ナフサ不足が日本を直撃?住設まで止まる供給危機

ナフサ不足が日本を直撃?住設まで止まる供給危機 | 物流ニュース・物流ラジオ

本日はTOGISTICS TODAYの「ナフサ由来製品の供給制限加速、見えた住設の次」を参照して、ホルムズ海峡封鎖による日本の石油化学サプライチェーンへの深刻な影響についてお話しします。

概要欄に記事のリンクを貼っておりますので、是非そちらもご覧ください。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

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ナフサ需給の構造的脆弱性

日本のナフサは国内需要の6割を輸入に頼り、そのうち74%がホルムズ海峡を経由します。

エチレン原料の95%はナフサで、国内のナフサ商業在庫は経産省石油統計ベースで2週間分にとどまります。

在庫が薄い上に、ナフサから下流に向かうほどさらに在庫は薄くなり、かつ代替の効かない中間工程が存在します。

どの工程で先に詰まるかが、業種ごとの波及の順番を決める構造になっています。

構造的な弱点
輸入依存
在庫が薄い
代替困難な工程

上流の連鎖:エチレン設備の減産

最初に動いたのは上流でした。

3月5日頃、シンガポールのPCSがエチレン設備で不可抗力を宣言。

国内でも三菱ケミカルグループ、三井化学、出光興産などが3月前半に相次いで減産へ動き、国内エチレン12基のうち半数に当たる6基が減産に入りました。

京葉エチレンは定期修繕後の再稼働を無期延期、東ソー四日市の再稼働も無期限で延期されました。

封鎖開始から2週間で、日本のエチレン生産能力の半分が停止した状態になりました。

中間財の価格急騰:3月下旬の動き

エチレン減産から1週間ほど遅れて、中間財の価格が一斉に動き始めました。

  • 塩化ビニル樹脂:30円/kg以上値上げ
  • ポリエチレン・ポリプロピレン:90円/kg以上値上げ
  • シンナー類:75%値上げ
  • CPVC:55円/kg以上値上げ

上流の供給が絞られると、まず在庫の薄い中間財から価格が動くという典型的な動きです。

3月下旬までは、影響はまだ値上げの形で表れていました。

塗料業界:供給制限への転換点

塗料は他業種より先に、値上げから供給制限へ移行しました。

関西ペイントは値上げに加え、出荷量に上限を設ける制限を開始。

背景には、供給不安を見越した先回り発注と出荷抑制があります。

結果として、川中の出荷は前年同月の半分程度まで減少しました。

建材業界への受注停止の波

価格から供給制限へのシフトは、建材業界にも急速に広がりました。

  • フクビ化学:供給制限
  • 日新工業:受注停止
  • 田島ルーフィング:受注停止

封鎖開始から7週間で、建材全体が受注停止状態に入りました。

住設大手が一斉に納期未定へ

建材から数日のうちに、住設大手に波及しました。

TOTO、クリナップ、パナソニック、LIXILなどが相次いで受注停止や納期未定に移行。

出荷時期を約束できない状態が広がっています。

影響の流れ
石化原料
中間財
塗料
建材
住設

政府の対応策と備蓄放出の限界

政府は備蓄放出と代替調達を進めています。

国家備蓄原油の放出や、米国産ナフサの輸入拡大が行われています。

しかし、それでも供給制限は住設まで広がりました。

備蓄放出と代替調達には即効性の限界があります。

海峡再開でもすぐ戻らない理由

海峡が再開しても供給はすぐには戻りません。

回復に時間がかかる理由
輸送日数
設備再稼働
工程の直列構造

最短でも30日、迂回を含めれば45日以上かかる見込みです。

次の標的:食品トレーとタイヤ

次に詰まりやすいのが以下の分野です。

  • 食品トレー(PSP)
  • タイヤ(SBR・BR)

特にタイヤは物流に直結し、供給不足が輸送能力そのものの制約につながる可能性があります。

今後の焦点と物流への影響

今後の焦点は次の2点です。

  • 供給制限が食品分野まで広がるか
  • タイヤ不足が物流に直撃するか

建材から住設へと広がった今回の流れは、次に何が起きるかをすでに示しています。

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