフトの実像

本日は、香港空港における11月の貨物取扱量が過去最高を更新したというニュースについて解説します。 数字だけを見ると好調そのものですが、詳しく見ていくと、世界の物流構造が大きく変わりつつあることが分かります。 動画視聴はこちらから 香港空港、11月の貨物量は6%増で過去最高 香港空港管理局が発表したデータによると、2025年11月の貨物取扱量は前年同月比6%増の48万6,000トンとなりました。 これは2か月連続の前年超えであり、単月としては過去最高の水準です。 これまでの最高記録は、コロナ禍で航空貨物需要が急増していた2021年11月の47万8,000トンでした。 今回の結果は、それを明確に上回るものです。 内訳を見ると、輸出にあたる積み込みが5%増、輸入にあたる取り降ろしが8%増となっており、輸出入ともに堅調に推移しています。 北米向けは減少、それでも過去最高になった理由 注目すべきは仕向け地の変化です。 従来、主要マーケットであった北米向け貨物は減少しています。 背景にあるのは、2025年以降に強化された米国の関税政策です。 2月には越境ECなど小口輸入品への課税が開始され、5月には中国発貨物を対象とした少額輸入免除制度、いわゆるデミニミスルールが撤廃されました。 これにより、中国系ECプラットフォームを中心とした北米向け航空貨物は大きく減少しています。 欧州・中国本土・インドへのシフトが鮮明に それにもかかわらず、11月に過去最高を更新できた理由は明確です。 北米以外へのシフトが一気に進んだからです。 欧州、中国本土、インド発着の貨物が大きく伸び、北米向け減少分を補って余りある結果となりました。 特に越境EC事業者が、規制の厳しい米国から欧州など別市場へ販売先を切り替えた動きが顕著です。 インド向けについても、製造拠点の分散化や消費市場の拡大が追い風となっています。 香港空港は、北米依存から脱却し、多極化する物流の中核ハブへと進化しています。 航空運賃は引き続き上昇基調 貨物量の増加は、航空運賃にも影響を与えています。 運賃データを見ると、香港発米国向けの航空運賃は9月以降、上昇基調が続いています。 12月中旬には、香港発シカゴ向けがキロあたり6.69ドルと年内最高値を更新しました。 ロサンゼルス向けも同様に高水準で推移しています。 2026年に向けた見通し 短期的には、この活況は2026年春節前まで続く可能性があります。 一方で、中長期的には欧州側での規制強化や、さらなるサプライチェーン再編にも注意が必要です。 総量は増えていても、ルートは大きく変化しています。 特定レーンに依存しない、柔軟な物流戦略がより重要になるでしょう。

