LSSサーチャージについて分かりやすく解説!海上貿易で使われる従来の燃料(C重油)はなぜダメなのか?

海上輸送の見積もりに「LSS」という項目を見つけて、「これは何?」と疑問に思ったことはありませんか。

2020年からIMO(国際海事機関)の規制によって義務付けられたLSS(Low Sulfur Surcharge)は、今や海上運賃の明細に欠かせない項目のひとつです。

この記事では、LSSサーチャージが生まれた背景・低硫黄燃料(ローサルファー)の仕組み・各船会社の対応・フォワーダーとしての実態をわかりやすく解説します。

LSSの意味を理解することで、運賃の内訳をより正確に把握できるようになります。

この記事でわかること
  • LSSサーチャージが導入された理由(SOx規制・PM2.5との関係)
  • 従来のC重油がなぜダメなのか、低硫黄燃料(LS)の基準
  • スクラバー(排気ガス洗浄装置)を使った代替手段の仕組み
  • 各船会社のLSSの呼び方・タリフとフォワーダーとしての交渉実態

 

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この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

LSSについて動画で解説しました

ネコ先輩
ネコ先輩

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2020年から義務付けられた新しい規制により海上輸送に新たなサーチャージが加わりました。

船の燃料にLSC重油という低硫黄の燃料を使わなければいけませんよとIMO(国際海事機関)がマルポール条約(海洋汚染防止条約)を改正したのです。

簡単に言えばこれまで使っていた環境に優しくない燃料をそのまま使うのはダメですと国際機関によって決定されたという事です。これにより加わったLSS(Low Sulfur Surcharge/ローサルファー・サーチャージ)について今回はご説明をしていきたいと思います。

排ガスの硫黄酸化物がPM2.5の大気汚染に

ご存知の通りPM2.5による大気汚染は国際的な問題になっていますよね。PM2.5は元をたどると排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)から生成されています

なのであなたの健康を害するPM2.5を減らす為に、IMO(国際海事機関)はPM2.5を引き起こす排ガスの硫黄酸化物(SOx)を減らそうとしているのが今回の規制です。

ネコ先輩
ネコ先輩

ちなみにSOx規制っていうんだ。

ローサルファーとは?

硫黄(Sulfur)なので、Low Sulfurで低硫黄を指します。

硫黄分濃度が低い燃料を使いましょうという事で、その硫黄分濃度の基準が以下になります。

  • 従来のC重油:HS (High Sulfur): 3.5%以下
  • 低硫黄C重油:LS (Low Sulfur):0.5%以下

硫黄分濃度が0.5%以下の重油のことがLow Sulfur重油で、この重油を使用することでPM2.5の発生を抑制しましょうという決まりなのです。

スクラバーを使って従来のC重油を使う

カモメ先輩
カモメ先輩

ちなみに船に排気ガス洗浄装置(スクラバー)を設置すれば今までのC重油も使えるで。

スクラバーを使えば従来のC重油でも、排ガスを低硫黄燃料を使ったときのレベルまで洗浄することが出来るので低硫黄燃料を使用する必要はありません

なぜサーチャージが発生するのか?

低硫黄燃料はこれまで使用可能だった従来のC重油より3割〜5割ほど高くなっています。船会社も燃料費としてカバーしなければいけません。

またスクラバーを導入した船舶であれば、そのコストをカバーする為に船舶会社も補填をしなければいけません。

ネコ先輩
ネコ先輩

スクラバーの装置って数億円するらしいよ。。

カモメ先輩
カモメ先輩

LSSは環境に優しくするための費用なんや。

ライオン教授
ライオン教授

ちなみに特定の海域(ECA)- ①北米・米国カリブ海、②北海・バルト海では、硫黄分濃度0.1%以下の燃料を使いましょうと厳しい条件の海域もあるんです。

各船会社のLow Sulfur Surcharge

さてこの環境に優しくする為のLSSですが船会社によって金額が異なります。詳しい理由は分からないのですが各船会社ごとに戦略があるのでしょう。

このLSSが導入され始めるぞと騒ぎになった2019年11月頃、筆者の会社も各船会社からの情報が不十分なままお客様に色々と質問をされました。

カモメ先輩
カモメ先輩

導入時は各社とも他社の様子見な感じだったんや。

独自の呼び方と計算方法をする船会社

全ての船会社を調べた訳ではないのですが以下の2社はLSSという言葉ではなく別の言葉で新しい燃料サーチャージを表現しています。

ONEのLSS: OBS

  • ONE:ONE Bunker Surcharge(OBS)

OBSは他社のLSSと比較すると安く設定されており、ONEによると独自の計算方法をしているとの事です。海上運賃はAll inで出した方がいいかもしれませんね。

EverGreenのLSS: ISOCC

  • EverGreen:IMO Sox Compliance Charge(ISOCC)

EvergreenのLSSはこのように表現されています。当初Evergreenの見積もりを見た時に「ISOCC」という項目を見つけてググったのを覚えています。

LSSにはタリフと売値がある

タリフとは定価の事です。タイから日本の主要港までのLSSのタリフはDryコンテナで

  • USD 70/20′
  • USD140/40′

だったと思います。※うる覚えですみません。。間違ってたらすみません。

しかしこれはタリフで実際には各船会社はそれぞれの価格を提示してきました。

フォワーダーとしてのLSS

船会社も各フォワーダーに対して同じLSSを提出しているところもあれば、安くLSSを設定している船会社もあります。

一般的にLSSはタリフで3ヶ月間の固定ですが、弊社は特定の船社からはタリフよりかなり安い価格で提示をされ、毎月交渉をしています。

ネコ先輩
ネコ先輩

LSSを抑える為に交渉してるから毎月変わるんだ。

タリフのLSSであれば値上げはありませんが、お客様の為に交渉しているとLSSは上がることがありますのでご理解ください。

まとめ

この記事で押さえておきたいところ
  • LSSはIMO規制(SOx規制)による環境対応コストを荷主に転嫁するサーチャージ
  • 従来のC重油(HS: 3.5%以下)から低硫黄重油(LS: 0.5%以下)への切り替え、またはスクラバー設置が義務
  • 各船会社でLSSの呼び方(OBS、ISOCCなど)・金額・計算方法が異なる
  • フォワーダーはタリフより安いLSSを交渉で確保していることもある

国際物流には様々な機関が関係し定期的に規制が変わります。近年でもIMOによるSolas条約(海上人命安全条約)で導入されたVGMがありました。

貿易をより良くする為に規制は変わり続け、私たちはそれに合わせて事業運営をしなければいけません。

今回のLSSは地球環境の為に必要とされたもので、コストアップは辛いものではありますが、何卒ご理解を頂けましたら幸いです。

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