3PL営業効率40倍格差!AI活用で勝ち組になる方法

3PL営業効率40倍格差!AI活用で勝ち組になる方法 | 物流ニュース・物流ラジオ

物流・3PL業界において、営業効率の格差がかつてない規模で拡大している。LeadCoverageが発表した「サプライチェーン成長指数(SCGI)」の最新レポートによれば、2025年第4四半期における企業間の営業効率格差はなんと40倍超に達した。AIやデジタル技術への投資姿勢が、そのまま「勝ち組」と「負け組」を分ける時代が到来しつつある。本記事では、この格差の実態と、トップ企業が実践する戦略を詳しく解説する。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

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営業効率を測る新指標「LGER」とは

SCGIは、物流・サプライチェーン業界の約30社の匿名データをもとに構築された、四半期ごとの営業効率ベンチマークである。その中核となる指標が「物流成長効率比率(LGER:Logistics Growth Efficiency Ratio)」だ。

LGERは、営業・マーケティングに投じた1ドルあたり、どれだけの商談パイプライン(見込み案件)を生み出せたかを数値化したものである。成約件数そのものではなく、「営業エンジンの効率性」を可視化する点が特徴だ。

  • LGER = 創出パイプライン額 ÷ 営業・マーケティング投資額
  • 数値が高いほど、少ない投資で多くの商機を生み出している
  • 四半期ごとに業界ベンチマークと比較できる

この指標を用いることで、自社の営業活動が業界水準に対してどの位置にあるかを客観的に把握できる。

LGERの計算式と業界ベンチマークとの比較イメージ図

40倍超の格差——3層構造で見る営業効率の実態

2025年第4四半期のデータは、業界の二極化を鮮明に示した。

| 区分 | LGER(1ドルあたり) |
最高パフォーマンス企業 | 204.30ドル |
| 業界平均 | 25.74ドル |
| 業界中央値 | 4.84ドル |
| 最低パフォーマンス企業 | 0.36ドル |

中央値が4.84ドルまで大幅に低下している一方、平均値が25.74ドルを維持しているのは、上位企業が平均を大きく引き上げているためだ。企業を3層に分けると、その構造はさらに明確になる。

  • 下位25%(LGER 8ドル未満):旧来の電話営業に依存し、デジタル施策への投資がほぼない
  • 中位50%(8〜55ドル):一定の取り組みはあるが、現状維持では下位転落のリスクがある
  • 上位25%(55ドル超):データとAIを駆使し、業界全体のパイプライン創出の大部分を独占

3層構造(上位・中位・下位)のLGER分布と特徴の比較図

勝ち組企業が実践する3つの戦略

高パフォーマンス企業には、明確な共通点がある。LeadCoverageのカラ・ブラウンCEOは「勝ち組企業は意図的な投資選択によって他を圧倒している。優れたGTM戦略とAI投資の重要性が勝敗を分ける」と強調する。

① インテントデータの即時活用

顧客の「関心シグナル」を逃さず商機に転換する仕組みが整っている。

  • 自社サイト来訪の即時検知:決裁者がウェブサイトを訪問すると数分以内にアプローチ
  • 外部データサービスの活用:CarrierSourceやBomboraといったプラットフォームで荷主の課題を事前察知し、先回り提案を実現

② AI技術への積極投資

ClaudeやChatGPTといった最新AIツールを業務全体に組み込み、見込み客の開拓から日々の顧客対応まで自動化を大幅に進めている。人的リソースを高付加価値の業務に集中させることで、投資対効果を最大化している。

③ ABMと営業・マーケティングの一体運営

アカウントベースドマーケティング(ABM)によって優良顧客候補を絞り込み、効果的な広告媒体には積極的に投資する。さらに、営業部門とマーケティング部門が情報を共有し、一体となって動く組織体制が競争優位の源泉となっている。

勝ち組企業の営業・マーケティング戦略の全体像(インテントデータ→ABM→AI活用→部門連携のフロー図)

厳しい市場環境が格差をさらに拡大させる

2025年の貨物市場は、典型的な回復軌道をたどっていない。関税引き上げを見越した前倒し調達により3月の輸入額は急増したが、製造業の景況感は悪化が続いており、業界全体として縮小傾向にある。加えて、輸送の運営コストは過去最高を更新し、企業収益を大きく圧迫している。

このような逆風の中では、緻密な販売戦略を実行できる企業とそうでない企業との差が一層際立つ。下位層が依然として手作業のテレアポに頼り続ける一方、上位層はデータドリブンな営業でさらに顧客基盤を拡大している。

LeadCoverageは2026年前半の市場引き締まりが、戦略を持つ企業に更なる優位性をもたらすと予測する。ブラウンCEOは「2026年は物流業界にとって、コロナ禍以来最大の顧客獲得チャンスの年になる」と述べており、今どこに投資するかが将来の勝敗を決める分岐点だと示唆している。

日本の物流・貿易企業への示唆

このアメリカの動向は、日本の物流・貿易業界にとっても見過ごせない潮流だ。

  • 国内3PL市場でも、デジタル投資の有無が競争力に直結し始めている
  • 中小規模の物流企業にとって、AIによる営業効率化は大手に対抗できる現実的な手段となりうる
  • 日本企業が海外パートナーを選定する際、デジタル営業力の有無が新たな評価基準として浮上してくる可能性がある

日本の物流企業がAI・デジタル活用で競争力を高めるためのステップ図(現状診断→ツール導入→ABM実践→効果測定)

3PL企業にとって、今必要なのは「コストをどう削るか」だけでなく、「営業投資をどこに集中させるか」という戦略的な視点である。AIやデータを活用した営業効率化は、もはや大企業だけの話ではない。

海外物流パートナーの選定や、自社の海外展開における物流戦略についてお悩みの際は、ぜひHPS CONNECTにご相談ください。貿易・物流に関する幅広い知見を持つ専門スタッフが、貴社の課題に合わせたサポートをご提供いたします。

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