【最新】北米コンテナ運賃が20%急騰 船社の供給絞りと欧州12月需要の正体 | 物流ニュース・物流ラジオ

【最新】北米コンテナ運賃が20%急騰 船社の供給絞りと欧州12月需要の正体

本日は、アジア発北米向けコンテナ運賃が、ここにきて一気に急反発した動きについて解説します。 正直、年末にこの数字が出てくるとは思っていなかった方も多いのではないでしょうか。 動画視聴はこちらから 北米向け運賃が1週間で2割上昇 先週まで下落基調が続いていた北米向けのスポット運賃ですが、ここにきて状況が一変しました。 12月18日に発表された世界コンテナ運賃指標によると、上海発のスポット運賃はニューヨーク向けが前週比19%高の3,293ドルとなりました。 ロサンゼルス向けも前週比18%高の2,474ドルまで上昇しています。 わずか1週間で2割近い上昇です。 ただし、冷静に水準を見ると、11月中旬と同程度であり、急騰というより急落からの持ち直しと捉えるのが妥当でしょう。 動画視聴はこちらから 最大の要因は船社の供給調整 では、なぜ需要が特別強くないこの時期に、ここまで運賃が動いたのでしょうか。 最大の要因は、主要船社による供給調整です。 具体的には、ブランクセーリングと呼ばれる欠便の実施です。 ドゥルーリーのデータによると、太平洋航路では来週も10便の欠便が予定されています。 11月で年末商戦向けの出荷は一巡し、荷動き自体は落ち着いています。 それでも、船社が意図的にスペースを絞ることで、運賃の底割れを防ぐことに成功した形です。 需要が弱くても、供給を絞れば市況は動くという典型例です。 欧州航路はさらに堅調 一方で、欧州向けは北米以上に安定した上昇が続いています。 上海発ロッテルダム向けは8%高、ジェノバ向けは10%高となり、こちらは3週連続の上昇です。 運賃水準はすでに8月並みまで戻っています。 欧州で定着する「12月需要」という新常識 ここで興味深いのが、欧州航路における新しい季節パターンです。 従来、旧正月前の駆け込み需要は1月から本格化するのが一般的でした。 しかし近年は、供給不安や紅海情勢の影響を背景に、物流混乱を避けるための前倒し出荷が常態化しています。 その結果、12月に一つの需要ピークが形成される流れが定着しつつあります。 別ソースから見える市況の裏側 上海航運交易所が発表するSCFIを見ても、北米と欧州の双方で底打ち感が鮮明になっています。 業界では、今回の運賃上昇には二つの背景があると見られています。 2026年旧正月を見据えた在庫積み増しの前倒し 船社による戦略的な需給コントロール 特に北米では、関税政策を巡る不透明感が続いており、早めに在庫を確保したいという荷主心理が働いています。 今後の見通し ドゥルーリーは、来週も小幅な上昇が続く可能性があるとしています。 今後の焦点は、この運賃上昇が一時的な供給絞りによるものなのか、それとも実需回復を伴うものなのかという点です。 足元では明らかに船社側のコントロールが効いています。 1月に入れば旧正月前のラストスパートが始まるため、しばらくは底堅い市況を前提にした物流計画が求められそうです。

マースクが紅海通航へ大きな一歩 スエズ回帰と荷主と保険が阻む物流正常化 | 物流ニュース・物流ラジオ

マースクが紅海通航へ大きな一歩 スエズ回帰と荷主と保険が阻む物流正常化

本日は、マースクが紅海およびスエズ運河ルートの通航再開に向けて、象徴的な一歩を踏み出したというニュースについて解説します。 結論から言えば、船社側の準備は進みつつある一方で、物流の正常化にはなお高い壁が残っている状況です。 動画視聴はこちらから マースクが2年ぶりに紅海を通航 今週、業界の注目を集めたのがマースクの試験的な紅海通航です。 シンガポール船籍のマースク・セバロックが、フーシ派の影響下にあるバブ・エル・マンデブ海峡を無事に通過しました。 この船はインドから米国東海岸へ向かうサービスに従事しており、12月18日から19日にかけて紅海の難所を抜け、現在はニューヨーク・ニュージャージー港へと航行しています。 マースクはこれを非常に重要な前進と位置付けています。 ただし同社は、これが全面復旧を意味するものではないと明言しています。 あくまで安全基準が満たされることを前提とした段階的プロセスの第一歩であり、次の航海スケジュールはまだ確定していません。 主要船社で進むスエズ回帰の動き 紅海通航に向けた動きは、マースクだけに限られません。 ここ数週間で、複数の主要船社がスエズ運河回帰を具体化させています。 CMA CGMは、2026年第2四半期までにインド・米国東海岸サービスでスエズ経由を定着させる計画を発表しました。 RCLは、すでに紅海と中国を結ぶサービスを再開しています。 ONEやエバーグリーンも、スロットチャーターを通じて慎重に関与を拡大しています。 これらの背景には、10月初旬に成立したイスラエルとハマスの停戦合意以降、商船への攻撃が止まっているという事実があります。 一部の船社は、海上のセキュリティ環境が許容可能な水準まで改善したと判断し始めています。 下がる戦争保険料と残る大きな壁 セキュリティ状況の改善に伴い、船舶に課される追加戦争保険料も低下しています。 一時は船体価格の0.7%から1.0%に達していた保険料は、現在では約0.2%と、攻撃が始まった2023年末以来の最低水準となりました。 しかし、ここで物流の難しさを象徴する問題が浮かび上がります。 それが荷主の同意が得られないという壁です。 荷主がスエズ回帰に慎重な理由 ドイツのハパックロイドは、インド・米国東海岸サービスをスエズ経由に戻すことについて顧客の意向を確認しました。 その結果、多くの荷主が反対姿勢を示しました。 理由は主に二つあります。 貨物保険の空白として、南部紅海をカバー対象外とする保険が依然として多い点です。 コストの不透明性として、地政学リスク再燃時の追加負担に納得できない点です。 このため、ハパックロイドは60日から90日の移行期間が必要とし、当面はアフリカ迂回を継続する慎重な姿勢を示しています。 船社が動いても、荷主と保険が動かなければ物流ルートは変わらないという現実が浮き彫りになっています。 2026年に向けた物流の分岐点 今回のマースクやCMA CGMの動きは、物流正常化に向けた試金石と言えます。 船社はアフリカ迂回による燃料費や船隊維持費を削減したい一方で、荷主は2年間かけて構築した迂回前提のサプライチェーンを簡単には戻せません。 今後の焦点は、安全に通航できる実績をどれだけ積み上げられるかです。 その実績が保険会社の判断を変え、貨物保険の制限が解除されれば、業界全体の安心感が広がる可能性があります。 2026年前半は、まさにこの安心の証明が問われる重要な局面になりそうです。

物流統括責任者(CLO)義務化まで1年 特定荷主4割が選任意識なしという現実 | 物流ニュース・物流ラジオ

物流統括責任者(CLO)義務化まで1年 特定荷主4割が選任意識なしという現実

本日は、特定荷主におけるCLO(物流統括責任者)の選任状況と、いよいよ目前に迫った法的義務化について整理していきます。 結論から申し上げると、制度の理解と対応が極めて遅れている企業が想像以上に多いという状況です。 特定荷主の4割超が選任予定なしという衝撃 2024年5月に成立した改正物流効率化法により、一定規模以上の貨物を扱う特定荷主には、2026年4月1日からCLOの選任が義務付けられます。 ところが、2025年12月18日に船井総研ロジが公表した最新調査では、深刻な実態が明らかになりました。 CLOが任命されることはないと回答した企業が42% すでに任命済みと回答した企業は15% 今後任命される可能性があるとした企業は28% 施行まで残り1年余りというタイミングにもかかわらず、約4割の企業が選任の意識すら持っていないという結果です。 これは物流が依然として経営課題として認識されていない企業が多いことを示しています。 CLOとは何か 物流部長との決定的な違い ここで改めて、CLOとは何かを整理しておきましょう。 CLOはChief Logistics Officerの略称です。 従来の物流部長との最大の違いは、経営判断への関与度と他部門への強制力にあります。 従来の物流部長は現場改善やコスト削減が主業務であり、営業や製造の要望を受け入れる立場になりがちでした。 CLOは役員級として経営に参画し、物流効率を損なう施策に対して是正を求めたり、大規模な投資判断を行う権限を持ちます。 国がCLO設置を義務化した背景には、現場任せでは解決できない物流課題を経営主導で解決させるという明確な狙いがあります。 特定荷主の定義と見逃せない罰則 国土交通省と経済産業省のガイドラインによると、特定荷主の基準は年間貨物取扱量が9万トン以上とされています。 この基準に該当する企業は、国内でおよそ3,000社から3,200社に上ると見込まれています。 重要なのは、この制度には明確な法的強制力がある点です。 CLOを選任しなかった場合は最大100万円の罰金 選任の届け出を怠った場合は20万円以下の過料 さらに企業が最も警戒すべきなのが、社名公表というレピュテーションリスクです。 法令違反として勧告を受け、社名が公表されれば、投資家や取引先からの信頼に深刻な影響を及ぼします。 国がCLOに求める二つの数値目標 CLOの役割は名義上の配置ではありません。 国は、以下の具体的な数値目標の達成を求めています。 荷待ちおよび荷役時間を1運行あたり1時間以内に短縮すること 積載率を50%以上に引き上げ、輸送能力を約16%向上させること CLOは、これらを達成するための中長期計画を策定し、毎年国へ報告する義務を負います。 これはドライバー不足が深刻化する中で、日本の物流を止めないための待ったなしの施策です。 飯野の視点 CLO設置は守りではなく攻めの経営 今回の調査では、義務の対象外である非特定荷主の中でも、5%がCLO任命を検討しているという前向きな動きが見られました。 物流を単なるコストとして外部に委ねる時代は終わりつつあります。 これからは物流を戦略的に管理できる企業だけが、安定的に商品を届け続けることができます。 物流を制する者が市場を制するという時代に入ったと言えるでしょう。 「任命されることはない」と回答した42%の企業には、この制度が罰金の問題ではなく、経営インフラの再構築であることを改めて認識していただきたいところです。 動画視聴はこちらから